コロナ禍から慢性的に続く経済への影響や、ウッドショック、インフレなどの影響により、工務店は集客と利益の点で経営に大きな転換期を迎えています。
ウッドショックによる原価上昇への対応や、今まで活用していなかったSNSを使用しての住宅の宣伝など、社会の変化に柔軟に素早く対応しなければ利益を出すことが難しい状況です。
本記事では、現状の社会経済でどのようにして工務店が利益を上げていくかについて解説します。
工務店の現状と、これからの対応がわかりますのでぜひ参考にしてください。
目次
2021年、コロナウイルスによるリモートワークが増加したため、住宅の需要が急拡大しました。それが一因となり世界中で木材の需要が急増し、木材不足から価格が高騰する「ウッドショック」が発生しました。
リモートワークやステイホームが広がったことにより、物流の動きが活性化し過ぎたため、コンテナ不足にも陥っています。木材などの物を運ぶためのコンテナが不足し、運送価格が上がり、住宅建築の原価に影響を与えています。
また、ウッドショックと同じくして、アイアンショックと呼ばれる鋼材の価格高騰も生じています。鉄筋や鉄骨の価格も高騰しているのです。
上記の複数の要因が重なっただけでなく、さらにアメリカとの金利格差から2022年は急速に円安が進行したことも一因となり、物価の高騰が発生しています。
住宅建築に関する状況を把握するため、全国建設労働組合総連合(全建総連)は、工務店にアンケート調査を実施しました。
工事原価が「かなりあがった」と回答した工務店が53.3%と半分以上を占めています。その値上がり分を「お客様に負担してもらった」と回答したのは40.3%に留まっています。
このことから、約60%もの多くの工務店が値上がり分を自社で負担している現状が判明しました。
住宅建築の価格に影響が出る前に見積もり価格を出していたり、契約を締結していたりすると、施主に契約内容の変更を提案しても受け入れてもらうことは難しいでしょう。
顧客からすれば住宅価格が上がることになるため「聞いていた話と違う」ということになります。
また、値上げを行っている工務店やハウスメーカーもあります。ウッドショックの前後では、木造住宅1件で10%以上価格が上がっている状態です。
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今後は原材料や配送費の高騰が緩やかになることはあっても、下がることはないと考えられるため、現状のままでは工務店の利益はさらに少なくなっていきます。
そのため、競合他社と商品の差別化を図るために、工務店が提供する住宅商品の付加価値を高めたうえで、販売価格を上げることが必要です。こうして利益を最大化します。
原価が上がったからといって単に商品の値上げを行うと、利益率は上がっても成約率が下がり、売上が落ちてしまう恐れがあります。
商品の付加価値を高めることで、顧客に満足感と、価格に見合った価値を提供することが可能です。
付加価値を高める方法として、次の2点があります。
上記で差別化ができます。
しかし、差別化を行っていく戦略は、メリットとデメリットがあるので注意が必要です。
競合他社にはないサービスや商品を強力な強みにできることです。
例えば、価格が他社よりも高かったとしても、独自のサービスや商品の価値に納得してもらえれば、値引きなどを行わなくても顧客が購入してくれたり、信頼を得ることができるかもしれません。
また、自社のサービスが確立すれば、それを企業の魅力としてSNSなどでアピールしていくブランディングも容易になります。
差別化を行っていくうえで、方向性を間違い、工務店の強みや特徴を活かすことができなければ時間と労力を浪費するだけで終わってしまうリスクがあります。
自社の特徴や、可能なことを分析したうえで、誰に何を届けるのか、ターゲットを明確にして計画していきましょう。
また、特定のサービスを強調していくことによって、会社に対するイメージの固定化が進んでしまうこともあります。
イメージの固定化もブランディングの方法です。しかし、商品やサービスの不良、もしくは品質の低下というマイナスになるトラブルが発生した場合、デメリットが増大します。
リスク許容度の範囲も考えたうえで最大の利益が出せるように、工務店を経営しましょう。
デメリットを考えすぎて、行動できないことによるリスクが大きくなることは本末転倒となります。
