近年注目を集めているZEH住宅は、賃貸経営においてもメリットがあります。しかし、一方で把握しておきたいデメリットがあるのも事実です。知らないまま行動に移すのは、やや早まった判断かもしれません。
そこで今回は、ZEH住宅での賃貸経営についてわかりやすく解説します。
また、ZEH住宅の賃貸で成功するためのポイントや補助金の有無なども解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
- ZEH住宅で賃貸経営するメリット・デメリット
- ZEH-Mとは何か
- ZEH住宅を建てる際に利用できる補助金
N-TERRACEが賃貸アパートのイノベーションを提唱

ZEH住宅はエコな賃貸を実現できる

ZEH(ゼッチ)住宅は、住宅の省エネルギーと創エネルギーを組み合わせた次世代型の住宅で、エコな賃貸を実現できるとあって注目を集めています。さらに、SDGsの観点からも支持され、社会的な関心が高まっています。
ZEH住宅に求められるのは、省エネに特化した設備や高い断熱性能、自分でエネルギーを作り出す仕組みです。
また、2027年度から新しいZEH基準の導入も予定されています。以下の記事で、新ZEH基準について詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

ZEH住宅で賃貸経営するメリット5選

ZEH住宅で賃貸経営するメリットは、以下の5つです。
- 入居者が1年中快適に過ごせる
- 家賃を高めに設定できる可能性がある
- ほかの物件と違う強みをアピールできる
- 売電収入を得られる
- 補助金を活用できるケースがある
それぞれの詳細を見ていきましょう。
入居者が1年中快適に過ごせる
ZEH住宅の賃貸は、入居者が1年中快適に過ごせるというメリットがあります。これは、ZEH住宅が高断熱仕様であり、室内の温度が安定するからです。具体的には、夏は涼しく、冬は暖かい部屋で過ごせます。
さらに、結露やカビの発生を抑えられるので、衛生面でもメリットがあるといえるでしょう。
また、温度差や乾燥による体への負担も軽減できるので、入居者は健康的な生活が送れます。結果、入居者が長く住んでくれる賃貸住宅となるでしょう。
家賃を高めに設定できる可能性がある
ZEH住宅の賃貸は、家賃を高めに設定できる可能性があります。これは、ZEH住宅の機能性や快適性に魅力を感じる人も一定数いるからです。よって、家賃を相場より高めに設定しても入居者を集められる可能性はあるでしょう。
また、ZEH住宅は効率の良い冷暖房器具や照明器具を採用しているため、入居者が光熱費を抑えられます。光熱費を減らせる分、家賃がやや高くてもそれほど負担を感じないケースもあります。
ほかの物件と違う強みをアピールできる
ZEH住宅の賃貸は、ほかの物件と違う強みをアピールできます。例えば、断熱性能が高くヒートショックのリスクを軽減できる点は、高齢者のいる家庭にとっては大きな魅力となります。
また、SDGsの促進といった環境問題に興味のある人たちにもアピールできるでしょう。
ZEH住宅にはほかの賃貸住宅にはないさまざまな強みがあるため、競合物件との差別化を図れます。結果、市場優位性が高まるので、空室リスクの低減にもつながります。
売電収入を得られる
ZEH住宅に設置された太陽光発電で作られた電気を売却すれば、収入も得られます。具体的には、ZEH住宅内で使い切れなかった電気を電力会社に売却します。
一部のZEH住宅の賃貸では売電収入を家賃や共益費に充てることもあり、オーナー・入居者双方にメリットがあるといえるでしょう。
補助金を活用できるケースがある
ZEH住宅を建てる場合、補助金を活用できるケースがあります。確実に活用できるとは言い切れませんが、条件を満たすことで建築費用の一部を補助金で賄えます。
ZEH住宅はほかの住宅よりも建築費用が高くなる傾向がありますが、補助金制度を活用できればある程度負担は軽減できるでしょう。
ZEH住宅で賃貸経営するデメリット

ZEH住宅で賃貸経営するデメリットは、以下の3つです。
- 初期費用が高い傾向がある
- 賃貸住宅のデザインに制約が出ることがある
- ZEH住宅を建築できる会社がそれほど多くない
さまざまなメリットがあるZEH住宅での賃貸経営ですが、一部デメリットも存在します。知らなかったと後悔しないよう、デメリットもしっかりと把握しておきましょう。
初期費用が高い傾向がある
ZEHの基準をクリアする住宅を建てる場合、高い断熱性能を持つ設備や省エネ設備の設置が求められるため、初期費用が高くなる傾向があります。
さらに、導入する設備の多さからメンテナンス費用が高くなるケースもあるため、注意が必要です。
ただし、先ほども伝えたように補助金を活用できればある程度費用の負担も軽減できます。ZEH住宅での賃貸経営を検討しているのであれば、あらかじめ補助金制度について調べておくとよいでしょう。
賃貸住宅のデザインに制約が出ることがある
ZEH住宅の場合、賃貸住宅のデザインに制約が出ることがあります。例えば、太陽光パネルを設置する場合、外装デザインに一部制約が出ることもあるでしょう。
住宅の外装デザインを重視する入居者にとって、ZEH住宅は魅力的ではないと判断される可能性もあります。
ZEH住宅を建築できる会社がそれほど多くない
ZEH住宅は、まだ建築できる会社がそれほど多くありません。もちろん、建築実績がある大手建築会社も存在しますが、規模の小さい会社ではまだ実績が多くないのも事実です。
これでは選択肢が限定されてしまうため、ユーザーにとってメリットがある状況とはいえないでしょう。
しかし、ここで新ZEH基準の詳細を把握し、うまく対応できればほかの会社と差別化を図れる可能性もあります。新ZEH基準への対応を進めたい場合は、以下の資料を無料でダウンロードしてみてください。
ZEH-M(ゼッチ・マンション)とは?

