2024年問題では、人件費の高騰や勤務できる時間の上限設定をはじめ、経営者にとって厳しい状態の継続が予想されています。
2024年問題の対策のひとつは、BIMによる業務効率化です。
政府も積極的な姿勢をとっており、かつBIMには業務効率化を図れる特徴があるため、2024年問題への対策として必要性がある存在です。
目次
2024年4月から建設業界に何が起きるのかというと、働き方改革の導入です。
5年の準備期間が与えられていましたが、2024年4月から建設業にも適用されます。
円安や地政学的リスクにより、資材が高騰していることは周知の事実ですが、人件費も高騰します。
残業時間の上限が設定され、必然的に労働時間が減るため、職人の離職を防ぐ目的で、以前と変わらない給与を渡せるよう給与水準を上げています。
さらに、建築業界では慢性的な人手不足が課題であり、特に若者の職人の早期離職や求人を出しても集まりにくい状況が続いています。
建築業界が抱えていた課題に追加して、2024年問題により人にかける予算が増加するため、人件費が高騰する環境を生み経営に影響を及ぼしています。
働き方改革により仕事ができる時間に制限が作られる一方、そもそも抱えている業務量は変化しません。
働き方改革が導入された当初は、残業時間の管理の仕方や、残業時間が多い作業員の休日設定、複数月での平均残業時間を算出など、特に管理者は作業が増える可能性があります。
週休二日制については、2日休日を取らせなくても罰則はありませんが、残業時間の上限を超えると、罰則が科されるリスクがあるため、慎重な計算が求められます。
さまざまな要素が高騰し、建設業界には悪循環が発生しています。
資材が高騰し利益率の低下や経営圧迫が生じ、人手不足解消のために人件費を上げ、人手が足りないかつ業務量も分からないのに勤務時間は制限されるという、好ましくない空気が蔓延している状況です。
悪循環を打破する方法のひとつには、業務効率化が挙げられます。
2024年問題の解決方法の一種が業務効率化で、業務効率化を図れる手法のひとつが、BIMです。
BIM自体に備わっている特徴を活かすと、業務改善と効率化が実現します。
BIMを導入すると、初期の段階から高精度な設計が可能であり、設計ミスが起因する出戻りの件数を最小限に留められます。
BIMは、三次元デジタルモデルを用いて、設計段階から3次元データを使って検証できるためです。
二次元図面では気づきにくい干渉も、BIMを使うと設計のステージで発見し、修正を行えます。
またBIMでは、修正を行っても情報を書き換えると、関連する部分のデータも同様に修正されるため、時間の節約にもつながります。
BIMを取り入れると、最初から高精度な設計が可能であり、修正に要する手間が削減されるため、業務効率化に貢献します。
照明をはじめ、初期段階から、さまざまなシミュレーションが行うことが可能です。
BIMには、優秀なシミュレーション機能が豊富に備わっています。
照明だけではなく、空調や風の通り道の確認、日当たりなど、多岐にわたるシミュレーションもできるでしょう。
従前の手法だと、空調の解析などは、専門知識をもった人物へ依頼していました。
しかし、BIMを取り入れると、BIMソフトがすべて計算してくれるため、依頼する手間もコストも省けます。
さらに、早期にシミュレーションが行えると、作業が進んだ後に起きうる変更の件数も減らせます。
BIMには、コミュニケーションツールや意思決定ツールの働きがあるため、合意形成の際にも効率化が実現します。
建築プロジェクトに関係するすべての人物が、同じ三次元デジタルモデルを見て作業を進めるためです。
修正が発生した場合でも、関係者全員へ同時に修正が伝達されます。
三次元デジタルモデルにより、非常に見やすくなったことも、スムーズなコミュニケーションに結びついているでしょう。
BIMは、作業する場所や業務内容に関わらず、横断的な情報共有機能があるため、意思決定に要する工程を効率化できます。
施主との打ち合わせもBIMを利用すると、理解を深めながら円滑に進められます。
BIMは建物を建てる側にとっても有益ですが、施主側にとっても、イメージをつかみやすいツールです。
二次元図面を読めない施主も多く、二次元図面の説明を受けてもイメージができなかったり、自分の希望が組み込まれているか理解が追い付かなかったりするケースがあります。
しかし、BIMで作成した三次元モデルを見ながら説明を受けると、視覚的に完成図が明確になります。
また、シミュレーション機能やウォークスルー機能により、さらにイメージを深めることが可能です。
説明に要する時間を短縮しながらも、理解度が高くなる特徴をBIMはもっています。
BIMは業務効率化をかなえられるソフトとして有用であり、必要性の高い存在ですが、BIMを使うには、イニシャルコストとランニングコストが求められます。
BIMを運用するための物理的な環境について言及すると、イニシャルコストとして、パソコン購入をはじめ使用環境の構築が必要です。
また、パソコンは、BIMを滑らかに操作できるスペックが求められます。
使用を考えているBIMソフトによっては、Windowsの環境のみで動作するソフトもあるため、スペックと同じくOSにも気を付けないといけません。
BIMの使用環境を準備するだけでも、数十万要する可能性があります。
BIMを使用できる物理的な環境が整っても、BIMを操作できる人材がいないとBIMを運用できません。
BIMは専門性が高く、一長一短ですべての機能を使いこなせるソフトではないため、BIMを操作できる人材の採用か、既存の人材を育成が必要です。
BIMソフトに関する講習会も開催されており、知識を得るには効果的ですが、いずれにしても、育成費や人件費をはじめとしたコストとして計上されます。
BIMのソフトは複数あり、種類により価格や購入方法が異なります。
十数万から利用できるソフトから百万を超えるソフトまで、価格帯には大きく幅があり、ライセンスの形態によっても価格は変動します。
ライセンスの形態として、期間限定ライセンスや永久ライセンスがあり、期間限定ライセンスは永久よりも安価な傾向がありますが、更新が必要です。
一方、同じライセンスの形態であっても、BIMソフトによって差はあります。
自社に導入したいBIMソフトの運用や購入に関する費用と、BIMを導入して得られる効果の検討が求められます。
BIMは、2024年問題への対策として有効な業務効率化を図れる手段として、有効です。
しかし、導入する際も、運用が始まってからも、コストはかかります。
BIMソフトの費用だけではなく、人材に要する費用も膨らむでしょう。
Make Houseでは、工務店の業務効率化を目的に、BIMに関する情報発信やBIMを用いた設計業務サポートサービスを実施しています。
BIMの情報は、こちらのページからご確認いただけます。
資材価格の高騰、人件費の高騰、残業時間の上限設定など、2024年4月から、建設業界を取り囲む環境は、楽観視できません。
厳しい状況を打破するには、業務効率化が重要です。特に、BIMを取り入れると、業務効率化が実現します。
一方、BIMに必要性を感じていても、導入と運用コストは必要です。BIMの導入を検討している・迷っている・情報がほしい方は、ぜひMake Houseにお問い合わせください。