業績拡大32.8%と縮小17.6%を分けた3つの数字。12月値上げ前の現場別原価管理

業績拡大32.8%と縮小17.6%を分けた3つの数字。12月値上げ前の現場別原価管理

クラフトバンク総研が10月15日に公表した中小建設業経営実態調査(1,924名・7〜8月実施)では、業績拡大企業の84.0%が現場別原価管理を「できている」と答えたのに対し、縮小企業は59.0%。価格交渉を行った割合は78.0%対47.5%、受注単価が上がった割合は69.2%対32.3%でした。12月1日にはTOTOの8〜13%をはじめ水回り・樹脂サッシ・鋼板の値上げが始まり、最低賃金は全国加重平均1,177円へ上がっています。本記事では、Make Houseが10月の工務店面談で見た「粗利目標25%が着地20%になる」構造を手がかりに、値上げ前の11月に現場別原価管理を始める5ステップをまとめます。

2026年に業績を伸ばした建設会社と縮めた会社を分けたのは、資材の値上げ幅ではなく、「現場別に原価を見ているか」「自社から価格交渉を申し入れているか」の2点でした。

この記事の結論(30秒で読む)

  • 拡大企業と縮小企業の差は、受注単価上昇69.2%対32.3%、価格交渉78.0%対47.5%、現場別原価管理84.0%対59.0%。年商1億円未満では縮小(25.6%)が拡大(23.5%)を上回る。
  • 建設業全体の倒産は減っているのに、リフォーム工事業は1〜9月96件で過去最多。「利益なき工事」は小規模ほど起きやすい。
  • やることは5つ:実行予算の作成/発注時の数量確認/出来高と原価の月次突合/差異の原因分類/設計で数量を減らす。12月1日の値上げ前に、11月中に1棟から始める。
目次

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2026年、何が拡大企業と縮小企業を分けたのか

2026年、何が拡大企業と縮小企業を分けたのか

差は3つの数字に集約されます。いずれも「値上げに先回りしたかどうか」の指標です。

指標業績拡大企業業績縮小企業差
受注単価が上がった69.2%32.3%36.9pt
価格交渉が行われた78.0%(うち自社から申し入れ45.4%)47.5%(同27.3%)30.5pt
現場別原価管理が「できている」84.0%(完璧31.0%・一部53.0%)59.0%(完璧17.0%・一部42.0%)25.0pt
業績の内訳(全体・1,749名)拡大32.8%縮小17.6%(横ばい49.6%)2023年から4年間ほぼ同じ構造
年商1億円未満拡大23.5%縮小25.6%小規模ほど縮小が多い

出典はクラフトバンク総研「中小建設業経営実態調査2026」(10月15日)。ナフサ系資材の欠品・入荷遅延は、民間住宅工事が主体の企業で56.5%が影響を受けており、公共工事が主体の企業(43.4%)より欠品の影響が大きく出ています。

倒産は減っているのに、なぜリフォームだけ増えているのか

倒産は減っているのに、なぜリフォームだけ増えているのか

建設業全体の倒産は5年ぶりに減りました。増えているのは「小さく、価格転嫁できない」工事業です。

項目数値出典
建設業の倒産(2026年度上半期)1,035件(前年同期比−0.09%、5年ぶり減少)東京商工リサーチ 10/8
リフォーム工事業の倒産(2026年1〜9月)96件(+20.0%、2002年以降最多・年120件超のペース)東京商工リサーチ 10/11
最低賃金(2026年度・全国加重平均)1,177円(+56円)。10月以降、都道府県ごとに順次発効厚生労働省/TSR 10/15
最低賃金への対策(最多)価格転嫁43.9%(+4.8pt)東京商工リサーチ 10/15
建設業の採用時の最低時給(平均)1,293円。「引き上げが速すぎる」29.3%帝国データバンク 10/16
木材価格(2026年9月)スギ正角KD 79,100円/㎥(前年比103.1%)。落ち着き農林水産省

TSRはリフォーム倒産の背景を「利益なき工事」と表現しています。木材はほぼ横ばいで、値上げの主因は設備・樹脂・鋼材と人件費です。つまり、原価の上昇は材料全体ではなく「品目と工程」に偏っており、現場別に見なければ、どこで利益が消えたか分かりません。

工務店の現場では「目標25%、着地20%」が起きている

工務店の現場では「目標25%、着地20%」が起きている

Make Houseの10月13〜15日の面談では、粗利の「目標」と「着地」が5ポイント前後ずれる工務店が続きました。 地域と規模だけを記して引用します。

  • 三重・年間7〜8棟・坪115〜120万円:粗利目標25%に対し着地20〜25%。地域の生コン単価は44,000円/㎥と高く、基礎の原価が粗利を圧迫。
  • 静岡・年間15棟・坪80〜100万円:粗利20〜25%。構造計算と確認申請は外注で、外注先が分散。
  • 佐賀・唐津・自然素材中心:粗利率は2割を切る水準。広告費はほぼ未投入で、値上げを価格に乗せられていない。
  • 公共工事中心・新築再開を準備中:以前は坪80万円で実質粗利16〜17%。直近は坪100万円超、来期は110万円を想定。