ZEH住宅で賃貸経営するなら、「ZEH-M(ゼッチ・マンション)」という言葉も知っておきたいところです。
ZEH-Mは「Net Zero Energy House Mansion」の頭文字を取った略称で、太陽光発電などで生まれる創エネルギーと住宅で消費する一次エネルギーの収支をプラスマイナスゼロにすることを目指した集合住宅のことです。
ZEHの集合住宅には、ZEH-M以外にも以下のようなものがあります。
- Nearly ZEH-M(ニアリー・ゼッチ・マンション)
- ZEH‐M Ready(ゼッチ・マンション・レディ)
- ZEH-M Oriented(ゼッチ・マンション・オリエンテッド)
ZEH-Mは入居者が1年中快適に過ごせるほか、入居者自身の光熱費を抑えられるというメリットがあります。ただし、家賃を相場よりも高く設定しなければならないケースもあるため、注意が必要です。
ZEH住宅を建てる際に利用できる補助金

ZEH住宅を建てる際に利用できる補助金は、以下のとおりです。
- 超高層ZEH-M実証事業
- 高層ZEH-M支援事業
- 中層ZEH-M支援事業
- 低層ZEH-M促進事業
利用できる補助金制度があるかもしれないので、ぜひ参考にしてみてください。
超高層ZEH-M実証事業
超高層ZEH-M実証事業は、住宅の部分が21階以上ある集合住宅が対象です。補助額は、補助対象経費の2分の1以内かつ年間3億円、1事業で10億円が上限です。
さらに、事業期間は最長5年間と定められています。
また、公募期間はその年によって変更される可能性もあるため、あらかじめ確認してみてください。
参考:一般社団法人環境共創イニシアチブ「超高層ZEH-M(ゼッチ・マンション)実証事業」
高層ZEH-M支援事業
高層ZEH-M支援事業は、住宅用途の部分が6層以上20層以下の集合住宅が対象です。補助額は、補助対象経費の3分の1以内かつ年間3億円、1事業8億円、加えて1戸50万円が上限です。
また、以下のような特定の設備を導入する際は補助額が追加されます。
- 電気自動車の充電設備
- 地中熱ヒートポンプシステム
- 液体集熱式太陽熱利用システム など
中層ZEH-M支援事業
中層ZEH-M支援事業は、住宅用途とされる部分が4層以上5層以下の集合住宅が対象です。補助額は、補助対象経費の3分の1以内かつ年間3億円、1事業8億円、1戸50万円が上限です。
こちらも、特定の設備を導入する際は補助額が追加されます。
低層ZEH-M促進事業
低層ZEH-M促進事業は、住宅用途とされる部分が3層以下の集合住宅が対象です。補助額は、1戸40万円、年間3億円、1事業6億円が上限です。
こちらも特定の設備を導入すれば、補助額は追加されます。
条件を満たさなければ補助制度は活用できませんが、調べて検討してみる余地はあるでしょう。
ZEH住宅の賃貸で成功するために気をつけたいこと

補助金の利用を考えているなら、早めに行動しましょう。ZEHには補助金の制度がいくつかありますが、いつでも好きなタイミングで申請できるわけではなく、公募期間が決まっています。
さらに、審査に通過しなければならず、申し込めば絶対に補助金を受けられるわけではありません。そのため、補助金を利用したいなら、計画的に行動する必要があります。
ZEH住宅で賃貸経営するかどうかは慎重に判断しよう
ZEH住宅は、賃貸経営においてもさまざまなメリットがあります。しかし、一部デメリットも存在するため、ZEH住宅で賃貸経営を行うかどうかは慎重に判断しましょう。
さらに、補助金の活用を考えている場合は計画的に行動することをおすすめします。
また、新ZEH基準への対応も検討すべきでしょう。どうすればいいのかわからない場合は、以下の資料を無料でダウンロードしてみてください。きっとあなたの役に立つはずです。
N-TERRACEが賃貸アパートのイノベーションを提唱
