工務店経営の基本と戦略を総解説|現役経営者が押さえておくべきポイントとは?

「紹介だけでは受注が安定しない」
「マーケティングに手が回らない」

そんな悩みを抱えている工務店経営者は、少なくありません。

人手不足や大手との競争激化など、取り巻く環境が変化する中で、経営の見直しは急務です。

本記事では、以下の内容についてご紹介しているので、ぜひ今後の経営の見直しにお役立てください。

【この記事でわかること】
・工務店経営の基本構造
・今の工務店経営を取り巻く環境
・工務店経営にありがちな課題とその解決策
・工務店向けのブランディング戦略

監修者

眞木 健一

Make House株式会社 代表取締役

福岡にて1600棟以上の注文住宅の実績。また、casa projectを創業し『casa cube』をはじめとした企画住宅を全国に展開。
その後2社を売却し2016年、技術ある職人や工務店の設計サポートを行うMake House株式会社を立ち上げる。

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目次

工務店経営の基本構造を理解する

工務店経営の基本構造を理解するために、以下を理解しておきましょう。

工務店というビジネスモデルの特性

工務店は、受注生産型のビジネスモデルを採用しています。

顧客ごとに原価・工期・品質が変動するため、案件単位での細かな管理が欠かせません。

材料費や人件費を先払いして完工後に入金される「後払い構造」が、資金繰りを複雑にする大きな要因です。

特に受注が集中する時期には、手元資金が不足しやすくなるため、キャッシュフロー管理が重要になります。

ハウスメーカーとの最大の違いは、プランや仕様が規格化されていない点です。

顧客ニーズへの柔軟な対応は強みになる一方、案件ごとに管理コストが増えやすいのも事実で、強みと難しさは、表裏一体といえるでしょう。

工務店経営者に求められる3つの役割

工務店経営者に求められる役割は、主に以下の3つです。

・施工管理者としての役割(品質・工期・安全の担保)
・経営者としての役割(利益・資金・人材・戦略の管理)
・営業・マーケターとしての役割(集客・受注・顧客関係の構築)

この3役を一人でこなしているケースが多く、どこかが手薄になってしまいます。

まず自分が、どの役割に時間を使えていないかを把握することが改善の第一歩といえるでしょう。

今の工務店経営を取り巻く環境

今の工務店経営を取り巻く環境について、以下3つの観点でご紹介します。

新設住宅着工件数は2040年に約46万戸まで減少する見通し

新設住宅着工件数は、今後15年で大きく落ち込む見通しです。

野村総合研究所の予測によると、2024年度に約82万戸だった新設住宅着工戸数は、2040年度には約46万戸へと減少する見込みとなっています。

また、需要が縮小するだけでなく、住宅建設技能者数も2040年には約51万人と2020年比で約37%減少する見通しであり、需要と供給力が同時に低下する現象が進行中です。

一方で広義のリフォーム市場は2040年に9.2兆円まで緩やかな成長が続く見込みであり、新築中心だった工務店もリフォーム・リノベーションへの事業シフトを迫られる局面が近づいています。

一概に落ち込んでいるだけの状況ではないので、悲観的になりすぎないことが大切です。

少子化・人口減少・賃貸志向の広がりが持ち家需要を押し下げている

持ち家需要の低下は、住宅市場の縮小に拍車をかけています。

厚生労働省の人口動態統計によると、2024年に生まれた子供の数は68万6,061人で前年比5.7%減、合計特殊出生率も1.15と過去最低を更新しました。

少子化のペースは政府の推計を15年以上前倒しで進んでおり、将来的な住宅需要の減少は避けられない状況です。

30代の持ち家率も、1983年の53.0%から2013年には38.6%まで落ち込んでいます。

終身雇用の崩壊とともに住宅ローンを組みにくい雇用環境が広がり、40代前半の持ち家比率も30年前の約66%から約56%まで低下しています。

さらに2040年には単身世帯が全世帯の約4割に達する見込みであり、家族で持ち家を持つというライフスタイル自体が少数派になっていく可能性も高まるでしょう。

大手ハウスメーカーも同じ市場を奪いにくる競争環境

市場が縮小する中、競争の激しさは増す一方です。

積水ハウスや大和ハウス工業など大手ハウスメーカー各社は、規模とブランド力を武器に地域市場への攻勢を強めており、工務店にとっての競合相手が以前より格段に強力になっています。

