図面と言えば手書きという時代は古いものとなり、現在はCADを利用して図面を作成することが主流となっています。
しかし、このCADの時代も2025年を境に変化する可能性が出てきました。
それが、国土交通省による公共工事における詳細設計・工事のBIM/CIM原則適用のスタートです。
2025年は、本格的なBIM/CIM導入の波が来ることが予想されます。
そこで、本コラムではBIM/CIM導入が急がれる理由や、工務店が導入する際に利用できる補助金について解説します。
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BIM/CIM導入が急がれる理由
日本でもよく聞かれるようになった「BIM/CIM」という言葉。特に最近では、国土交通省が小規模を除く公共工事において原則適用をスタートさせたとして話題になりました。
そもそも、BIM/CIMとは、建設プロジェクトの計画・設計・施工・維持管理に3Dデータの「BIM/CIMモデル」を導入し、一元管理することです。
これは、3Dデータを利用することで発注者・受注者・関係者の情報共有を容易にし、品質の確保や業務の効率化・高度化を図るものとして知られています。
BIM/CIM導入が急がれる理由として一番大きいのは、建設業界(建築・土木)の人手不足解消です。
BIM/CIMの導入は、3Dデータ利用によるプロジェクトの一元管理、情報共有の容易化、品質確保と業務の効率化が行えます。
これらが可能になることで、生産性を向上させ、建設業界の人手不足解消を図っているのです。
現在、世界各国においてもBIM義務化が進められており、シンガポールにおいては国土全体を3Dモデル化するプロジェクトも進んでいます。
このような世界各国のBIM/CIM活用の動きも、導入を急ぐ理由の一つと言えるのではないでしょうか。
BIM/CIMについては、さらに時間軸(施工ステップ)まで取り入れた、4Dモデルの活用まで視野に入っており、ますます建設分野において重要度が高まってくると思われます。
IT導入補助金を利用してBIM/CIMを導入する
BIM/CIMは公共工事に関わるものであるため、工務店が導入する必要はないのでは?と考える方もおられるでしょう。
しかし、国土交通省はBIM/CIMの活用の加速化を図るため、2025年度からBIM確認申請の試行を開始することを発表しています。
さらに、建築分野におけるBIM/CIM活用やデジタルデータ活用の普及を意図して、令和2年度、令和3年度のモデル事業における検証・分析成果を一覧する事例集を発行しました。
このように、建築分野におけるBIM/CIMの活用の普及が進んでいるのが現状です。
また、工務店がBIM/CIMを住宅設計に導入した場合、ユーザーへのプレゼンに非常に有効であるとされています。
BIM/CIMの本格的な活用がはじまった今だからこそ、BIM/CIMの導入を検討する価値はあるのではないでしょうか。
そこで、ここでは工務店がBIM/CIMを導入する際に利用できるIT導入補助金について解説します。
IT導入補助金とは
IT導入補助金とは、正式名称を「サービス等生産性向上IT導入支援事業補助金」と言い、経済産業省が所管しています。
中小企業や小規模事業者に向けて、生産性の向上を目的に事業を最適化するITツール導入の際に、国から導入経費を一部負担してもらうことで業務効率化をサポートする制度です。
2023年度のIT導入補助金は、下記の種類に分類され、最大450万円の補助金を受けることができます。
- 通常枠(A・B型):経営課題や課題解決を図るITツール導入のための経費を補助
- セキュリティ対策推進枠:サイバーインシデントが引き起こすさまざまなリスクの低減を図るITツール導入のための経費を補助
- デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型):会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの経費の一部を補助
2023年度のIT導入補助金における補助金の補助率は以下の通りです。
- 通常枠(A類型・B類型):費用の2分の1、最大450万円を補助
- セキュリティ対策推進枠:サービス料の2分の1、最大100万円を補助
- デジタル化基盤導入枠:50万円以下(補助率4分の3)、50万円超〜350万円以下(補助率3分の2)
補助対象
それでは、IT導入補助金の補助対象となるものには、どのようなものがあるのでしょうか。
業務の効率化や売上の向上が図れるITツールの分類としては、以下のようなものがあります。
- 営業・顧客管理(CRM・SFA・MA・メタバースなど)
- 経理・会計
- 人事・労務管理
- 生産管理
- 業務効率化(RPAなど)
これらは、どの会社や組織でも導入および活用がしやすい汎用的なITツールです。
しかし、これ以外にも、特定の業界でのみ活用できるITツールでも、業務の効率化や売上の向上が図れるITツール(建設業界で言えばBIM/CIMなども含まれる)であれば補助金の対象となります。
IT導入補助金の制度を利用する場合、「実績報告」を行う必要があることに注意が必要です。
ITツール導入後、売上や業務にどのような変化が起きたかについて報告しなければなりません。
そのため、どのようなITツールを導入すれば効率的に業務を遂行できるか、売上の向上がはかれるかを見極める必要があります。
補助金の申請が可能な対象者
IT導入補助金の申請ができる対象事業者について、資本金や従業員数(常勤)の規定があります。以下の表にまとめてありますので、ご確認ください。
業種 | 資本金 | 従業員数 |
製造業、建設業、運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業(ソフトウエア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) | 5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) | 3億円 | 900人 |
ソフトウエア業又は情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 |
また、以下のような事業者は補助金申請の対象外となります。
- 大企業のグループ企業や、課税所得額が大きい企業
- 導入支援事業者に登録されている事業者または登録を行おうとしている事業者
- 経済産業省から補助金等指定停止措置または指名停止措置が講じられている事業者
- 風俗営業事業者
- 過去1年において、労働関係法令違反により送検処分を受けている事業者
- 反社会的勢力に関係する事業者
- 宗教法人
- 法人格のない任意団体(同窓会・PTA・サークル等)
- その他、IT導入補助金事業の目的・趣旨から適切でないと経済産業省及び中小機構並びに事務局が判断する者
その他、IT導入補助金について詳細を知りたい場合は、「IT導入補助金2023」のサイトをご確認ください。
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建築BIM導入加速化事業とは
最後に、令和4年度2次補正予算において新たに創設された「建築BIM導入加速化事業」について触れておきましょう。
建築BIM導入加速化事業とは、国土交通省によって新たに創設された補助事業で、中小企業の建設におけるBIMの使用を促進することを目的としています。
これまで、BIM関連の補助金が数億円単位だったのに対し、建築BIM導入加速化事業では80億円の予算が割り当てられ、最大で9,000万円の補助金を受け取ることが可能です。
このことからも、国土交通省がBIM/CIM導入に本腰を入れているのが分かります。
現状として、中小企業ではBIM/CIMが活用されていないことから、本事業を推進することで中小企業へのBIM/CIM導入を加速化し、官民連携のDXを推進を目的としているようです。
建築BIM導入加速化事業について、詳細を知りたい場合は、国土交通省のサイト内にある「建築BIM加速化事業について」をご参照ください。
まとめ
2023年、公共事業において原則適用がスタートしたBIM/CIM。建設業界はもちろん、今後は、住宅業界への影響も考えられます。
BIM/CIMの導入は、住宅の完成図を3Dモデルとして提示することができるため、ユーザーにも分かりやすいというメリットがあります。
BIM/CIMの導入で、他の工務店との差別化を図り、業務の効率化はもちろん、売上の向上を図る時代がすでに来ていると言えるでしょう。
IT導入補助金を利用することで、通常よりコストを抑えてBIM/CIMの導入が可能です。
BIM/CIM導入は、今後のトレンドになることは間違いないと思われますので、住宅業界への本格的な導入が始まる前に対応しておくことをおすすめします。
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