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なぜ建設業は人手不足なのか?5つの理由や対策を解説

更新日:2023年9月13日(水)

建設業界で、人手不足は深刻な問題とされています。建設業界における人手不足がなぜ起きているのか、その背後には、ある5つの主な原因がありました。この記事では、統計データや業界の声、具体的な解決策と今後の展望についても解説していきます。人手不足は単純な問題ではありませんが、この問題を解析し、効果的な対策を講じることで、より強固な経営基盤を築く手助けになるでしょう。

建設業における人手不足の現状

設計現場の課題

建設業の人手不足は深刻化した問題とされています。実際に厚生労働省の「一般職業紹介状況」を見ても一目瞭然です。詳しく解説していきます。

統計データ

厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和5年1月分)」によれば、有効求人倍率が非常に高い数値を示しています。具体的には、建築・土木・測量技術者の有効求人倍率が5.99倍、建設・採掘の職業では5.37倍に達しています。これを全体平均の1.29倍と比較すると、建設業の人手不足が非常に顕著であることが一目瞭然です。

※「有効求人倍率」とは、企業が求人を出した際の競争率を示す数値です。この数値が高いほど、その業界や職種での人手不足感が強いと判断する一つの重要な指標となります。

このようなデータを考慮すると、建設業界は単に労働者が足りないという状況を超えて、極めて急募の状態にあると言えるでしょう。この高い有効求人倍率は、新たなプロジェクトの受注から品質の維持、そして労働者自体の働き方や健康に至るまで多くの側面で影響を与えています。

業界の声

建設業界関係者からの声は、人手不足の問題が単なる数字以上の深刻な状況を反映しています。建設プロジェクトの遅延、品質低下、そして労働者の過重労働といった問題が頻繁に報告されています。特に地方の工務店では、十分な人員を確保できずに、新たなプロジェクトの受注を控えざるを得ない場合も多くあります。

また、熟練労働者が高齢化により引退するケースが増えていることで、その技術や経験が失われるという懸念も強く、これがさらに業界全体の品質を下げる悪循環を生んでいます。このような実情を踏まえると、人手不足は単に「働く手が足りない」という表面的な問題を超え、業界全体の持続可能性にも影響を与えていると言えるでしょう。

人手不足の主な5つの原因

ここからは、建設業における人手不足の主な要因5つをそれぞれ詳しく解説していきます。

少子高齢化と引退層

建設業の人手不足の最大の原因は、少子高齢化による現役世代の減少です。建設業界では、多くの熟練労働者が高齢になり、引退を迎える時期に差し掛かっています。これにより、長年培った技術やノウハウが業界から失われていく傾向で人手不足はさらに深刻化する見込みです。また、新しい労働者がこのギャップを埋めるには、多くの時間と研修が必要とされるため、即戦力となる人材が不足しています。

低賃金と労働条件

日本の建設業における人手不足の要因として、賃金の低さと長時間労働が挙げられます。低い賃金と厳しい労働条件は、特に若い労働者にとっては大きなデメリットであり、新しい労働者の獲得を妨げています。また、離職者も増加傾向にあります。

多くは日給制で、収入が不安定であり、時には最低賃金以下になることもあります。また、日本には建設業に特化した公的な資格が存在しないため、賃金が低く設定されやすい。これと対照的に、スイスやドイツでは公的な資格があり、給与が高く安定している。さらに、日本の建設業の年間総実労働時間は全産業よりも高く、特に高齢の労働者にとっては負担が大きいのです。

建築需要の増加

リーマンショック後、建築業の需要は緩やかに拡大しています。2011年の東日本大震災や東京オリンピックによってさらに需要が高まり、既存の人手では対応できない状態になっています。オリンピック後も、大阪万博やリニア中央新幹線、高齢者施設といった新たなプロジェクト、および老朽化したインフラのメンテナンスで、建築業の需要は継続的に拡大する見通しです。

