最近では、ウッドショックや原油価格高騰に伴う建築資材の値上がりで悩んでいる工務店の方も多くいるのではないでしょうか。
本記事では原価率の重要さについてお伝えするとともに、原価率を見直す際のポイントや利益率を改善する方法について説明をしていきます。
改めて経営状況を見直すポイントとして参考にしてみてください。
目次
まずはじめに原価率の概要について説明をしていきます。
原価率とは、売上高に対して占める売上原価の割合を示しています。
また下記の計算式で原価率を求めることができます。
売上原価として扱われるものが主に下記の項目になります。
また、建設業界の場合は1つの工事で発生する費用を「工事原価」と呼ぶ場合もあります。
これらの原価が、売上高に対してどれほどの割合を占めているのかが大切になります。
また、原価率に付随して重要視されるのが利益率であり、売上高から売上原価をひいた金額が利益になり、粗利とも呼ばれます。
次に、なぜ原価率が重要になるのか説明をしていきます。
結論としては、住宅を販売する際の利益を確保するためです。
先ほども説明をしましたが、売上高に対して占める売上原価の割合が原価率になります。
つまり、住宅の販売価格が変わらなければ、原価率が少なければ少ないほど、利益の幅は大きくなります。
利益が大きくなれば、広告費用や後の集客費用に充てることができるため、工務店を経営するうえで良い循環を生み出すことができます。
原価率が経営状況をチェックする際の全ての指標ではないですが、確認をするためのポイントとしては重要な1つの要素になります。
前の章では原価率を改善することによって、利益を生み出すことができるため重要であるとお伝えしました。
では、 原価率を改善する際にどのポイントをチェックする必要があるのでしょうか。
売上原価は大きく分けて4つに分類することが可能です。
上記の4つのポイントを参考に見直しをしてみてください。
まずはじめに材料費を見直す必要があります。
その際にチェックするポイントが下記の2つです。
住宅を建てる際に使用する建築資材は、原価率の改善に直接的に影響してきます。
そのため、日頃から建築資材の市場価格に注目をしておく必要があります。
市場価格と比較をして相場が高いのであれば、仕入業者に材料費の値下げ交渉をする必要があるかもしれません。
また、長く取引をしている業者があったとしても、原価を抑えることができる業者が他にあればそちらに変更する選択肢も持っておく必要があります。
しかし、金額ばかりに縛られるのではなく、見積もりや対応スピードの早さなど総合的に検討し、仕入れルートを決めることが大切になってくるでしょう。
次に、労務費も見直しをする必要があります。
住宅工事における労務費は、工事現場に関わる従業員の賃金や諸手当に該当します。
正社員や契約社員、アルバイトといった雇用形態に関わらず、 その人物にかかった賃金が当てはまります。
そのため、工事内容に対して人数が適切であったか、また工期・工程も効率的であったか、見直しをする必要があります。
住宅を建てる際には、少人数かつ短い工期で仕上げることができれば労務費としても改善ができるため、定期的に見直しをする必要があります。
3つ目に見直すポイントとなるのが外注費用です。
住宅を建てる際は、複数の会社が関わって1つの工事を完了させることが多くあります。
そのため、外部企業に製造や工事を委託した場合は外注費用となり、場合によっては高くなる可能性もあります。
そのため、自社で完結ができる内容なのか、外部に委託しなければ対応できないものなのか確認をする必要があります。
可能であれば自社で完結をし、効率的に売上原価を下げるようにしましょう。
最後に経費の見直しです。
ここでの経費とは材料費・労務費・外注費以外に掛かった費用になります。
例としては、工事の際に使用した水道光熱費や重機のレンタル費用になります。
また、工事現場に行くまでのガソリン代や駐車場の料金も経費として扱われます。
そのため、労務費の見直しとともに短工期で住宅を完成させることにより、経費の削減にもつながります。
原価率の管理のためにも意識的な改善が必要になります。
原価率の改善には、営業、設計、現場の一気通貫の情報伝達や仕組みが、小さな工務店の強みでもあり差別化できる「最大の武器」にもなります。工務店の組織づくりについて詳しくは以下の資料をご覧ください。
ここまでは、原価率を改善するためにどのような方法があるのかお伝えしました。
次に、原価率を改善したうえで、より利益率を上げるためのポイントについて説明をしていきます。
ここでのポイントは大きく3つです。
まず1つ目は、 前の章でも説明をした原価率に関わるコストを削減するということです。
材料費や労務費の見直しを行い工事原価を下げ、より利益の割合を増やせるように取り組む必要があります。
無駄なコストを削減し、確保できた利益を新規のお客様獲得への行動につなげられるように意識を向けることが大切になります。
次に、コストを削減した上で売上高を増加させることです。
コストを削減したことにより原価率は減少し、 利益率は上昇します。
その状態で総売上高を上げることで、利益率はより改善の方向に向かいます。
単に売上高を上げるといっても、工務店の事業形態や環境によって方法は異なってきます。
それぞれ状況に合った選択で売上高を伸ばす必要があります。
従業員の人数や業務状況から検討をしてみて、一棟あたりの販売単価を上げるのか、または年間の建築棟数を増やすのか考えてみるのも良いでしょう。
最後に、販売する住宅の高性能化を標準にすることも利益改善につながります。
利益率を改善するために単純に住宅の販売金額を上げたとしても、お客様がメリットを感じることは難しいです。
そのため、時代の流れとしても重要な高性能化を訴求する必要があります。
お客様自身が情報を手に入れ高性能化を求めていること、また大手のハウスメーカーが高性能住宅の割合を増やしていることも大きく影響をしています。
高性能化を進めたうえで一棟あたりの販売単価を上げ、お客様からの満足度も上げることが大切になります。
大手ハウスメーカーや同じエリア内の競合他社に負けないようにするには、「高性能住宅の標準化」が必要です。詳しくは以下の資料をご覧ください。
今回は、工務店における原価率について説明をしてきました。
工務店の経営を見るうえで材料費などの原価率は大きく影響しており、見直すポイントとしても大変重要になります。
原価率を見直しながら利益を改善するという点でも、今回挙げたポイントを改めてチェックしてみてください。