全国規模の広告投資やモデルハウス展開、手厚いアフターサービス体制など、地場工務店が単独では対抗しにくい強みを大手は持っています。

また、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)や長期優良住宅への対応力でも差をつけてきており、環境性能への対応が遅れた工務店ほど受注機会を失うリスクが高まっています。

加えて、インターネットの普及により地域の人脈からの紹介だけで売上を確保することが難しくなっており、自社で情報を発信して集客する力がなければ存続が危うくなっています。

差別化できない工務店は価格競争に巻き込まれ、利益率が先細りしていくリスクが想定されるでしょう。

工務店経営にありがちな課題とその解決策

工務店経営にありがちな課題とその解決策について、解説します。

マーケティング担当がいない

工務店の多くは、マーケティングを担える人員が社内にいないという構造的な問題を抱えています。

消費者の情報収集行動がインターネット中心に移行しているにもかかわらず、自社サイトが古いまま放置されているケースは珍しくありません。

通常業務に追われてWebマーケティングやSNS運用まで手が回らず、デジタルスキルの浸透を妨げています。

解決策として有効なのは、外部のWeb制作・運用会社への委託や、MAツール(マーケティングオートメーション)の導入です。

新規顧客のデータベース化と潜在顧客の育成を自動化することで、少人数でも効果的なマーケティング活動を回せる体制を整えやすくなります。

環境を整えた後は、SEO対策やInstagram・YouTubeを活用した施工事例の発信など、費用対効果の高いオンライン集客を開始しましょう。

営業活動が足りていない

地元の人脈からの紹介に長年依存してきた場合、自ら能動的に集客する営業活動は不慣れな取り組みといえます。

着工件数が減少している現在、紹介のみに頼り続ける姿勢は工務店の存続を危うくする要因になりかねません。

解決策として全員が自社の商品を理解する、初回打合せ~お引渡しまでフローを見直すといった対策を取り、社員全員がお客様に向く体制を取り、無駄な業務フローを省くようにしましょう。

社員全員が営業マンになるような対策を作り、会社としての営業力を高めることが大切です

設計士が足りていない

設計士を含む住宅建設の担い手不足は、今後さらに深刻化する見通しです。

2040年には住宅建設技能者数が約51万人にまで減少し、現場では1人あたりの負荷が2010年比で約1.3倍になると予測されています。

背景には建設業の「3K(きつい・汚い・危険)」イメージによる若手離れがあり、給与・休暇・希望という新3Kを体現できる職場環境をつくれなければ、若い設計人材の確保はますます難しくなります。

対応策としてまず有効なのは、設計の外注です。

時間のかかりやすい作図作業を外注することで、社員のリソースを節約できます。

お客様の接客業務を中心に行い、作業は外注する体制を組むことでお客様からの満足度も高まりやすいでしょう。

工事の生産性が上がらない

建設業界の生産性は他産業と比べて低い水準にとどまっており、情報共有が電話中心・図面が紙ベースのままという工務店も多く残っています。

2021年以降のウッドショックや資材高騰が続く中、建材費以外の粗利を確保するためにも、生産性向上は急務です。

2040年の住宅需要を満たすには現状比で約1.3倍の生産性向上が求められており、現場レベルの工夫だけでは対応に限界があります。

現場指示を無くすために標準納まり図で指示すること、商圏を絞り移動時間を減らすことで工事の生産性を高めましょう。

また、有効な打ち手として、施工管理アプリや工程表のクラウド共有、写真報告のデジタル化といったスモールスタートで始められるDX施策を段階的に取り入れることも挙げられるでしょう。

IT化による事務作業の効率化は人件費削減と人的ミスの抑制につながり、空いたリソースをマンパワーが必要な現場業務に集中させられます。

大きな投資をかけずに現場の見える化と効率化を同時に進められる点で、段階的なDX推進は工務店経営の改善に直結する取り組みといえるでしょう。

工務店におけるDXについて、以下の記事で解説しているので、併せて参考にしてみてください。

選ばれる工務店になるためのブランディング戦略

選ばれる工務店になるためのブランディング戦略として、「強み」を言語化することやターゲットを絞ることが大切です。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

