外壁塗装リフォームの見積もり原価が「以前より明らかに高くなった」と感じている工務店は多いはず。
実際、費用相場は2022年比で平均14万円以上も上昇しています。
塗料メーカーの相次ぐ価格改定、足場法改正、職人不足による労務費高騰など、複数の要因が重なった結果といえるでしょう。
そこでこの記事では、以下の内容について解説します。
外壁塗装リフォームの原価値上がりについて悩んでいる工務店経営者、担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
※本記事の内容については2026年4月21日の最新情報に基づいております。

監修者
眞木 健一
Make House株式会社 代表取締役
福岡にて1600棟以上の注文住宅の実績。また、casa projectを創業し『casa cube』をはじめとした企画住宅を全国に展開。
その後2社を売却し2016年、技術ある職人や工務店の設計サポートを行うMake House株式会社を立ち上げる。
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外壁塗装リフォームの原価値上がりはいつから始まったのか

外壁塗装リフォームの原価値上がりはいつから始まったのか、原因や時期について迫っていきます。
2021年初夏:塗料メーカーによる価格改定の連鎖
値上がりの起点は2021年の初夏で、原材料である石油由来の合成樹脂・溶剤の価格が急騰したことで塗料メーカーが相次いで価格改定を実施しました。
2021年に塗料価格は約15%上昇し、翌2022年にさらに約15%上昇——2年間で累計約30%という異例の高騰が業界全体を直撃しました。
背景にあるのはコロナ禍からの経済回復による需要急増で、世界的に原材料の奪い合いが起き、調達コストが一気に跳ね上がりました。
日本ペイント・関西ペイント・エスケー化研の大手3社が2022〜2023年にかけて約10〜25%の価格改定を複数回実施し、業界全体で塗料コストの底上げが固定化しました。
この時点で「一時的な価格高騰」ではなく「構造的なコスト増」として業界に認識され始め、工務店の原価管理に直接的な影響が出るようになりました。
2024年4月:足場法改正がトリガーとなった追加コスト増
2024年4月1日の足場に関する法改正により、幅1m以上の場所では原則として本足場の使用が義務化され、簡易な一側足場が使えなくなりました。
これにより足場コストが上昇し、外壁塗装費用の内訳のうち足場代(全体の約30〜40%を占める)が直接値上がりする形となりました。
同時期に足場部材自体の資材価格も高騰しており、費用圧力は法改正前から積み上がっていましたが、4月の法改正が実質的な価格転嫁のタイミングとなりました。
工務店にとっては「塗料代は以前から上がっていたが、足場代まで上がった2024年4月が体感的な転換点」として認識されることが多いでしょう。
法改正への対応は安全性の観点から不可避であり、足場コストは今後も下がらない前提で見積もりと顧客説明を組み立てる必要があります。
客出し外壁塗装リフォームは具体的にどれくらい値上がりしているのか

客出し外壁塗装リフォームは具体的にどれくらい値上がりしているのか、その費用感について解説します。
外壁塗装の平均工事費:2022年比で+14万円
774件の成約データを分析した2026年の調査によると、外壁塗装のみの平均価格は127万円で、2022年の同調査比で+14万円の上昇が確認されています。
外壁+屋根の同時塗装では平均142.5万円で、こちらも+14.5万円上昇しており、単純計算で1割以上のコスト増が現実となっています。
30坪の一般的な戸建てで見ると、シリコン塗料を使った外壁塗装の相場は約80〜120万円で、塗料グレードを上げるとさらに高くなる傾向があります。
価格上昇要因は塗料代だけでなく、足場代・人件費・諸経費が複合的に絡んでいるため、「塗料だけ安くすれば解決する」という単純な話ではありません。
労務単価は2025年度も前年比約6.0%引き上げとなり13年連続の上昇で、日建連のデータでは58ヶ月間で全建設コストが約26〜30%上昇したと算定されています。
塗料種別ごとの価格上昇:グレードが高いほど上昇幅が大きい
アクリル塗料(㎡あたり約1,000〜1,500円)は相対的に安定していますが、フッ素・無機塗料(㎡あたり約3,000〜5,000円)は石油由来原料の高騰の影響をより強く受けています。
近年の消費者ニーズがシリコン・ラジカル塗料からフッ素・無機塗料へ移行しているため、工事単価の平均値が押し上げられる二重の構造があります。
シリコン塗料でも大手3社による値上げで仕入れ価格が上がっており、塗装業者が使う塗料の種類によらず工事費全体に影響が出ています。
塗料代は外壁塗装費全体の約30〜40%を占めるため、仮に塗料単価が約20%上昇すると工事費全体では約6〜8%のコスト増となる試算になります。
このコスト増を見積もりに正しく反映させることが工務店の経営上の課題で、適正価格での受注ができているかを今一度見直す必要があります。
外壁塗装リフォームの値上がりが続く3つの構造的要因

