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【木造住宅業界に激震】4号特例が廃止?縮小?2025年までに準備しておくべき対策について徹底解説

更新日:2023年7月7日(金)

工務店の皆様にとっては馴染みの深い4号特例ですが、2022年6月に公布された改正建築基準法・改正建築物省エネ法により、大幅な見直しが行われることになりました。

今回は、4号特例の概要と法改正により、工務店実務への影響について徹底解説をしていきます。

さらに、改正に伴い木造住宅業界の将来的な変化についても触れていきたいと思います。

4号特例とは?

木造2階建て住宅を供給している企業にとっては当たり前の4号特例ですが、改めて「4号特例」について確認してみましょう。

4号建築物とは

4号建築物とは、いわゆる「小規模の建築物」のことを示しています。

具体的には下記の通りになります。

木造建築の場合

木造以外の建築物の場合

  • 階数2以下
  • 延べ床面積500㎡以下
  • 高さ13m以下
  • 軒高さ9m以下

上記条件を満たすもの

  • 階数1以下
  • 延べ床面積200㎡以下



上記条件を満たすもの

また、共同住宅や飲食店・倉庫については特殊建築物として扱われ、延べ床面積100㎡以下の場合、4号建築物に該当します。

上記の条件を満たす建物を4号建築物と呼んでいます。

4号特例とは

4号特例とは、建築基準法第6条の4に明記されているように、特定の条件下で建築確認の審査を一部省略することができるというものです。

ここで建築基準法の一部を抜粋します。

第六条の四 第一号若しくは第二号に掲げる建築物の建築、大規模の修繕若しくは大規模の模様替又は第三号に掲げる建築物の建築に対する第六条及び第六条の二の規定の適用については、第六条第一項中「政令で定めるものをいう。以下同じ」とあるのは、「政令で定めるものをいい、建築基準法令の規定のうち政令で定める規定を除く。以下この条及び次条において同じ」とする。

 第六十八条の十第一項の認定を受けた型式(次号において「認定型式」という。)に適合する建築材料を用いる建築物

 認定型式に適合する建築物の部分を有する建築物

 第六条第一項第四号に掲げる建築物で建築士の設計に係るもの

引用:建築基準法 | e-Gov法令検索

要約をすると、先程説明をした4号建築物に該当しており、建築士が設計をした建物であれば審査を一部省略することができるという特例です。

一定の基準を満たしている建物においては、建築士の能力を考慮して確認申請や完了審査を実施せずに安全上は問題ないという解釈ができます。

また、特例が適応される場合は必要な申請書類も少なくなるため、審査期間も短縮化されます。

しかし、注意点としては4号特例に該当しているため建築基準法に適合しない建物を作って良いというわけではありません。

構造計算は省略しても良いという考え方ですが、構造を考慮しなくても良いという訳ではないため注意が必要です。

これまでの4号特例の経緯

次に、4号特例ができた背景やこれまでの流れについて説明をしていきます。

1983年に4号特例の制度ができたことが始まりであり、翌年の1984年より施行が開始されました。

その後、1998年の法改正により民間団体でも審査が行えるようになりました。

審査件数が増え徐々に審査内容の漏れや、レベルのばらつきが見られるようになりました。

そして、2005年に耐震構造計算書に偽装が発覚した耐震偽装問題により、社会的に大きな問題となりました。

その際に木造住宅の確認においても耐震不足が多数発覚し、4号特例の廃止が打ち出されました。

その後、耐震偽装問題の発覚を受けて確認申請の厳格化が行われました。

この影響により確認申請が下りなくなり、住宅の着工件数が大幅に減少しました。

経済の低迷や建築業界の事情を踏まえ、4号特例の廃止は見送りとなり現在に至っています。

2022年4月に法案が可決された内容とは?