「強み」を言語化しなければ伝わらない

自社の強みを言語化・ビジュアル化してこそ、顧客の共感と信頼を獲得できます。

例えば「高品質な家づくり」「手厚いアフターサービス」といった価値を明確にし、ブランドイメージを確立することが顧客の心を掴むことが必要です。

また、建設に際し、「なぜこの素材を使うのか」というこだわりを言葉と映像で表現すれば、他社との違いが伝わりやすくなります。

強みが不明確な場合は、顧客アンケートや聞き取りで「選ばれた理由」を洗い出す方法が有効となるでしょう。

価格・性能・安心感などの要素は、ブランディングの材料になり得ます。

ブランディングを継続すると、顧客の頭に「注文住宅といえばここ」というイメージが定着し、競争優位を築きやすくなるでしょう。

ターゲットを絞ることで「選ばれやすく」なる

ターゲットを絞り込まないと、ブランドイメージがぼやけて自社の強みが機能しなくなります。

「自然素材にこだわった健康住宅」「高性能断熱の省エネ住宅」「狭小地に特化した都市型デザイン住宅」のように特定分野に特化したブランドメッセージを掲げることで、顧客の記憶に残りやすくなり他社との差別化につながります。

長年地域密着で活動してきた工務店が「デザイン性の高い住宅」を強みに共働きの若年夫婦層をターゲットにしたブランディングを実施した結果、従来の顧客層に加えて若年層からの支持も獲得した事例もあります。

ただし、コンセプトに反した営業を行うと、マイナスの口コミが広がりブランド力が低下するリスクがあります。

ターゲットと提供価値を明確にしたうえで、営業・設計・施工のすべての現場でコンセプトを一貫させることが重要です。

ブランディングが定着すると一貫性のある経営ができるようになり、競合が同じサービスに参入してきた際にも優位な地位を確立しやすくなるでしょう。

ブランディングは広告費より先に取り組む

広告に投資する前に、まず自社の価値を確立することが先決です。

広告はブランドの価値が整っていてこそ効果を発揮するものであり、強みやコンセプトが不明確な状態でどれだけ露出を増やしても費用対効果は低くなります。

自社のこだわりを言語化・ビジュアル化できていない状態でホームページやSNSを運用しても競合との違いが伝わらず、結果的に価格比較に持ち込まれるリスクが高まります。

ブランドコンセプトとターゲットを決め、それに沿ったサービス内容を設計することがブランディングの起点です。
この土台を整えてからホームページや広告の見直しに進む順番が定石といえます。

しっかりブランディングして競合と差別化できれば価格競争から抜け出すことにつながり、集客コストを抑えながら熱量の高い顧客の獲得を実現できるでしょう。

工務店を育てる人材採用・育成戦略

工務店を育てる人材採用・育成戦略を3つに分けて解説します。

採用の前に「職場の魅力」を整える

採用活動を始める前に、まず職場環境の整備が不可欠です。

建設業は長時間の肉体労働が多く、「3K」のイメージから若者に就業を避けられる傾向があります。

休暇制度の拡充・資格取得支援・健康管理支援といった福利厚生の改革が、採用力の向上に直結するでしょう。

また、経験年数や保有資格に応じた明確な昇給基準を設け、業績連動型の賞与制度を導入することも重要です。

離職率の低さや職場環境の良さは採用時のアピールポイントになり、従業員満足度が高まれば人脈を活かした採用も可能になります。

定着する職場づくりは、結果として採用コストの削減にもつながる施策なので、積極的に取り組みましょう。

育つ環境は「教える仕組み」から生まれる

若手の早期戦力化には、段階的な育成カリキュラムの整備が欠かせません。

入社後3年程度の育成計画を策定し、基礎研修・実務研修・専門研修のステップを踏むことで、個々の成長に応じた指導が可能になります。

特に入社後3か月間のフォローが定着に大きく影響し、技術研修に加えてメンター制度を活用した精神面のサポートも効果的です。

また、資格取得費用の全額補助や取得後の手当支給を制度化し、ベテラン職人への指導手当を新設するといった学ぶことが報われる仕組みづくりが育成文化の醸成につながるでしょう。

人が定着する職場の条件

従業員が長く働き続けるためには、安心して働ける環境構築が大切です。

人が定着しやすい職場の条件として、共通しているものを以下にまとめました。

  • クラウド型の工程管理システムの導入、ビジネスチャットツールによる情報共有の整備
  • 最新工具や安全機器の導入・休憩スペースの整備・作業着や工具類の支給
  • 経営戦略や事業計画を従業員に定期的に説明
  • 職場の不公平感をなくす公正な評価制度の整備

