他社との価格競争や資材の価格高騰に伴い、利益を確保することが難しいと悩んでいる工務店の方もいるのではないでしょうか。
本記事では利益率を上げるためのポイントについて説明をしていきます。
どのように利益率を改善すれば良いか悩んでいる工務店の方は、今回挙げるポイントを参考に経営の状況を見直してみてください。
目次
まずはじめに、利益率の重要性についてお伝えしていきます。
利益率は工務店の経営状況を判断するための目安のひとつになります。
一般的に、住宅業界の平均利益率は25%前後と言われており、利益率が20%を切ると経営の状況としてもあまり良くないと考えられます。
利益率が大きければ工務店としての儲けも大きくなるため、経営状況は良いと考えられるでしょう。
また、利益率が向上することにより、広告の打ち出しや新規のお客様集客のための費用に使うことができます。
つまり利益が出ることにより、さらに集客に力を入れることができ、お客様を契約までつなげることができれば、良い循環を作り出すことができます。
では次に、利益率の仕組みについて見ていきます。
利益率とは、売上に対する利益の割合を表す値になります。
利益率にも様々なものがありますが、住宅業界では一般的に総売上金額から材料費などの売上原価を引いた数値を示します。
そのため、利益率は下記の計算式で求めることが可能です。
1つの例として、2,000万円で住宅を販売したとします。
そのうち材料等の原価が1,500万円であった場合、利益額は500万円になります。
このように利益率を求めることができるため、売上に対して利益額が高くなれば利益率も高くなります。
ここまでは、売上総額に対して利益額の割合を高めることの重要性についてお伝えしました。
では、利益率を上げるためには具体的にどのような方法があるのでしょうか。
ここでは下記の4点についてお伝えします。
まずはじめに、契約件数を増やすという方法があります。
契約件数を増やすことにより、売上総額を増やすことにつながります。
しかし、売上総額を上げることに伴い利益の金額は大きくなりますが、利益率の改善につなげることは難しいです。
そのため、契約件数を増やすと同時に、住宅の受注単価を上げることや、原価コストを抑えることの取り組みが必要になります。
2つ目のポイントが、先程も説明をした受注単価を上げることによって利益率を改善するということです。
工務店によって事業規模があるため、従業員の人数により年間で建てられる棟数も決まってきます。
そのため、契約件数は維持したまま、受注単価を上げることによって利益を確保することが可能です。
最近では、石油価格の高騰に伴い建築資材全体で値上がりが起きています。
その影響もあり住宅の受注単価を上げることは、工務店にとっては避けられないことと言えるでしょう。
利益額を確保するという面から、原価コストを下げることも重要になります。
利益率は、売上高に対しての利益額の割合であるため、原価率が下がることにより、利益率は高くなります。
また、住宅のような高額な商品を扱う場合は、原価を下げることが利益にも大きく影響してきます。
そのため、原価コストを抑えるためにも市場相場価格を確認する必要があります。
取引先に価格の交渉をすることや、場合によっては金額が抑えられる他の業者に変えるという選択肢も視野に入れておく必要があります。
最後に、業務における固定費を削減することも利益率向上につながります。
固定費にも様々な項目があり見直しが難しい部分がありますが、具体的な例として下記の項目を参考にしてみてください。
住宅を建てる際には多くの工程があるため、様々な業者に外注をすることがあります。
しかし、外注をすることにより費用が掛かっている場合もあるため、今一度自社で完結できるかどうかを見直しておくことも必要です。
また、設計や見積もりではサービスやツールの発達も進んでいるため、活用することにより業務時間の削減につなげることも可能です。
ゆえに、人件費や光熱費の削減にもつながってきます。
日頃の業務を振り返って、削減できるところはないか見直すことをおすすめします。
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利益率を上げる際の具体的なポイントについて説明をしてきました。
先ほど挙げた4つのポイントの中でも最も効果があると考えられるのが、受注単価を上げることです。
しかし、単に受注単価を上げてしまっても、お客様にはうまく伝わらず集客にもつなげることが難しいです。
そのため、住宅の付加価値を上げるためのキーワードになるのが「高性能住宅」です。
高性能住宅の必要性について、ここでは3点を挙げて説明します。
まずはじめに、お客様自身が住宅に対しての知識をつけているという背景が挙げられます。
SNSや動画サービスの発達によりお客様自身でも情報が掴みやすく、理想の家をイメージされてる方も多くなっています。
また、大手ハウスメーカーも性能で広告を打ち出しているため、お客様も高性能に対してのイメージが定着しています。
そのため、ユーザーのニーズとしても耐久性や高断熱を求めている方が多くなっています。
このような要望に応えられる工務店であれば、高性能住宅を実現し集客につなげることも可能でしょう。
次に、社会的なトレンドも大きく影響をしています。
国の方向性としても高性能な住宅を増やしていく考えがあり、ZEH住宅に対しては補助金を交付するというような動きもあります。
また、2020年のハウスメーカーの新築割合では約56%がZEH住宅という実績でした。
加えて、2025年からの省エネ基準の適合義務化については、現状の断熱等級3以下の住宅は建築ができなくなります。
このような社会トレンドを考えたうえでも、高性能住宅を建てることは必要不可欠になるでしょう。
最後に、生涯価値という観点で勝負をすることも重要になってきます。
先ほどもお伝えした建築資材の価格高騰により、住宅自体の販売価格が上がってしまうことは避けるのが大変難しいです。
そのため、工務店としても振り切って高い価格帯で戦うことが必要になります。
しかし、そのうえで今まで重要視をしていたイニシャルコストで勝負をするのではなく、高性能住宅をアピールし、ランニングコストでお客様に訴求することが重要になります。
高気密・高断熱により快適な生活が過ごせるうえに、電気代を抑えることができるという長期的な視点を持たせることも大切になります。
大手ハウスメーカーや同じエリア内の競合他社に負けないようにするには、「戦わない戦略」が必要です。そのためには時代にニーズに合った「高性能住宅」の提供することができるかどうかにかかっています。詳しくは以下の資料をご覧ください。
今回は、工務店が利益率を上げる際のポイントについて説明をしてきました。
なかなか利益が確保できていない工務店の方もいるかもしれませんが、本記事でお伝えしたポイントを参考に再度見直しをしてみてください。
また、早い段階で高性能住宅へのシフトを行い、積極的にお客様への提案を行いましょう。