工務店を営む多くの方が、人口減少や少子高齢化、資材原材料の高騰といった経済の停滞に伴う課題に直面しています。
工務店経営者の中には、新築着工数が年々減少していることから、
などの課題を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、工務店の原価率の重要性と、改善のためのポイントを解説します。
本記事を読むことで、原価率を効率的に管理し、より良い経営方針を立てる気づきを知ることができます。
さっそく、「原価率」の基本からみていきましょう。
この記事のポイント
目次
「原価率」とは、売上高に占める売上原価の割合のことです。
(以下、場合により「売上高=売上」、「売上原価=原価」と略称します。)
原価の割合が低いほど、利益率は高くなります。そのため原価率は、工務店の経営を健全に保つ指標として、非常に重要な数値となります。
原価率は、下記の計算式で原価率を求めることができます。
原価率(%)=売上原価(工事原価)÷売上高×100%
売上原価は、主に下記の項目が該当します。
また、建設業界の場合は1つの工事で発生する費用を「工事原価」と呼ぶ場合もあります。
また、原価率に付随して重要視されるのが利益率であり、売上高から売上原価をひいた金額が利益になり、粗利とも呼ばれます。
さて、まずは工務店における原価率の基本をお伝えしましたが、大切なことは、原価率を効果的に管理し改善するためのポイントです。
次章以降で詳しくみていきましょう。
原価率を効果的に下げるためには、具体的な方法を理解し実行することが必要になります。ここでは、以下に示す4つの方法を紹介します。
順に説明していきます。
まずはじめに、材料費を見直す必要があります。
その際にチェックするポイントが下記の2つです。
住宅を建てる際に使用する建築資材は、原価率の改善に直接的に影響します。
そのため、日頃から建築資材の市場価格に注目をしておく必要があります。
市場価格と比較をして相場が高いのであれば、仕入業者に材料費の値下げ交渉をする必要があるかもしれません。
また、長く取引をしている業者があったとしても、原価を抑えることができる業者が他にあればそちらに変更する選択肢も持っておく必要があります。
しかし、金額ばかりに縛られるのではなく、見積もりや対応スピードの早さなど総合的に検討し、仕入れルートを決めることが大切になると考えられます。
次に、労務費も見直しをする必要があります。
住宅工事における労務費は、工事現場に関わる従業員の賃金や諸手当に該当します。
正社員や契約社員、アルバイトといった雇用形態に関わらず、 その人物にかかった賃金が当てはまります。
そのため、工事内容に対して人数が適切かどうか、工期・工程も効率的であったかなどを、定期的に見直す必要があります。
住宅を建てる際には、少人数かつ短い工期で仕上げることができれば、労務費の改善につながることが期待されます。
3つ目に見直すポイントとなるのが外注費用です。
住宅を建てる際は、複数の会社が関わって1つの工事を完了させることが多くあります。そのため、外部企業に製造や工事を委託した場合は、工務店の外注費用として計上されます。
外注費用は、適切な相場を理解しなければ、想定より高くついてしまうこともあります。
仮に相場感が把握しきれない場合は、外注ではなく自社で行うことも選択肢に入れることが重要となります。
自社で完結できれば、効率的に売上原価を下げることが可能です。
最後に経費の見直しです。
ここでの経費とは、材料費・労務費・外注費以外に掛かった費用になります。
たとえば、工事の際に使用した「水道光熱費」や「重機のレンタル費用」などが挙げられます。
また、工事現場に行くまでの「ガソリン代」や「駐車場の料金」なども、経費として扱われます。
こうした内容に意識を向けることで、原価率を下げることにつながる可能性があります。
さて、ここまでは原価率の概要と、その下げ方についてお伝えしてきました。原価率につながるさまざまな業務フローを見直すことで、工務店の経営課題の改善につながることがおわかりいただけたと思います。
一方、売上を伸ばすためには、原価率ではなく「利益率」にも目を向けることが重要になります。稼ぐ力の確保が、長期的な経営の安定や成功に欠かせないからです。
そこで次からは、利益率を伸ばす方法についてもみていきましょう。
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利益率を上げるためには、コスト削減だけでなく、売上の増加も同時に考える必要があります。
工務店が売上を増加させるためには、Webサイト上から新しい集客方法を導入することが有効となります。
また、既存顧客へのアフターフォローを強化し、リピート率を上げることも、重要な対策の1つとなります。
さらに、高性能住宅の標準化による販売単価の向上も有効な戦略といえます。時代の流れとして、住宅の高性能化が重要視されてきているからです。
こうした対策を打つことで、売上増加とコスト削減を同時に実現し、利益率の向上につなげることが可能となります。
今回は、工務店が直面する資材高騰の課題と、原価率・利益率についてお伝えいたしました。
本記事の主な内容を、以下にまとめます。
原価率は、あらゆるコストを見直し・削減することで、改善につなげることができます。
一方、原価率の改善だけでは限界があるため、利益率の向上に目を向けることが必要です。利益率の改善には、「住宅の高性能化」を推し進めることが、有効な対応策の1つになります。
すでに記事内でお伝えした通り、時代の流れとして、顧客は住宅の高性能化を求めています。さらに、販売する住宅の高性能化を推し進めることは、工務店の利益改善にも大きくつながります。
しかし、利益率を改善するために単純に住宅の販売金額を上げたとしても、お客様にメリットを感じていただくことは難しいでしょう。
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