シーズン性と不安定な雇用

建設業の技能労働者の6割以上が日給制であり、天候や現場の有無によって給料が変動するため、将来のライフプランが立てづらい状況があります。社会保険の加入は改善傾向にありますが、「道具代がかさむ」問題も待遇に対する不安を高めています。また、技能労働者は多様な現場に通う必要があり、その結果「拘束時間が長くなる」問題が生じています。この点については、政府の抜本的な対策が必要です。

若者の建設業に対する興味喪失

興味を持つ若者が建設業に少ないのは、「3K(きつい・汚い・危険)」という印象と、業界の古い価値観が原因である可能性が高いです。建設業は肉体労働が多く、週休二日制が一般的でないため、「きつい」イメージがあります。作業環境が「汚い」ことも多く、高所での作業は「危険」です。さらに、現在の若者は仕事にやりがいや人間関係を重視しており、建設業界の古い価値観と合わない場合が多いです。また、新しい世代がITやサービス業など、他の多様な業界に魅了され、建設業に対する興味や注目が薄れているのも現状です。

人手不足の解決策と取り組み

設計の合理化について

現在の課題に対する具体的な対策とその実施によって期待される解決策について詳しく説明します。給与と福利厚生の改善、働き方の多様性、そして最新テクノロジーの活用をすることで生産性を向上させるとといった取り組みが建設業界でも少しずつみられます。

若者へのイメージアップ戦略

建設業界での若手不足が問題となっている中、各企業は待遇改善と若者の定着に向けた取り組みを始めています。例として「ゲンバ男子」という企画があり、これは大阪産業創造館のビジネス情報マガジ「Bplats」で行われています。この企画では、中小製造業で活躍する若手のかっこいい写真を掲載し、建設業の魅力をアピールしています。

さらに、子供参観や大型重機の試乗会・見学会なども行っており、これによって建設業と子供たちやその保護者との接点を作っています。また、地域イベントやボランティア活動を通じて間接的なイメージアップも行っている企業の取り組みも見られます。

給与と福利厚生の改善

建設業界では、多くの労働者が社会保険に未加入であり、これが問題とされています。社会保険は労働者にとって多くのメリットがあるが、企業側はその費用の半分を負担する必要があり、これが経費負担となります。そのため、労働者の待遇改善を目的として、社会保険未加入の企業には建設業の許可や更新が認められない制度が存在します。

また、労働者の安全性を高めるために各種の取り組みが行われています。月給制の導入はまだ一般的ではなく、業界全体での改善が求められている点です。一部の中小企業では新卒に対して月給制を導入し、スキルが身についた後に独立を促している例もあります。

働き方改革

建設業界では需要が拡大しており、工期に無理があるケースも増えています。その結果、工事が天候に影響された際には、長時間労働が強いられる場合がある。これを解決するために、適切な工期設定が必要であり、国土交通省から出されている「働き方改革」でもそれを推進しています。

実際、公共工事では余裕を持った工期が設定されている場合が多いのが現状です。

さらに、労働条件の柔軟性を高め、若者や女性にも働きやすい環境を整える取り組みも進行中です。

生産性の向上

「生産性向上」は人材確保と並行して進めるべき課題です。デジタル技術や最新設備の導入により、コストと人員を削減することが可能です。

ICT建機やツールの活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進も今後必要とされます。ドローンやロボットを用いることで、危険な業務のリスクを減らし、精度の高いデータを得ることができます。また、BIMツールの導入によって工期の短縮も実現可能です。

これにより、人手不足を緩和し、従業員がより価値の高い作業に専念できるようになります。また、技術の進歩によって新しいビジネスチャンスも生まれ、企業の成長を促進する可能性があります。

まとめ

建設業界におおる人手不足問題は深刻です。建設業の需要はこれからも拡大されると予想される中で、その解決策は切実に求められています。働き方の改革、労働条件の改善、そして作業の効率化が必要不可欠です。さらに、業界全体のイメージを向上させることで、より多くの人材を引き寄せる労働環境を整えることが重要です。

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