2024年1月1日に発生した石川県能登地方での大地震は、私たちに耐震性の高い住宅の重要性を改めて認識させました。建築した住宅はもちろんのこと、大切なお客様の命を守るため、「耐震等級3」の住宅への関心が高まっています。
耐震等級3の住宅は、最も強い地震にも耐えることができるよう設計されており、いくつかの計算過程を経ることで建築できます。その中でも、激甚化する災害を背景に、より高い安全性を有する「許容応力度計算」を行うことが喫緊の課題です。
しかし、許容応力度計算は専門的であるため、多くの工務店に普及していないという現実があります。
そこで今回は、耐震性の補強に興味をお持ちの工務店経営者に向けて、耐震等級3を取得するための許容応力度計算の基本と、これからの大地震に対する重要性をわかりやすく解説します。
目次
耐震等級とは、住宅・建物の地震に対する強度や安全性を示す指標です。
日本では、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に基づき、住宅の耐震性能を3つの等級で分類しています。各等級は、建物が地震に耐える能力を表し、数字が大きくなるほど、より高い耐震性を持つと評価されます。
そこでこの章では、3つの耐震等級に関して、各等級が耐えうる最大震度等を詳しく解説します。
耐震等級1は、住宅の耐震性を示す指標の中で最も低いランクです。
この等級は、建築基準法によって定められた、建物に備わる最低限の耐震機能を満たしていることを意味します。
具体的には、震度6〜7程度の地震に一度は耐えることができる建物で、即時に倒壊や崩壊しない性能を持ちます。また、震度5程度の地震が発生した場合でも、住宅の損傷を防ぐ能力を有しています。
つまり、耐震等級1の住宅は、最低限度の耐震機能を備えているとはいえ、大地震で損傷を受ける可能性があるため、より高い耐震性を持つ「耐震等級2、3」の検討が推奨されるのです。
耐震等級2は、耐震等級1に比べ、1.25倍の高い耐震性能を持つ建物を指します。
具体的には、震度6〜7程度の地震にも耐える能力を持ち、地震後も建物の補修を行えば引き続き使用することが可能です。このため、耐震等級2の建物は、災害時の避難場所に指定される施設や、災害時にも機能が停止してはならない施設に必要な等級とされています。たとえば、避難場所として開放される学校や体育館、災害時にも業務継続が必要とされる病院や警察署などが、耐震等級2の建物として挙げられます。
このように、耐震等級2の建物は、日常生活はもちろん、災害発生時にも重要な役割を果たす施設の安全性を確保するために必要です。そのため、耐震等級2は、より厳しい耐震基準を満たす必要があり、災害によるリスクを軽減するための重要なランクとして位置づけられています。
しかし、耐震等級2は、今回発生した令和6年能登地震や東日本大震災など、激甚化する災害に対し必ずしも安全とは言い切れません。そこで近年、より高い安全性を目指す耐震等級3が注目されているのです。
耐震等級3は、耐震性能を示す等級の中で最も高いランクに位置づけられています。
等級3を有する建物は、耐震等級1の1.5倍の耐震機能を有しており、最も破損や破壊を防止する能力が高いとされています。震度6〜7の地震にも耐え、部分的な建物修繕を行えば、引き続き運用が可能です。
耐震等級3は、災害時の救護・復興活動の要となる施設(消防署や警察署)など、社会的に重要な機能を持つ建物に必要とされています。こういった施設は、災害発生時にもその機能を維持し、地域社会の安全を支える重要な役割を担うからです。
実際に、耐震等級3で設計・建築された建物は、優れた耐震性能を証明しています。
たとえば、震度7の地震が連続で発生した熊本地震では、耐震等級3の建物は2回の大地震に耐えたと報告されています。このことからも、耐震等級3の建物は極めて高い性能を有しており、大規模な地震発生時でも人々の安全を守るための強固な基盤を提供することができるといえるでしょう。
つまり、耐震等級3の建物は、地震リスクが高い地域において、最高レベルの安全性を実現する理想的な選択肢なのです。
しかし、耐震等級3が優れているとしても、その計算方法が分からなければ、適用することはできません。