しっかりとメリットを最大化するための手法について、次の章にてご紹介いたします。
注文住宅などの戸建を検討している方の需要は、ローコスト住宅から高性能住宅へマーケットが移っています。
高性能と一言でいっても内容が伝わりにくいのが実情でしたが、次の点から需要が高まり、高性能住宅によって集客を増やしているのが現状です。
YouTubeで高性能住宅について、簡単に学ぶことが可能になっています。また、大手ハウスメーカーが安さではなく、高性能や省エネという特徴を推し出しています。
住宅ローンの優遇制度や、地震などの自然災害、ハウスメーカーの宣伝で目にする機会の増加もあり、顧客のニーズ自体が高断熱・耐震性などの機能性になっています。
このようなユーザーニーズが動いている現状を把握し、分析することが重要です。
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国の政策自体が、住宅は高性能住宅を建築することを推し進めている状況です。このことを政策・経済面などから読み取らなければいけません。
具体的には次の3点です。
経済産業省の政策により、注文住宅の56%がZEH住宅になっています。また、省エネ等級3以下の住宅は2025年から建築不可になり、等級4以上でなければ建てることができなくなります。
ほかにも、長期優良住宅では、住宅ローンの優遇もあり最長50年の全期間固定金利の住宅ローンを組むことが可能など、高性能住宅を支援する対策が実行されているのが現状です。
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資材の原価値上げで利益が減っている状況でも、経営のために利益を得る価格設定が必要です。次のことを考慮し、利益が出せる価格を設定しましょう。
高性能住宅であれば、通常の住宅よりもランニングコストはかからず、長期間の費用を抑えることが可能です。さらに、工務店であれば、ハウスメーカーの営業経費分安く提供できます。
そして、高性能住宅を建売している企業と価格競争するのはおすすめしません。建売住宅は、部材などを大量発注し仕入れコストを下げているため、価格競争に巻き込まれてしまいます。価格ではなく、価値を提供することで利益を出すことが重要です。
集客が増えず、売上が落ちてしまう場合は、単価を上げて利益を最大化することを意識しましょう。
棟数や経費は増やさずに、単価を上げることが重要です。棟数や経費を増やすと、利益を最大化できないためです。
設備や内装、仕様などについて、高単価なものを購入してもらえるように商品のアピール力を高めましょう。このようにして1棟の単価を高め、経費は増やすことなく販売していく工夫を凝らすことが重要です。
高品質の高性能住宅を作り、他社に負けない商品力を作り、ブランディングしていきましょう。
他社と差別化ができている住宅は、SNSを通してアピールしやすいと同時に、ユーザーが紹介もしやすいのです。適切なWEB・SNS戦略をとることができれば、集客にもつながります。つまり、WEBで集客ができるかどうかも商品力があるかどうかが重要です。
差別化でき、価値がある高性能住宅は多くのユーザーに知られることでブランド力が高まります。明確で良質な特徴が「ここにしかない」という希少性と価値を生み、ブランド力が高まるのです。
高性能住宅を建てるだけではなく、ブランディングまですることが大切です。最終的に利益が出るところまで計画していきましょう。
上記の5つの鉄則を実直に行うことで、確実に受注数、利益を上げることが可能となります。
そのためには「高性能住宅の商品」が必要です。
営業/集客/設計/施工をオールパッケージした新・住宅設計「Sシリーズ」が全てを叶えます。
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工務店が生き残っていくためには、儲けて利益を最大化していく努力が必要です。
そのためには資材の価格高騰についての現状を把握することで、適切な次の戦略の準備ができます。
また、利益を最大化するためには、他社と差別化できる高性能住宅を建て、その商品をブランディングすることで1棟の単価を高めることが鉄則です。5つの鉄則を進めていくことで、高単価な価値のある商品を提供し、利益を最大化していきましょう。
この先、世界情勢でいつ・何が起こるかわからない時代です。冷静な現状把握ができれば対応策が見つかります。決断力を持って行動していきましょう。