外壁塗装リフォームの値上がりが続く3つの構造的要因は、以下の通りです。
① 原材料・物流コストの高止まり
塗料の主成分である合成樹脂・顔料・溶剤は石油由来のため原油価格の動向と直結しており、2026年のイラン情勢悪化でWTI先物が急騰し、再び値上げ圧力が高まっています。
コロナ禍以降のコンテナ不足・燃料費上昇に加え、2024年問題(トラック運転手の残業規制)で物流コストが構造的に上昇し、一度上がったコストは下がりにくい状況が続いています。
2024年9月時点でも円安基調が継続しており輸入原材料コストへの圧力が続いているため、塗料メーカーの仕入れコストは高止まりが続く見通しです。
ロシア・ウクライナ情勢や中東の地政学リスクは収束の見通しが立たず、原油価格の不安定要因が複数残っているため、短期間で価格が落ち着く可能性は低いでしょう。
見積書の有効期限を従来の1ヶ月から10日間に短縮する業者も出始めており、価格変動の速度が現場レベルに直接影響してきていることを示しています。
2026年のイラン情勢悪化問題については、こちらの記事もご参考にしてみてください。

② 職人不足と労務費の上昇
塗装工の公共工事設計労務単価は13年連続で引き上げられており、令和7年度は前年から1,300円増の32,000円(福島県基準)となっています。
建設業界全体で若手入職者が少なく、熟練職人を確保するための賃金競争が激化しており、職人の労務コストは今後も上昇トレンドが続く構造にあります。
工務店が下請け塗装業者に仕事を出す際の外注費も上昇しており、自社で塗装職人を抱えていない工務店は特にコスト増の影響を受けやすい状況です。
2025年12月に全面施行された改正建設業法では、価格転嫁や工期変更に関する契約・協議のルールが変わっており、コスト増を適切に転嫁するための対応が求められます。
職人一人あたりの施工面積(生産性)を上げることが対策の一つですが、短期間での改善は難しく、中長期的な視点で人材戦略を見直す必要があります。
③ 建材資材の供給不安定化
2026年4月現在、ケイミューの屋根副資材が受注制限に入るなど塗装関連資材の供給制限が相次いでおり、入荷待ちで工期が延びるリスクが現実化しています。
資材が不足すると着工時期がずれて繁忙期に集中し、職人の人件費がさらに上昇するという連鎖が発生するため、受注から施工までのリードタイム管理が重要になります。
ニチハ・田島ルーフィングなど主要建材メーカーが相次いで受注制限・停止を発表しており、代替資材の確保や工法変更への対応力が工務店の競争力に直結してきます。
資材調達の不安定化は施主への説明責任も生じさせるため、契約時に「資材価格の変動リスク」を明示したうえで合意を取る契約書の整備が求められます。
仕入れ先との関係構築や早期発注・在庫確保といった先手の調達戦略が、工務店間の価格競争力に差をつける要因になりつつあります。
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①基礎のコストダウン方法
②プレカットのコストダウン方法
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外壁塗装リフォームの原価値上がりに対して工務店が今すぐ取るべき対応策

外壁塗装リフォームの原価値上がりに対して工務店が今すぐ取るべき対応策について見ていきましょう。
見積もりと顧客説明の見直し
値上がりの背景(塗料高騰・足場法改正・労務費上昇)を顧客に正確に説明できる「価格根拠の言語化」が、工務店への信頼獲得と失注防止の両方に効いてきます。
見積書の有効期限を明示し、「この価格は○○日まで有効」と伝えることで顧客の検討を促しつつ、値上げリスクを理由にした早期決定を自然に引き出せます。
複数見積もりを取られた場合の差別化は価格だけでなく「施工品質の根拠」で行い、安値競争に巻き込まれないポジショニングを確立することが長期的な経営安定につながります。
塗料グレードのアップセル(シリコン→フッ素・無機)は初期費用は高くなりますが長寿命でメンテナンスコストが下がるという説明が顧客説得力を持ち、単価向上にも貢献します。
「今より高くなる前に依頼する合理性」を数字で示せると検討中の施主の背中を押しやすくなるため、価格推移データをトーク材料として整備しておくと商談に活かせます。
仕入れ・原価管理の見直し
塗料メーカーや資材業者との取引条件を定期的に見直し、価格改定の情報をいち早く入手できる関係づくりが原価管理の精度を高めます。
工事単価を定期的に見直す社内ルールを作り、古い単価が残ったまま見積もりを出して赤字受注するリスクを組織的に防ぐ仕組みが必要です。
補助金・助成金(省エネリフォームや自治体独自制度)の活用を顧客に案内できると、高単価塗料の採用提案と費用負担の折り合いをつけやすくなります。
資材の早期発注・一定在庫確保は資金負担を伴いますが、施工のスムーズな進行と顧客満足度の維持という観点から、計画的な在庫戦略を検討する価値があります。
下請け塗装業者との長期パートナーシップを強化し、スポット発注から安定受発注に移行することで、繁忙期の職人確保と工賃の安定化を両立させることができます。
まとめ
外壁塗装リフォームの値上がりは2021年に始まり、2024年の足場法改正・2026年の原油高騰で加速しており、2022年比で平均14万円以上の上昇が確認されています。
塗料・足場・労務費の3つのコストがそれぞれ構造的に上昇しているため、「一時的な値上がり」ではなく「新しい価格水準」として経営判断の前提を更新する必要があります。
工務店として価格高騰の背景を正確に理解し顧客に説明できることは、信頼性と受注率に直接影響する差別化要因になります。
今後も値上がりが続く見通しのなか、早期着手の提案・高耐久塗料のアップセル・補助金活用の案内など、価格上昇を逆手にとった営業トークを整備することが受注増につながります。
価格が上がり続ける市場では安値競争から抜け出し「価値で選ばれる工務店」になることが中長期的な経営安定の鍵であり、今がそのポジション確立の転換点です。
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