そこで次は、耐震等級の計算方法について説明します。
耐震等級の計算方法は、建物の耐震性を評価し分類するための大切な内容です。大きく分けて3つの計算方法があり、それぞれが「どのような耐震機能を有するか」を知ることがポイントです。
耐震等級の低い物から順に説明します。
1つ目は、仕様規定に則った計算です。
建築基準法に定められた最低限の耐震性能を満たすための計算であり、仕様に則った設計が行われれば、最低限の耐震機能を確保できます。比較的簡易的な計算とされ、耐震等級1に相当します。
2つ目は、性能表示計算です。性能表示計算は、耐震等級1より1.25倍の耐震性をもつ「等級2」、もしくは1.5倍の耐震性能の「等級3」を取得することが可能です。
住宅品質確保促進法に則り計算するため、仕様規定よりも複雑な計算が含まれます。また、仕様規程で求められる確認ポイントの他にも、床と屋根倍率の確認と床倍率に応じた横架材接合部の倍率も、確認項目として加味されます。
本計算を用いて建築された建物は、耐震等級1よりも耐震性能が高いといえます。しかし先にも述べた通り、耐震等級は「3」を目指すことが必要です。そのためには、性能表示計算より優れた手法を取り入れる必要があります。
3つ目が、許容応力度計算です。許容応力度計算は、耐震等級の計算方法のなかで、最も耐震性の確認に優れた計算方法とされています。
たとえば、壁や部材の強さ、地盤・基礎の強度のすべてを精密に計算します。業界に従事しているプロでも、すべての計算を正確に把握するには時間がかかると言われるほど、精緻な計算が行われます。時間と費用は最も要しますが、最高の耐震レベルを求める場合は、本計算が最適です。
こういった計算方法によって、建物の耐震性が評価され、適切な耐震等級が付与されます。
さて、ここまで示した通り、耐震性の等級と評価は、建物の安全性を確保し、地震発生時のリスクを低減するために非常に重要です。その中でも許容応力度計算を用いた耐震等級3の取得は、耐震性の補強を課題とする工務店の経営者が目指すべき手法だといえます。
しかし、残念なことに、許容応力度計算を用いた耐震等級3の取得は、多くの工務店で実現されていません。ここからは、同手法が重要である理由を深く掘り下げ、「なぜ優れた手法が採用されていないのか?」という疑問にも答えていきます。
先述した通り、耐震等級計算の中でも、特に耐震性を正確に測る方法が「許容応力度計算」です。大規模な地震にも耐え得る住宅の建築には、同計算に基づいた耐震等級3の取得が極めて重要とされています。
「性能表示計算」による耐震等級3でも一定レベルの耐震性は保証されますが、より高い耐震レベルを確保し、住宅と住まう人々を守るためには、許容応力度計算の採用が求められます。
なぜなら、建物の耐震性をより精緻に分析し、複雑な計算を行うことで、安全性を高めているからです。性能表示計算に比べて時間やコストがかかることはありますが、最も高い安全性を確保するために取り入れるべきだといえます。
さらに、2025年に予定されている建築基準法の改正により、許容応力度計算の重要性はさらに高まると考えられます。この計算方法はコストがかかるものの、大規模な災害により耐震性能の向上が叫ばれる中で、お客様の安全な住まいを実現するためには、許容応力度計算に基づいた耐震等級3の住宅建築が欠かせません。
ではなぜ、工務店において、許容応力度計算を用いた耐震等級3の取得は進んでいないのでしょうか。
次章では、その理由に迫ります。
許容応力度計算は耐震等級3の住宅を実現するための最適な手段として知られていますが、実際には多くの工務店がこの計算方法を採用していません。その背景にはいくつかの理由があります。
まず、許容応力度計算は高度な専門知識が要求されるため、基本的には構造設計一級建築士の資格が必要です。この資格を持つ専門家は限られており、すべての工務店がこの資格を持つわけではありません。
次に、許容応力度計算は非常に複雑で、計算を完了させるのに1カ月以上かかる場合もあります。すなわち、多くの時間と人件費が必要であり、工務店にとっては大きなコスト負担となります。さらに、この計算を外部の専門家に委託する場合、追加の費用が発生します。