では、今回可決された法案にはどのような変更があるのでしょうか。

これまでも4号特例の改正については議論が繰り返されていましたが、なかなか結論までは出ず、今回縮小という形で決定しました。

2025年の省エネ基準適合義務化と合わせて縮小される予定となっています。

可決された法案の決定事項について3つ解説します。

建築物の対象範囲が変更

まずはじめに、審査省略制度の対象範囲が変更となります。

これまで4号建築物として扱われていた建物が、新2号建築物と新3号建築物の2つに分類されます。

新2号建築物とは、いわゆる木造建築2階建てや、延べ床面積200㎡以上の平屋建てが対象となります。

これらの建築物については、すべての地域で建築確認・検査が必要となります。

また、これまでは審査省略ができましたが、改正後は省略制度の対象外となります。

つまり、特例の廃止です。

一方の新3号建築物は、いわゆる木造平屋建ての延べ床面積200㎡以下の建物になります。

新3号建築物については、都市計画区域内に建てる場合は建築確認・検査が必要となります。

また、引き続き審査省略制度の対象となり、特例が適用されます。

図書の提出義務

2つ目の内容としては、確認申請の際に構造・省エネ関連の図書の提出が必要になるということです。

これまでは確認申請の際には一部図書を省略することが可能でした。

しかし、先ほど説明した新2号建築物の確認申請の際に、新たに構造関係規程等の図書と省エネ関連の図書の提出が必要になります。

申請に必要な図書の種類や明記すべき内容は2023年に決まる予定となっています。

施行予定日

そして最後に、改正後の施行予定日についてです。

4号特例の縮小についての法案改正は、2025年4月より施行が開始される予定となっています。

今後、法改正に関する情報については国土交通書のホームページで確認ができるため、正しい情報を入手するため注目しておく必要があります。

4号特例は廃止?縮小?

日本の街並み

今回、可決されたものは4号特例の縮小法案になります。

しかし、現在日本で建てられている多くの住宅は4号建築物で、特例の対象となっています。

法案改正後は特例の対象ではなくなるという観点から、実質的な廃止という考え方も建築業界では広まっています。

木造の2階建てを多く建てる工務店やハウスメーカーにとっては、業務としても大きな変更となるため、影響を与えることは間違いないでしょう。

2025年に向けて、工務店が準備すべきこと

2025年の施行開始まで時間も限られています。

工務店が今から準備しておかなければいけないことについて説明します。

ここでは下記の3点について解説をします。

  • 建築図書の保存
  • 設計者の育成
  • 4号特例の情報入手・お客様への説明

建築図書の保存

今まで省略してきていた構造関連図書の作成が、今後は省略ができなくなりました。

現在建てられている建物で2025年以降に増改築などを行う際には、関連図書の提出が求められると考えられるため、今の段階から保存をしておく必要があります。

住宅性能を保証するという面からも整合性の取れた図面が必要となるため、作成にかかる時間も増えると考えておく必要があります。

設計者の育成

上記でもお伝えしましたが、構造関係図書や省エネに関する図書の提出も必要になります。

設計士が作成業務を作成を行うため、業務の負担が大きくなることが予想できます。

工務店内で情報を共有するとともに、改正後に対応のできる設計士を育成すること、または新たに設計士を雇うことが必要になってくるでしょう。

4号特例の情報入手・お客様への説明

今後は4号特例の縮小について、ニュースで情報が流れることがあるかもしれませんが、一般のお客様にとっては専門的な言葉が多く理解するのは大変難しいです。

そのため工務店側が4号特例についての情報を入手し、理解を深める必要があります。

そして、その情報をお客様でもわかりやすいように説明をするスキルも必要となります。

お客様との信頼関係を築くためにも、早い段階から行動し適応することが重要になります。

まとめ

今回の記事を通して4号特例の概要、そして今後どのような変化が起きるか理解していただけたでしょうか。

この4号特例の縮小については、住宅業界に関わる人にとって大きな変化になると考えられます。

正しい知識を入手し、それを工務店全体で共有をするとともに、常に最新の動向を注視することが必要になるでしょう。

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