補助金事務局から1万6,950事業者の情報漏洩。2026年10月、工務店が今週やる7項目

補助金事務局から1万6,950事業者の情報漏洩。2026年10月、工務店が今週やる7項目

国土交通省は10月20日、「住宅省エネ2024キャンペーン」事務局の補助金申請システムが外部から不正に操作され、登録事業者16,950事業者・23,918名分の氏名・役職・電話番号・メールアドレスが漏れた可能性があると発表しました。翌21日にはPHPの重大な脆弱性2件(CVSS 4.0で9.2)が公開され、エックスサーバーをはじめ国内のサービスが一斉に緊急メンテナンスに入りました。同じ週、GMOのVPS「お名前.com デスクトップクラウド」では26,739台のサーバーが不正アクセスで停止しています。本記事では、Make House自身が同じ週に行った対応をもとに、工務店が今週やる7項目をまとめます。

2026年10月の第4週は、工務店が「狙われる側」になった週です。補助金の登録事業者情報が漏れ、ホームページの土台であるPHPに重大な脆弱性が公開され、レンタルサーバー各社が管理画面などを一時停止しました。やることは7つ、すべて今週中に終わります。

この記事の結論(30秒で読む)

  • 漏れたのは消費者ではなく「事業者」の連絡先。工務店の社名と担当者名を使ったなりすましメール・偽の事務局連絡が来る前提で動く。
  • ホームページがWordPressなら、PHPが8.3.36/8.4.27/8.2.35以降に更新されたかを保守会社に今週確認する。
  • 7項目:偽メール対策/ホームページとフォームの更新/パスワードと2段階認証/施主情報の保管ルール/バックアップ/取引先経由のリスク/施主への告知。
目次

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2026年10月、何が起きたのか

2026年10月、何が起きたのか

4つの事案が1週間に重なりました。いずれも工務店の日常業務に直接つながります。

日付事案規模工務店への影響出典
10月20日住宅省エネ2024キャンペーン事務局(運営:博報堂)の申請システムへの不正アクセス登録事業者16,950事業者・23,918名(速報値)。代表者氏名・役職、個人事業主の氏名・住所、担当者の氏名・部署・電話・メール事務局や取引先を騙るメール・電話の標的に。消費者情報の漏洩は確認されていない国土交通省
10月21日 23:00PHPの重大脆弱性2件の公開(CVSS 4.0 9.2、サーバー乗っ取りの恐れ)修正版 8.5.12/8.4.27/8.3.36/8.2.35WordPressのホームページ・LP・問い合わせフォームが対象。レンタルサーバー各社が管理画面などを一時停止GIGAZINE/エックスサーバー
10月20日〜お名前.com デスクトップクラウド(GMO)への不正アクセス26,739台のサーバーを停止、再開未定。FX口座の不正取引の報告クラウド上のPC環境を使う会社は業務停止。パスワード変更・2段階認証の指示Impress Watch
10月21日〜メール配信サービス(ブラストメール)の不正侵入による配信停止と、全契約者の契約情報の漏えい再開未定メルマガ・見学会案内が送れない。契約者の会社名・連絡先も漏えい(配信リストは一部の契約)。Make Houseでも配信が止まったブラストメール

背景にある数字も確認しておきます。東京商工リサーチによると、上場企業の100万件以上の情報漏洩は2026年10月5日までに10件で、2025年の年間6件をすでに上回り過去最悪のペースです。東京商工会議所の2026年調査(1,381社)では、サイバー攻撃の被害が「ない」と答えた会社は約6割に減り、「取引先や委託先が攻撃を受けて自社の業務に影響した」が約2割に増えました。自社が攻撃されなくても、事務局や配信サービスが止まれば工務店の業務は止まります。

なぜ工務店が狙われるのか

なぜ工務店が狙われるのか

理由は3つ。補助金で事業者登録をしている、施主の資産情報を預かっている、ホームページの保守が外注任せになっている、からです。 住宅省エネキャンペーンの登録事業者は、補助金を使う工務店のほぼ全てです。漏れた情報は「どの工務店の、誰が、どのメールアドレスで補助金を扱っているか」であり、事務局を名乗って「交付申請に不備があります」「完了報告の書類を添付で送ってください」と送れば、開封率は高くなります。工務店は施主の年収・借入・土地・図面を預かっており、1件の侵入で複数世帯の情報が流出します。10月の面談でも、設計・申請の外注先が分散し、窓口が複数ある工務店(静岡・年間15棟、公共工事中心の工務店)があり、外注先の数だけデータの出入口が増えています。