さらに、現在のところ、許容応力度計算を用いた住宅建築は法律で義務化されていません。このため、高いコストと資格要件が必要であることから、多くの工務店がこの計算方法を敬遠しています。そのため、より簡単でコストが低い性能表示計算を使用する傾向があるのです。
こういった理由から、許容応力度計算を採用して耐震等級3を取得する工務店は少ないのが現実です。多くの建築関係者は、許容応力度計算よりも手軽な方法を選択して耐震等級2や3を目指すことが一般的になっています。
しかし、繰り返しお伝えしますが、災害の規模は年々激しさを増しており、その頻度も増加傾向にあります。お客様の大切な住まいを少しでも守りぬくため、許容応力度計算を用いた耐震等級3を取得することが必要です。
激甚化する災害が相次ぐ中、優れた耐震性を実現できる「許容応力度計算」の技術は、これからの工務店経営において必須といえます。だからこそ、私たちMake Houseは、許容応力度計算を積極的に採用し、お客様により良い家にお住みいただくサービスを提供しています。
最後に、Make Houseの家づくりをご紹介し、許容応力度計算を用いることでどのような住宅を建てることができるのかをお伝えしていきます。
Make Houseでは、災害に強い住宅を実現するために、許容応力度計算を採用しています。日本は台風や地震といった自然災害が多い国です。そのため、住宅を建てる際には、将来発生する可能性のある災害への対策を講じることが欠かせません。
Make Houseの目標は、お客様とそのご家族の生命や財産を守ることです。この目標を達成するために、当社の住宅では、耐震等級3の高い基準を満たすよう、1つ1つの材料を厳格に検証し、許容応力度計算に基づいて設計しています。この計算法は、建物にかかる様々な力を精密に分析し、必要な強度を確実に算出することができるため、地震や他の自然災害に対しても、強固な耐力を持つ家を建てることができるのです。
さらに、Make Houseは「耐震」「耐熱」「BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」という3つの強みを活かし、お客様のご要望に応える家づくりを行っています。Make HouseのSシリーズ住宅では、これらの技術を組み合わせて、お客様の理想とする住宅を実現しています。
Make Houseでは、お客様に安心して長く暮らしていただけるような、耐震等級3を取得した丈夫な家をお届けします。安全で快適な住まいをご希望の方は、ぜひMake Houseにご相談ください。当社の詳細な住宅情報は、公式HPでご確認いただけます。
今回は、許容応力度計算を用いた耐震等級3の取得についてお伝えいたしました。自然災害は、住まいに大きなダメージを与え、人々の命に危険を及ぼします。このようなリスクに対処し、住宅とその居住者を守るための有効な手段として、Make Houseでは許容応力度計算に基づく耐震等級3の住宅建築を採用しています。
許容応力度計算は、専門的な資格を持つ者によって行われ、一定の時間とコストが必要な計算方法です。しかし、この手法によって得られる耐震性の精緻な評価は、住宅の安全性を格段に高めるものであり、地震やその他の災害から顧客の命と家を守る可能性を大きく高めます。
Make Houseでは、許容応力度計算に関するご質問・ご相談を承っております。興味をお持ちの工務店様は、ぜひMake Houseまでお問い合わせください。
専門的な知識を持つチームが、皆様のご要望にお応えし、安全で快適な住まいの実現をお手伝いいたします。
また、新設計手法「BIM」について詳しく知りたい方は以下よりダウンロードできます。
設計効率化が業務改善最大のプロセスになります。二次元CADから三次元CADで生産プロセスを改善しましょう。詳しくは以下の資料を無料ダウロードして、是非御社の業務改善にお役立てください。
目次
・こんなお悩みはありませんか?
・色々なプレゼンソフトを試したが使いこなせない
・分かりづらい図面、図面のミスでトラブルが起こる
・CGプレゼン作成に、時間とお金がかかる
・設計に時間がかかる
・自社で意匠設計ができない