地中梁スリーブについて、しっかりと説明できるほど理解していますか?
もし地中梁スリーブを設けずに設備配管を通そうとすると、コンクリート打設後に開口部を新たに設ける必要が生じます。
しかしこれは、すでに硬化した構造体に穴をあけることになるため、構造的な強度低下や耐久性への影響が懸念されます。
このように、地中梁スリーブは構造の安全性を確保しつつ、設備配管などをスムーズに通すために重要な役割を果たしています。理解を深めるためにもこの記事で、地中梁スリーブについてしっかり確認していきましょう。
この記事では、メリットや種類など地中梁スリーブについて網羅的に解説します。
- 地中梁スリーブとは何か
- 地中梁スリーブのメリット
- 地中梁スリーブの種類
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目次
・こんなお悩みはありませんか?
・基礎のコストが上がった
・他社と差別化できる工法を持っていない
・鉄筋、コンクリートの値段が上がった
・杭工事で予算オーバーになった
・特徴がないので、他社と差別化できない
地中梁スリーブって何?使用用途も紹介

地中梁スリーブは、地中梁に配管やケーブルなどを通すための部材です。円形あるいは矩形の断面であり、筒状の空間を確保しているのが特徴です。
地中梁スリーブは、以下のような設備を円滑に通す役割を担っています。
- ケーブル
- 電線管
- 給排水
- 空調配管 など
また、コンクリート打設前に所定の位置に地中梁スリーブを設ければ、あとから無理に孔を開けることなく設備を導入できます。
そもそもスリーブとは?なぜ必要?
では、ここでそもそもスリーブとは何かということも確認しておきましょう。スリーブは、筒状の管のことです。
配管を通す穴を確保する目的で使用されます。
また、スリーブは以下の3種類に分けられます。
- 床スリーブ
- 梁スリーブ
- 地中梁スリーブ
こちらをみてわかる通り、地中梁スリーブはスリーブの一種です。
貫通させる箇所が床なのか梁なのか、地中梁なのかで、呼ばれ方が異なります。
地中梁についても理解しておこう

ここで、地中梁についても確認しておきます。
地中梁は、建物の安定性を保つために重要な構造部品です。建物の1階部分を支えるためには欠かせません。
具体的には建物の基礎をつなぎ、応力で床を支えて地盤沈下を防いでいます。
地中梁は一般的に鉄筋コンクリートで造られ、耐久性が高く錆びにくいというメリットがあります。
以下の記事でも地中梁について詳しく解説しているので、理解を深めるためにもぜひチェックしてみてください。

地中梁スリーブのメリット
地中梁スリーブには、以下のようなメリットがあります。
- コンクリート打設前に設置すればあとから無理に穴を開けなくてもいい
- 構造体を傷つけずに済む
- メンテナンスや設備の更新をスムーズにする
- 施工時の手間を減らせる
- 構造物全体の耐久性を向上させる
ただし、適当に設置するのはNGです。事前に設置計画を立てて、必要な数や大きさを設計段階で把握しておく必要があります。
地中梁スリーブの種類

地中梁スリーブは、以下の4種類に分けられます。
- プラスチック製スリーブ|軽量で施工が容易
- 鋳鉄製スリーブ|水の侵入を防げる
- 紙管スリーブ|軽くて持ち運びが簡単
- 溶融亜鉛めっき鋼板スリーブ|耐久性に優れている
以下で詳細を見ていきましょう。
プラスチック製スリーブ|軽量で施工が容易
プラスチック製スリーブは、軽量で施工が容易だという特徴があります。
主にポリ塩化ビニル(PVC)やポリエチレンなどのプラスチック素材で作られており、耐久性を最優先にするわけではないのであればプラスチック製スリーブで十分でしょう。
鋳鉄製スリーブ|水の侵入を防げる
鋳鉄製スリーブは、水の侵入を防げるという特徴があります。
4種類の中でも、特に地下外壁のケーブル引込用として使用されることが多い傾向にあります。
紙管スリーブ|軽くて持ち運びが簡単
紙管スリーブは、ボイド管の名前で聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。文字どおり紙製なので非常に軽く、持ち運びが簡単という特徴があります。
ただし、湿気に弱く、耐久性および耐水性には気をつけなければなりません。
溶融亜鉛めっき鋼板スリーブ|耐久性に優れている
溶融亜鉛めっき鋼板スリーブは、亜鉛めっきにより錆びにくくなっており、耐久性に優れているという特徴があります。
今回紹介した4種類の中でも耐久性はトップクラスで、過酷な環境下でも使えるスリーブです。
スリーブの施工手順

スリーブの施工手順は、以下の通りです。
- スリーブを発注する
- 加工する
- 目印をつける
- スリーブを取り付ける
- スリーブを掘り起こす
それぞれの詳細を確認しましょう。
STEP1.スリーブを発注する
最初に、スリーブを発注します。
例えば、スリーブ内に通したい管の直径が200mmなら、スリーブの直径はそれ以上でなければなりません。
ただし、単に大きければいいというわけでもないので注意が必要です。
スリーブが大きくなるとコンクリートが打設される範囲が減るので、建物の強度が落ちてしまいます。
スリーブを発注するときは、現場に最適なものを選びましょう。
STEP2.加工する
スリーブを発注したら、加工を施します。
例えば、スラブの厚さよりも長い場合などは加工が必要です。
また、長さの調節ができるスリーブがあります。現場で長さを調整しなければならない時は、長さの調節ができるスリーブも検討しましょう。
STEP3.目印をつける
スリーブの加工が完了したら、実際に取り付ける場所に目印をつけます。
この目印をつける行為を墨出し作業ということもあるので、併せて覚えておきましょう。
数ミリの差が大きな影響を与えてしまう可能性もあるので、目印をつける作業も慎重に行う必要があります。
STEP4.スリーブを取り付ける
目印をつけて実際に設置する箇所が決まったら、いよいよスリーブを取り付けます。
具体的には、スリーブに固定用の金具を取り付けて型枠に打ち込みます。
取り付けが不十分だと外れてしまうこともあるので、しっかり固定してください。
STEP5.スリーブを掘り起こす
最後に、スリーブを掘り起こします。
コンクリートの打設が終わった後、スリーブの位置を施工図で確認してハンマーなどを使って掘り起こすと、配管を通す穴を確保できます。
ちなみに、コンクリートの打設に立ち会うことをアイバンといい、スリーブの位置がずれないように見守ります。

地中梁スリーブを施工する際の注意点
地中梁スリーブに限らず、スリーブを設置した箇所には補強筋の施工が必要です。
スリーブは穴が空いているので、その分建物の強度を維持するために補強しなければなりません。
大きなスリーブほど必要な補強筋も大きくなるので注意しましょう。
また、スリーブを横に並べて施工する場合、それぞれの間隔は離す必要があります。
これは、スリーブ同士が近すぎると、大きな空間ができてしまうのが建物の構造上良くないからです。
スリーブの平均直径の3倍以上は離して施工しましょう。
地中梁スリーブは目的に合わせて使い分けよう
地中梁スリーブは、地中梁に配管やケーブルを円滑に通すという重要な役割を担っています。地中梁スリーブを使用することで、構造体を傷つけずに済んだり、施工時の手間を減らせたりするメリットがあります。
ただし、地中梁スリーブは4種類あるので、目的に合わせて最適なものを使い分けましょう。
また、地中梁スリーブに限らず、基礎コストなどでお悩みの場合はMake Houseにご相談ください。
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