安定した工務店経営を行うためには、コンスタントに受注をとる必要があります。
しかし、なかなか受注に結びつかないと悩んでいる方も多くいるのではないでしょうか。
本記事では住宅を受注することにおいて大切なポイントを説明をするとともに、どのような点を見直すべきか説明をしていきます。
売上につなげるためにも今回挙げるポイントをぜひ参考にしてみてください。
目次
まず受注をする際のポイントを説明する前に、近年の住宅市場の動向についてお伝えします。
日本国内の住宅市場については、新築着工数は減少傾向にあり、2021年度においては87万戸という実績でした。
今後の見込みとしては、建築資材の価格高騰や世界情勢による材料の供給制約によって徐々に減少していく傾向が見られます。
また、野村総合研究所の推計・予測によると、2030年度には70万戸、2040年度には49万戸まで減少すると見込まれています。
新築着工数が減ってくるという点からも、今まで以上に競争が激しくなり、どの住宅会社においても受注することが難しくなってくるでしょう。
参考:野村総合研究所|2040年度の新設住宅着工戸数は49万戸に減少、2040年の既存住宅流通量は20万戸に増加する見通し
次に、住宅の受注において競合することになる、ハウスメーカーと工務店の今後についてはどのように変わっていくのでしょうか。
ハウスメーカーは全国的に販売網があり、広範囲の規模で展開をしている住宅会社です。資金力や資材の流通網に強みがあり、自社では施工を行わずに建築地に根付いた工務店が下請けで工事をしていることが多いです。
一方で工務店は地域に密着しており、気候風土や住みやすさを理解した設計や施工を得意としています。また、一生の付き合いができることも強みとしてあり、建ててからずっと見守り続けてくれることも地域工務店ならではといえます。
今後、ハウスメーカーは展示場集客からWEB集客などIT化を急速に軸足を変化させていくことが予測されます。少子高齢化による新築着工棟数の減少が避けられない中、工務店集客に関してもWEB集客は余儀なくされます。
そこで、工務店ならではの強みである「地域を一番に理解していること」「一生地域で守り続けていくこと」を最大限に生かしたWEB集客、DX化を推し進めていくことが重要です。
参考コラム:工務店DXとは?なぜ必要?特徴と成功へのポイントを徹底解説します
今後、受注をさらに伸ばしていくためにはどのようにすれば良いかポイントを説明していきます。
今回取り上げるポイントとしては下記の3つになります。
まずはじめに集客方法についてです。
集客はお客様を受注につなげるまでの最初の段階になるためとても重要になります。
ハウスメーカーは全国的な基盤があるため、広告に力を入れることにより、広範囲で集客をすることが可能です。
一方で、工務店については広範囲での広告からの集客は難しいため、ターゲットを絞ったSNS(インスタグラム)やWEBでの集客が今後も必須条件となります。
現在の家づくり検討客は、まずがインターネット上で住宅に対しての情報を取得し、実際に見学に行ったり、詳しく話を聞いたりする住宅会社を絞る、という行動が主流となっています。家づくり検討客に役に立つ情報を発信することにより関心を集めることが必要となっています。
さらに、国が推し進める高性能住宅についての情報や、地域に根ざした家づくりの情報を発信し、工務店のブランド力を高めていくことで、競合他社との差別化をすることも重要です。
次に、住宅の特徴や性能をアピールする機会となるプレゼンも重要になります。
プレゼンを他社と異なる方法で行うことにより、差別化を図ることも期待できます。
従来の設計ツールで使われているCADに代わって、最近では設計やプレゼンの際にBIMを使う住宅会社も増えています。
BIMとはBuilding Information Modeling(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の略称であり、コンピューター上に住宅の3Dモデルを作り上げる設計システムになります。
BIMを使うことでより効率的に作業ができるため、お客様に対しても迅速かつ正確に情報を伝えることができ、満足度アップにもつながるでしょう。
設計やプレゼンの際に役立つBIMについては下記のコラムでも紹介をしています。ぜひ参考にしてみてください。
最後に重要になるのが顧客管理です。
工務店の強みは地域に根差した会社であるため、お客様と距離の近い関係性づくりができることです。
また、長い時間をかけて信頼関係を構築することも可能です。
新築を検討されているお客様に対して、見積りやプレゼンのみで完結するのではなく、その後も定期的なアプローチが必要になります。
フォロー体制を仕組み化し、お客様との接点を作れるように心がけましょう。
そして、受注を高めるために住宅の性能を見直す必要もあります。
その際に大切になるキーワードが「高性能住宅」です。
なぜ高性能住宅が必要になるのか3つのポイントで説明をしていきます。
まず1つ目は、お客様のニーズに高性能住宅が含まれるためです。
先ほど、SNSやWEBで住宅についての情報を得ているお客様が多いとお伝えしました。
そのため、どのような家づくりをしたいか理想を描いている方も多くいます。
もちろん価格も重要にはなりますが、その他に住宅の性能や快適さが伴っていなければお客様の満足に応えることは難しいです。
競合他社と比較をされ、選択肢から外れてしまう恐れもあります。
2つ目に、社会的なトレンドも大きく影響しています。
高性能住宅が標準化されている住宅会社も多くなっています。
2020年のハウスメーカーの新築戸建においては、ZEHの割合が56%という実績でした。
また近年では、ZEH住宅に対して補助金が交付される制度や、住宅ローンの優遇が受けられるなど、お客様にとってもメリットがあります。
そのため、住宅市場の流れに取り残されないためにも高性能化を進める必要があります。
そして最後に、生涯価値において訴求することも重要になります。
高性能住宅においては、建築資材の関係からイニシャルコストつまり建築費用が高くなる傾向にあります。
一見、お客様にとってはデメリットに感じられるかもしれません。
しかし、生涯を通じて快適で安心な暮らしができること、また高性能による日々の電気代等のランニングコストを抑えられることがメリットとして挙げられます
お客様は短期的な視点でコストを考えているかもしれませんが、その住宅で暮らすことを想定した長期的な視点を持たせることも大切になります。
今回は、工務店が受注を上げる際のポイントと高性能住宅の必要性について説明をしてきました。
新築住宅着工の減少や資材高騰に伴う販売金額の上昇により、住宅の受注が難しくなっています。
しかし、日々の業務を見直し、強みを再認識することでお客様の満足につなげることも可能です。
安定した受注、そして経営のためにも今回挙げたポイントをぜひ参考にしてみてください。