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今週やる7項目

今週やる7項目

項目1:事務局・取引先を騙るメールを「開かない」運用にする

国交省の注意喚起は「不審なメールは添付を開かず、リンクを押さず、削除」です。 事務局からの連絡は、公式サイトに掲載された連絡先(住宅省エネキャンペーン事務局 0570-062-065)に電話で確認してから対応する、と社内で決めます。補助金・銀行・設備メーカーを名乗るメールは、11月中は全て「電話で裏取り」にします。

項目2:ホームページ・LP・問い合わせフォームのPHPを更新する

WordPressのサイトは、PHPが修正版(8.3系なら8.3.36以降)に更新されたかを、今週中に保守会社へ確認します。 エックスサーバーなど主要なレンタルサーバーは10月21〜22日に対応を進めましたが、サーバー側の対応と、サイト側のPHPバージョン設定は別です。Make Houseのホームページも10月22日にテスト環境で動作確認をしたうえで本番を更新しました。「保守会社に聞いても分からない」サイトは、それ自体が保守の空白です。

項目3:パスワードと2段階認証を、業務で使う全アカウントに

Googleアカウント、Instagram、LINE公式、顧客管理(CRM)、銀行、補助金ポータルの6系統を、2段階認証ありにします。 VPSの事案では、パスワード変更・2段階認証・セッション終了が利用者への指示でした。工務店の集客はInstagramとLINEに寄っており、乗っ取られれば施主に直接偽メッセージが届きます。

項目4:施主情報の保管ルールを1枚にする

「どこに・誰が・いつまで」を1枚にします。 資金計画書・源泉徴収票・図面・ローン事前審査の控えは、共有ドライブの権限を案件ごとに分け、引き渡し後は保管期限を決めて削除します。紙の持ち出しと、個人のスマートフォンでの写真保存は禁止にします。

項目5:バックアップを「戻せるか」で確認する

ホームページ・顧客データ・図面の3つを、月1回「実際に復元できるか」まで確認します。 バックアップがあっても戻せなければ意味がありません。VPSの事案では、サーバーが止まったまま再開未定の状態が続いています。自社の業務が何日止まったら受注に響くかを、先に決めておきます。

項目6:取引先経由のリスクを一覧にする

プレカット、設備、設計・申請の外注先、メール配信、ポータルサイト。自社のデータが流れる先を一覧にし、連絡窓口を1つに絞ります。 東商調査で増えたのは「取引先が攻撃されて自社に影響」の2割です。外注先が増えるほど、窓口と権限の整理が対策になります。

項目7:施主とOBに先に告知する

漏れたのが事業者情報である以上、工務店の名前で施主に偽メールが届く可能性があります。先に告知した工務店が信頼を守ります。 テンプレートは次の通りです。

【当社を装ったメール・電話にご注意ください】

2026年10月、国の住宅補助金事務局から登録事業者の連絡先情報が漏洩した可能性が公表されました。当社の社名や担当者名を使った偽のメール・電話が届く恐れがあります。当社からお客様に、メールで口座情報・ログイン情報・金銭をお願いすることはありません。不審な連絡は開封せず、当社(電話番号)までご確認ください。

よくある質問

消費者(施主)の情報も漏れたのですか?

国交省の発表では、消費者の個人情報の漏洩は確認されていません。漏れた可能性があるのは登録事業者の代表者・担当者の情報です。ただし、事業者情報を使って施主に接触する手口が想定されるため、告知は必要です。

自社のホームページがWordPressかどうか分かりません。

制作会社か保守会社に「PHPのバージョンと更新状況」を聞いてください。回答が来ない場合は、サーバー会社の管理画面でPHPバージョンを確認できます。分からない状態を今週中に解消することが対策です。

小さな工務店でも狙われますか?

狙われます。攻撃は規模ではなく「開封しそうな相手」に送られます。補助金の登録事業者で、設備・銀行・事務局とのメールが日常的にある工務店は、開封率が高い相手です。

どこまで費用をかけるべきですか?

7項目のうち費用がかかるのは項目2(保守)と項目5(バックアップ)だけです。IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」に無料の自社診断があり、まずそれで現状を把握してください。

まとめ

  • 10月20日の事務局漏洩(16,950事業者・23,918名)、21日のPHP重大脆弱性、20日からのVPS不正アクセスが同じ週に重なった。工務店は「事業者として狙われる側」になった。
  • 消費者情報は漏れていないが、工務店の名前で施主に偽メールが届く前提で、先に告知する。
  • 7項目(偽メール運用/PHP更新/2段階認証/保管ルール/復元確認/取引先一覧/告知)は今週中に終わる。費用がかかるのは2つだけ。
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