いずれも社員のモチベーションに直結し、会社のビジョンを伝えるために必要な取り組みです。

人材流出を防ぐためにも、上記の対策を積極的に行いましょう。

工務店経営の組織体制を見直したいと感じている方は、以下のページから無料でお役立ち資料をダウンロードできるので、チェックしてみてください。

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紹介に頼らない仕組みを持つための工務店集客戦略

工務店の集客戦略として、以下4つに分けてご紹介します。

1.今すぐできる集客の第一歩「Googleビジネスプロフィール」

引用:Google

地域密着型の工務店にとって、Googleビジネスプロフィールは最も手軽に始められる集客ツールのひとつです。

Googleマップや検索に自社のローカルビジネス情報を無料で掲載でき、登録の有無によってホームページへの流入数が大きく変わります。

詳細設定まで細かく行っている工務店は少なく、基本情報の入力・施工写真の掲載・口コミへの返信を継続するだけで競合との差をつけやすい状況です。

成果が出始めるまでには3〜6か月ほどかかるため、早期に集客したい場合はGoogle広告との併用が有効となるでしょう。

地域SEOについて学ぶには、以下の記事がおすすめです。

2.ホームページを「集客装置」として機能させる

SEO対策によるホームページの最適化は、長期的に見込み顧客との接点を生み出し続けられる点が最大の強みです。

ポータルサイトや仲介サービスに依存せず、自社サイトから直接問い合わせを獲得できる体制を整えられます。

トップページだけで集客を狙うのではなく、「耐震設計」「断熱住宅」など自社の強みやユーザーの具体的なニーズに特化した下層ページをいかに増やすかが、工務店ホームページの要となります。

施工事例・費用の目安・スタッフ紹介などの情報を蓄積することで、Googleからもユーザーからも信頼される地域の専門店としての評価が高まるでしょう。

また、今後はAI検索からの流入増加も想定されており、自社のアンケート結果などの一次情報の公開やFAQの強化といったAI対策も不可欠になりつつあります。

ホームページ集客については、以下のページも参考にしてみてください。

3.Instagram活用

国内約6,600万人のアクティブユーザーを抱えるInstagramは、その中心が20〜40代と家づくりを検討する世代と重なっており、工務店との親和性が高いSNSです。

表現力と手軽さを両立したInstagramが、工務店集客において最も実践しやすい選択肢といえるでしょう。

リール投稿や発見タブなどフォロワー以外に届く機能が豊富なため、関連性の高いハッシュタグを活用すればフォロワーが少ない初期段階でも多くのユーザーにアプローチできます。

施工事例を並べるだけでなく、自社のコンセプトや強みを伝える場として投稿に統一感を持たせ、ブランドイメージを高めることが集客効果につながります。

施工事例はInstagramで写真中心に発信し、家づくりの詳しい解説はYouTubeで行うというクロス活用も複数チャネルでのフォロワー獲得に有効な戦略です。

Instagramの運用方法については、以下記事を参考にしてみてください

4.YouTube活用

YouTubeは日本国内の利用者数が7,120万人に上り、20〜40代の利用率は約95.9%と高く、工務店集客に適したメディアです。

住宅やリノベーションプロジェクトを、写真では伝えきれない動きや雰囲気ごとダイレクトに届けられる点が強みといえます。

「後悔しない家づくり」系のコンテンツは特に人気が高く、社長や設計士がカメラの前で話す動画はスタッフの人柄を伝えることで信頼性の担保にもつながります。

YouTubeはGoogleが運営しているため、動画タイトルや説明文にキーワードを設定する動画SEOを意識することで、ホームページの集客とも相乗効果が生まれるでしょう。

ルームツアー動画から問い合わせの獲得、YouTube活用をきっかけに商談時間が短縮されたりと、継続することで集客だけでなく営業効率の改善にも効果をもたらします。

YouTube運用については、以下の記事もチェックしてみてください。

まとめ

マーケティング不足・人手不足・生産性の低さなど、工務店が抱える課題はさまざまです。

しかし、それぞれに有効な打ち手は存在します。

自社の現状を冷静に把握したうえで、優先順位をつけながら改善を積み重ねることが、長期的な経営安定への近道となるでしょう。

住宅市場は縮小傾向にあるものの、リフォーム需要の拡大など新たな可能性も広がっています。

ブランディングや集客の仕組みを整え、働きやすい職場環境をつくることで、選ばれ続ける工務店へと成長できます。

今回ご紹介した内容を参考に、自社に合った経営改善を進めてみてください。

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