共通点は、値上げの金額は分かっていても「どの現場の、どの工程で」粗利が削れたかを月次で見ていないことです。これは統計ではなくMake Houseの面談所見ですが、クラフトバンク総研の「現場別原価管理25ポイント差」と同じ構造です。

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12月1日までに始める現場別原価管理 5ステップ

12月1日までに始める現場別原価管理 5ステップ

ステップ1:実行予算を「標準仕様×数量」で作る

見積書とは別に、工程ごとの数量と単価で実行予算を作ります。 基礎(生コン㎥・鉄筋kg)、木工事(プレカット㎥)、サッシ(箇所)、設備(品番)、外装(㎡)。標準仕様があれば数量は坪数からほぼ自動で出ます。10月面談で「主力3商品を選び、自社単価で積算する」ことを最初の宿題にした工務店がありましたが、順番はこれが正解です。

ステップ2:発注時に数量を照合する

値上げは単価だけでなく、数量の余りで膨らみます。 発注書を実行予算の数量と突き合わせ、超過分は理由を書く。12月1日以降の発注は、見積の単価が10月のままになっていないかを品番単位で確認します。

ステップ3:出来高と原価を月次で突合する

「完成してから集計」をやめ、月末に進行中の全現場の出来高と発生原価を並べます。 粗利目標25%の現場が20%に落ちるのは、ほとんどが追加・変更と手戻りです。月次で見れば、次の現場の見積に反映できます。

ステップ4:差異を4つに分類する

差異は「単価」「数量」「追加変更」「手戻り」の4つに分けて記録します。 単価は値上げ(価格転嫁の根拠)、数量は設計(次のステップ)、追加変更は契約と打合せ(記録の問題)、手戻りは施工管理。分類できれば、価格交渉に使える差異と、自社で消せる差異が分かります。

ステップ5:自社から価格交渉を申し入れる。同時に設計で数量を減らす

拡大企業は45.4%が自社から価格交渉を申し入れています。縮小企業は27.3%です。 ステップ4の「単価差異」をそのまま根拠にし、施主には契約前の見積有効期限と値上げ品目を、協力業者には数量の確定と工期短縮で応えます。並行して、基礎の立ち上がりを減らしてコンクリート数量を削る、屋根と外周を単純にして外装面積を減らす、といった「数量」の削減は、単価が上がる局面で最も効く対策です。

価格転嫁の伝え方(施主向け・3文)

価格転嫁の伝え方(施主向け・3文)
  • 「12月1日以降、水回り設備は8〜13%の値上げが公表されています。11月中に仕様を確定すれば、見積の単価で発注できます。」
  • 「値上げ分をそのまま乗せるのではなく、基礎と屋根の数量を減らして相殺する設計にしました。差額は○万円です。」
  • 「お見積の有効期限は○月○日です。期限内の仕様確定で、金額を確定します。」

よくある質問

年間10棟以下でも現場別原価管理は必要ですか?

必要です。年商1億円未満では縮小企業が拡大企業を上回っており(25.6%対23.5%)、小規模ほど1棟の差異が粗利全体を左右します。1棟から始めてください。

原価管理ソフトを入れるべきですか?

最初は表計算で足ります。実行予算・発注・出来高の3列を月次で埋める運用ができてから、ソフトを選んでください。仕組みより先にツールを入れると、84.0%側には入れません。

価格交渉は施主と協力業者のどちらに向けるのですか?

両方です。施主には値上げ品目と日付を根拠に契約前の確定を促し、協力業者には数量確定と工期の短縮で手間を減らす代わりに単価を維持してもらいます。

木材は値上がりしていないのに、なぜ原価が上がるのですか?

2026年9月のスギKD材は前年比103.1%とほぼ横ばいです。上がっているのは設備・樹脂・鋼材と人件費で、品目ごとに見なければ対策が打てません。

まとめ

  • 拡大企業と縮小企業の差は、受注単価上昇・価格交渉・現場別原価管理の3指標で25〜37ポイント。値上げ幅の差ではない。
  • 建設業の倒産は減少、リフォーム工事業は過去最多。「利益なき工事」は小規模で価格転嫁できない会社に起きる。
  • 11月中に1棟から、実行予算→発注照合→月次突合→差異分類→自社からの価格交渉と設計での数量削減を始める。
Make Houseだからできること

全国459社の会員工務店(2026年10月時点)の標準仕様と、新基礎工法(地中梁構造)で立ち上がりを減らしコンクリート数量を削減する設計データを持っています。貴社の標準仕様で、基礎とプレカットの数量がどこまで下がるかを、15分の面談で試算します。

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出典

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