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木造住宅の許容応力度計算は何が大変?工務店経営者に向けた対応策を紹介

更新日:2024年3月11日(月)

木造住宅の設計では、許容応力度計算の重要性が高まっています。2025年4月の建築基準法改正の中に「4号特例改正」が含まれ、同計算の適応範囲が広がるためです。

工務店経営者の皆さまにおいても、許容応力度計算が建物の安全性に与える影響や、省略することのリスクを知ることが必要になります。

そこで今回は、木造住宅に必要な許容応力度計算とは何か、その計算を行うことが工務店経営においてどのようなメリットをもたらすのかを解説します。記事を読むことで、より安全な住宅設計の基本が分かり、お客様からの信頼獲得につながることでしょう。

さっそく、木造住宅と許容応力度計算の関係についてみていきましょう。

許容応力度計算とは?木造住宅における重要性

木造住宅における許容応力度計算は、建物の安全性を保証するために欠かせない工程の1つです。

許容応力度計算は、建物にかかる負荷(例えば重量、風圧、積雪など)に対し、構造部材がどの程度の力に耐えることができるかを数値化するものです。特に、日本のような地震が多い地域では、建物の耐震性を高めるために重要な計算手法となります。

たとえば、壁量計算や壁の配置バランス、水平構面、基礎設計など、さまざまな内容を考慮に入れます。こうした計算を適切に行うことで、建物の安全性が保証されるだけでなく、工務店としての信頼性を高めることにつながります。

具体的な検討項目には、以下のような内容があります。

  •  壁量計算
  •  壁の配置バランス
  •  水平構面
  •  柱頭柱脚の接合方法
  •  柱や梁、横架材など部材検討
  •  基礎設計
  •  地盤調査
  •  地盤補強工事 

また、許容応力度計算を行うことで、設計上の問題に対する発見・対策が可能になります。より安全な住宅を顧客に提供することは、工務店経営者にとって最も大切な責任の1つといえます。

なお、どのような計算手法を選択するかは、ルールの範囲内で作り手に一任されています。たとえば、平屋や2階建ての木造住宅では、許容応力度計算書の提出を省略することが可能です。

しかし、これは決して「計算不要」という意味ではありません。許容応力度計算を行うことで、建物の安全性が向上し、将来的な災害リスクの減少が期待されるからです。

それでは、許容応力度計算が工務店経営に与える具体的な利点について深めるため、現行の建築基準法の問題点からおさらいしていきましょう。

現在施行されている建築基準法の問題点とは?

現行の建築基準法には、いくつかの問題点が指摘されています。

具体的には、以下の2点です。

・最低限の耐震基準

・構造計画書の提出が不要

順に説明していきます。

最低限の耐震基準

建築基準法は、地震やその他の自然災害への対応として、一定の耐震基準を設けています。一方、最低限の基準に留まり、より高い安全性を確保するための規定が不足しているという問題があります。

現行では、もっとも耐震性能が高い強度(=耐震等級3)を実現するために、許容応力度計算(または壁量計算)が必要です。

しかし、計算が複雑であるために、実際には行われていないケースがあるという問題も指摘されています。この観点からも、工務店経営者が許容応力度計算の重要性を知ることは大切だと考えられるのです。

構造計画書の提出が不要

構造計画書とは、建築物などの構造計算の概要、計算式、試算結果などをまとめた書類のことです。構造計算の中に、許容応力度計算も含まれています。

建築士が設計・計算を行う場合、構造計算書の提出が必要ないケースがあります。

これは、木造2階建て以下かつ延べ面積500㎡以下の住宅に適用される「4号特例」と呼ばれるもので、多くの住宅がこの範囲に該当します。(他の条件に、高さ13m以下、軒の高さ9m以下などがあります)

この特例のため、木造住宅は、許容応力度計算による安全性の検証を受けずに建築される可能性があるのです。

このように、現行の建築基準法には、木造住宅を含む建築物の安全性を確保する上でのいくつかの課題が存在しており、こうした問題点への対応が求められています。

さて、2025年4月より施行される予定の「4号特例改正」では、特例が、木造平家かつ延べ床面積が200㎡以下に縮小されます。2階建ての木造住宅も構造計画書が必須となるため、地方で事業を展開されている工務店様においても、今まで以上に許容応力度計算の理解と適応が必要です。

そこで、許容応力度計算にどう対応していけばよいかを深く掘り下げていきます。

許容応力度計算に適応するための工務店の対応策とは?

工務店が許容応力度計算に適応するためには、従業員に対する教育を強化することが重要です。計算方法とその重要性を理解させるため、外部の専門家によるセミナーやワークショップを活用することも考えられます。

また、許容応力度計算を行うための専門ソフトウェアを導入し、計算過程を効率化することで、誤差を最小限に抑えることができます。また、建築基準法を含む関連する法律や規制の最新の動向を常に把握し、変更に迅速に対応する体制を整えることで、法的な問題を未然に防ぐことも効果的な方法でしょう。

つまり、設計プロセスに許容応力度計算を組み込み、計算結果に基づいた安全で信頼性の高い建築設計を行うことが対応策となります。この結果、工務店は、許容応力度計算に適応し、より安全で信頼性の高い住宅を提供することができます。

しかし上記は、許容応力度計算のできる社員を雇用したり、新規育成することができる工務店に限った方法です。実際、多くの工務店では、即戦力となる専門人材の確保は難しいのが実情ではないでしょうか。

そこでご提案したいのが、設計を専門とし、かつ許容応力度計算に詳しい会社への相談、および外注です。最後に、外注によりどういった未来につながるのかを紹介します。

木造住宅の許容応力度計算の対応は「Make House」へ!

今回は、木造住宅を多数取り扱う地方工務店が、許容応力度計算に対応する方法に焦点を当ててお伝えいたしました。

要点を以下にまとめます。

  1. 許容応力度計算の重要性は、2025年4月の建築基準法改正によってより高まる
  2. 許容応力度計算は建物の安全性に影響を与え、工務店の信頼性向上につながる
  3. 許容応力度計算は建築のより詳しい評価に必要
  4. 現行の建築基準法には耐震基準や構造計画書に関する問題がある
  5. 工務店は、専門知識を外部に求めることも有用な対策となる

許容応力度計算において、特に重要なのが専門性の高い知識です。一方、多くの地方工務店では、許容応力度計算の専門知識を持つ人材の確保が難しい現状があります。

「Make House」は、設計業務に関する一連のプロセスをサポートしています。弊社の強みは、長年の経験と豊富な知識に基づく高度な計算能力にあります。また、最新の法改正や建築基準に対応したアドバイスを提供し、工務店様の信頼性と安全性を高めるためのサポートを行っています。

工務店経営者の皆さまは、専門会社と連携することで、計算の正確性を保ちながらも、効率的に許容応力度計算を行うことが可能です。お客様に対しても、より安全で信頼性の高い住宅を提供することができるでしょう。

今後の法改正に向けて、許容応力度計算への対応を今一度見直し、安全な住宅建築のための準備を整えていきましょう。