近年では、工務店を取り巻く環境が大きく変化していることはご存知でしょうか?
少子化により着工件数は減少し、紹介営業だけでは顧客獲得が難しくなっています。待っているだけでなく、インターネットを活用した積極的な集客が必要になるでしょう。
この記事では、経営に悩む工務店関係者の方に向けて、工務店経営の課題や経営戦略、具体的な集客方法まで詳しく解説します。
生き残りのためには戦略を立てる必要があるため、ぜひ最後までご覧ください!
目次
工務店を取り巻く現状は、昔とは大きく変わりました。新規住宅着工件数は1999年から2019年の20年間で30万戸以上も減少しており、人口減少傾向にある日本では今後も減り続けると予想されます。
工務店経営においては、以下のような点が課題になるでしょう。
最も根本的な課題は、着工数の減少です。
株式会社野村総合研究所では、2040年度の新設住宅着工戸数は以下のように推移すると言われています。
直近でも新型コロナウイルスやロシア・ウクライナ戦争の影響で住宅着工件数が変動しており、いつ仕事が減るかわからない状態です。
工務店に限らず、建設業界は高齢化が進んでいます。
建設はかつて「キツイ・汚い・給料安い」の3Kとも呼ばれており、新卒の若者にとって敬遠すべきイメージがありました。現在は改善されつつあるものの、依然若者離れは続いています。
若い人材が入ってこない上に、一人前になるより早く辞めてしまうケースも多く、なかなか人材が育ちません。
工務店は地域に密着した産業です。
以前は過去に利用した人から口コミで紹介が入り、特別な営業をしなくても集客できていました。しかし、住宅を建てる人が減ってくると、紹介を待つだけでは集客が厳しくなってきています。
現在ではインターネット集客も盛んになっているため、既存の紹介営業も意識しつつ、ネットで幅広い新規顧客を取り入れる工夫が必要になるでしょう。
今までの経営方法では生き残りが難しくなっているため、以下のように戦略を立てていきましょう。
まずは「SWOT分析」を用い、自社の強みや弱みを明確にしてください。
SWOT分析とは、内部要因と外部要因をそれぞれ分析することで、今後の戦略を立てる方法です。具体的には、以下のようにプラス要素・マイナス要素を書き出していきます。
強み | 弱み | |
内的要因 | 施工技術が優れているなど | 工期が長引いてしまいがちなど |
外的要因 | 一戸建て需要が高まっているなど | 競合他社に実績で負けているなど |
例えば、内的なプラス要素なら技術の高さや施工実績、外的な弱みなら大手の参入や需要低下などが挙げられます。
自社サービスに合ったターゲットを想定しましょう。
この作業はマーケティング用語で「ペルソナ設定」と呼ばれています。定めるべきターゲットの理想像は、自社の強みを気に入ってくれ、弱みをあまり気にしない方です。
例えば、技術力が高い代わりに規模が小さく、後期が長引いてしまう弱みを持っている工務店なら、質を重視してあまり工期を気にしないお客様に向けて集客すべきです。
具体的には、以下の要素を設定します。
現在は集客のオンライン化が進んでいます。
従来のように、イベントやチラシ、資料請求だけで新規顧客を獲得するのは難しくなっています。既存のやり方に捉われていると、より低コストな集客方法を実践している競合他社に負けてしまうでしょう。
ホームページやSNSなどのオンライン集客を積極的に取り入れ、より幅広いターゲットにリーチすることが大切です。
工務店の経営が傾いている場合、改善するには以下のような方法が挙げられます。
それぞれ具体的に解説します。
着工件数の減少により、既存の集客方法では厳しくなってきています。
以下のようなオンライン集客も取り入れ、顧客の幅を広げていきましょう。
最もおすすめなのがホームページです。
ホームページがあれば、広告やSNSなどでは伝えきれない自社の良さやこだわりを伝えられます。また、自社ホームページを持っている会社なら、お客様も安心して依頼できるでしょう。
自社サイトに訪れたユーザーのみにリーチする「リターゲティング広告」などと組み合わせれば、濃い見込み客を効率的に集客できます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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より集客を効率化したいなら、オウンドメディアもおすすめです。
オウンドメディアとは、ユーザーに役立つ記事・コラムを執筆し、検索結果から流入を狙う方法です。すでに大手メディアも多数参入していますが、ニーズや地域を絞れば小さな工務店でも流入を狙えます。
オウンドメディアはやや難易度が高い反面、成功すれば長期的・継続的な流入が見込めますので、戦略を立てた上で取り組んでみてください。
手軽に集客したいならSNSが最適です。
近年ではGoogle検索だけでなく、SNS上で調べ物をするユーザーが増えてきています。特にInstagramは工務店と相性が良く、施工事例やイメージなどを画像でわかりやすく伝えられます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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工務店経営では、資金力や計数間隔も重要です。
住宅の施工には、常にスケジュールの問題がつきまとうもの。作業日数を把握し、納期や予算、従業員の配属などを的確に決められれば、スムーズな経営を実現できます。
また、キャッシュフローが悪いと取引先からの信用が悪化する可能性もあります。資金繰り表を作成し、現場ごとの粗利もきっちり把握していきましょう。
作業負担を減らせば、その分のリソースで施工の完成度も上がり、お客様からも良い評判を得られます。おすすめなのは、ITの活用です。
ITを活用すれば、事務作業の負担や人件費を減らせるだけでなく、人的ミスを防げます。例えば、近年では屋根や外壁の点検にドローンを利用し、人で不足を補う方法も普及してきています。
システムの導入には時間やコストがかかりますが、トータルで見れば会社の利益につながるでしょう。
コミュニケーション力があれば、お客様や従業員、取引先からの信頼を得られますし、仕事が円滑に進められるようになります。
特に、地域密着型の工務店では、お客様からの信頼を勝ち取れれば紹介やリピートにより継続的な受注を見込めるため、非常にメリットが大きいです。
経営者自身がコミュニケーション力を磨くのはもちろん、社内教育も徹底し、自社に関わったすべてのお客様に良い印象を持ってもらえるよう心がけましょう。
ほとんどのお客様は、広告やチラシを見ても反応しません。
しかし、期間限定のイベントやセミナーなどを開催すれば、検討段階の腰が重いターゲットも集められます。コロナ禍でセミナー開催は難しいと思うかもしれませんが、最近ではZoomなどのツールを活用したオンラインセミナーも盛んです。
今回は、工務店経営の課題と戦略について解説しました。
工務店やハウスメーカーでは、着工件数の減少や人材不足などが問題になっています。ただ指を加えて見ているだけでなく、現代にあった経営戦略が求められているのが現状です。
以下のように戦略を立て、競合他社に埋もれないようにしましょう。