建築業界は日々進化の中にあり、特にBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)技術の発展がその変化を推進しています。2025年度のBIM確認申請試行開始が迫る中、BIMで積算を自動化することへの期待も高まっています。今回は、BIM積算の現状と今後の概算制度の向上の必要性について解説していきます。
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BIM技術が積算作業に使われる日は、もしかしたらまだ遠いかもしれません。建築の設計を手がける人たちや大手の建設会社からは、「積算に使うのは先の話だよね」「いつかは使いたいな」「テストはしたけど、そこから進んでないな」という声がよく聞かれます。
一方、積算を専門にする事務所からは、もっと慎重な声も上がっています。「BIMでの積算、難しいんじゃない?」「BIMデータを使ったとしても、最終的な数値の責任、どうするの?」などの疑問や心配の声が多いんです。
実は、設計や建設の現場ではBIMが使われるようになっているけれど、積算の世界ではまだまだ遅れを取っているんです。BIMを使い始めているのに、積算だけが置いてきぼりに感じることも。
2023年、国土交通省はBIMを使った積算方法のテストを始めました。それが、「BIMデータを活⽤した積算業務(BIM連携積算)」です。この試みでは、BIMデータから特定の部位の情報を取得し「公共建築⼯事積算基準」に基づいて効率的に積算を行う方法を検討しています
初めは対象部位は限られていますが、試行の繰り返しを通じて、データの入力方法や関係者の役割分担がクリアになるでしょう。そして、BIMを利用した積算方法が段階的に効率的になることを実証しています。
従来の積算は、2Dの図面や設計書をもとに手動で量を計測し、それに基づき工事の工費を算出していました。しかし、BIM積算では、3Dモデルから自動的に量を取り出すことができるため、高速かつ正確に積算を行うことが可能となっています。また、BIMモデルを利用した積算手法には、BIMモデルから得た数量データを直接使用する方法と、それを積算システムに連携させて使用する方法の二つが存在します。詳しくみていきましょう。
この方法では、BIMモデルを活用し、建物や構造物の各部分の長さや面積、体積を正確に計算します。BIMモデルとリンクしているので、何か設計が変更されても、その変更が自動的に積算の数量に反映されます。これはとても便利です。
しかし、注意点もあります。まず、BIMソフトウェアごとに特定のルールや方法があり、それに従ってデータを入力しないと、正確な数量が出ないことがあります。たとえば、情報の入力を忘れたり、間違って入力したりすると、計算結果が変わってしまいます。また、この方法はBIMモデルに入力された情報をそのまま数値化するので、特定の積算の基準や方法に基づいていないことも考えられます。これは、実際の積算結果と少し異なることがあるので、注意が必要です。
このアプローチでは、まずBIMモデルの情報を積算ソフトウェアに取り込みます。そして、そのソフトウェアが新しい積算モデルを作成します。このようにすることで、正確な積算基準に従って、具体的な数量の計算ができるようになります。ただし、注意点として、使っている積算システムがBIMモデルのデータを適切に取り扱えるように設定されていることが大切です。
積算ソフトウェアとBIMツールが連携することにより、この3Dモデルから自動的に量や材料情報を取得し、それを基に工事の総工費を算出することができます。また、変更が生じた場合、モデルを更新するだけで積算も自動的に更新されるため、変更管理が容易となります。
BIMと積算ソフトウェアの連携がさらに進むと、建築の部材を作る作業や配置する作業が大きく簡略化されます。そして、人の手でのミスも減少するでしょう。これは、効率的で正確な積算作業にとって大きなメリットとなります。
BIM積算は単なる技術的進歩ではありません。それは、建築・設計業界での競争力を向上させるための重要な戦略ツールとなっています。以下はBIM積算の主な利点についての詳細です。
BIM積算を使用すると、手書きや伝統的な方法での計測や計算時に起こるミスを大きく減少させることができます。これは、3Dモデルを直接参照してデータを抽出するため、情報が精確に、そして迅速に取得されるからです。この3Dモデルは実際の建物の詳細なデジタル版とも言えるため、計算のミスがほとんど起きません。
さらに、もし建築プランに変更が加えられた場合、その変更はBIMモデル内でリアルタイムに反映されます。これはBIMモデルの特別な機能、自動更新機能のおかげです。そのため、設計変更があったとしても、手間なく正確な積算データを得ることができます。この機能により、どんな変更があっても、常に正確で最新の情報を元にコストや材料の計算が行えるのです。
BIM積算を利用する最大のメリットは、その正確性にあります。従来の積算方法では、手作業でのミスや情報の欠落により、建築材料の必要量を見誤ることがありました。しかし、BIM積算を用いることで、3Dモデルから直接正確なデータを取得することができます。
これにより、必要な材料を必要なだけ注文することができ、余分な材料のコストや不足からくる追加コストを削減することができます。
また、BIM積算は自動化されたプロセスを持っているため、従来の手作業よりもはるかに迅速です。データの入力や計算が速やかに行われることで、短時間での積算が可能となり、結果としてプロジェクト全体の時間を大幅に節約することができます。この時間の節約は、他のプロジェクトへの対応時間として回すことができるため、ビジネスの拡大や新しいチャンスを追求する余裕を持つことができるのです。
BIM積算の導入は、プロジェクトに関わる全ての人々との円滑なコミュニケーションを実現します。具体的には、建築家、エンジニア、施工者などの間での情報共有がスムーズになるため、誤解や情報のギャップを減少させることができます。これは、全員が同じ3Dモデルとデータにアクセスできるため、どのステージにおいても共有情報が一致しているからです。
さらに、プロジェクトが進行する中でのコストの変動や進捗の確認、潜在的なリスクの特定といった重要な要因を、リアルタイムで評価・管理することが可能となります。これにより、予期せぬ問題や遅延を未然に防ぐことができるだけでなく、適切なタイミングでの意思決定をサポートし、プロジェクトの成功確率を高めます。
結果として、BIM積算の利用は、プロジェクトの進行をより明確で理解しやすいものに変え、関係者全員が同じ方向を向いて効率的に作業を進められる環境を生み出します。
しいソフトウェアやツールの導入は、技術的な障壁を生むことがあります。これには、適切なハードウェアの不足やソフトウェアの互換性の問題、またシステムのバグや不具合が含まれることがあります。
BIM積算ツールの導入に伴い、新しいスキルや知識の習得が必要となります。従業員や関係者のトレーニングや教育が不足していると、効果的なツールの活用が難しくなることもあるでしょう。新しい方法論や技術の導入は、組織内での変革を伴います。従来の方法や習慣に固執するスタッフや管理者からの抵抗が生じることも考えられます。
BIM積算の導入は、建築業界に革命をもたらしているものの、これらの課題が存在しているのも事実です。これらの課題を理解し、適切な方法で対処することも考えなければいけません。
BIM積算の導入において、技術的なハードル、トレーニングの必要性、変革への抵抗、そしてデータの整合性の確保は、BIM積算を円滑に進めるための大きな壁となり得ます。特に初めての導入や少人数の組織では、これらの課題を一人で解決するのは難しいかもしれません。
そこで、私たちMakuhouseでは、プロジェクトの成功をサポートするために「積算代行サービス」をご提供しています。これは「代行サービス」なので、自社でのソフト購入や技術の習得は必要なく、安心してBIM積算のメリットを最大限に活用することができます。
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