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工務店の多角化経営はすべきか?|今後の住宅業界の課題と経営を考える際のポイントを解説

更新日:2024年9月25日(水)

工務店経営をする中で安定的な売上が見込めず、悩まれている方も多くいるのではないでしょうか。

本記事では、住宅業界の現状の課題をお伝えしながら、多角化経営をする際のポイントについて説明をしていきます。

今後の事業の方向性をお考えの方はぜひ参考にしてみてください。

住宅業界における今後の課題

まずはじめに、住宅業界の現状と課題についてお伝えします。

今後の住宅業界では様々な要因が重なり合い、住宅の販売についても競争が激しくなると考えられます。

その中でも大きな要因となるのが下記の3点になります。

  • 住宅着工数の減少
  • 大工や職人の人材不足
  • 社長の高齢化と後継者不足

それでは、それぞれの内容について説明をします。

住宅着工数の減少

まずはじめに課題として挙げられるのが、住宅着工数の減少です。

工務店が安定した経営を行うためには、年間の建築棟数を維持する必要があります。

しかし、日本国内の住宅市場においては新築着工数が減少傾向にあり、2021年度は87万戸という実績でした。

また、今後は2030年度に70万戸、2040年度には49万戸まで減少するという予測も立てられています。

新築の総数が減るという点においても、ハウスメーカーや工務店同士での競争が激しくなることが予測できます。

そのため、売上を維持するのも厳しい状況が続くでしょう。

大工や職人の人材不足

次に、大工や職人の人材不足も課題として挙げられます。

どの業界も人材が不足しているのは課題かもしれませんが、建築業界ではより深刻な問題として捉えられています。

業界内では「若手が定着しない」、「後継者が育たない」という声もよく聞くのではないでしょうか。

その理由は、作業における危険性や労働時間に対しての賃金など様々でしょう。

人材の確保ができなければ工事を予定通りに行うことも難しくなり、工期に遅れがでてしまう可能性もあります。

ゆえに年間の建築棟数を維持することができず、場合によっては事業を縮小するという選択肢も視野にいれておく必要があります。

また、工務店内だけの問題にとどまらず、大工や職人の高齢化が進み将来を担う若手の育成ができないことは、業界全体にも大きな影響を与えます。

社長の高齢化と後継者不足

最後に、経営における後継者不足も問題としてあげられます。

地域の工務店であれば親族に継承する場合も多いでしょう。

しかし、少子化にともなう事業継承の難しさや、選択の広がりにより工務店を継がないということも起きています。

そのため、後継者がいないため廃業を余儀なくされる工務店もあります。

事業を継続するために従業員や社外から継承者を選ぶことや、M&Aにより事業を存続させることも考えておく必要があります。

この問題については社会全体の高齢化に伴い、今後もより多くの方が直面することになると考えられます。

経営の多角化の目的

上記の問題点を踏まえたうえで事業を継続させるためには、多角的な視点で経営をする必要があります。

工務店であれば地域の中で築いてきた関係性を活かしながら、新たなことに取り組むことも可能でしょう。

リスク分散の観点から、事業を継続させるための手段として経営の多角化を選択することは重要になります。

また、これまでの核となる事業をもとに、新たな事業を始めることで成果を得ることができ、相乗効果を生み出すことも考えられます。

住宅業界における多角化経営の具体例

では、住宅業界における多角化経営とは具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

工務店であれば新築住宅やリフォームに取り組んでいる会社が一般的になります。

そこに不動産仲介やインテリア事業など関連する事業へ幅を広げる考え方もあります。

また、エリアを拡大して住宅を販売するということも多角化経営のひとつかもしれません。

新規の事業展開として建築ノウハウを活用して、サービス付き高齢者向け住宅・デイサービスなどの介護福祉事業を行う例もあります。

ここまでは工務店が多角化経営をする際の例についてお伝えしましたが、反対に新たに住宅業界に参入する例もあります。

もともとは家電量販店やホームセンターであった会社が住宅業界に参入し、住宅を販売するケースもよく見られます。

また、近年ではネット販売の会社がリフォーム事業へ拡大をしていることなど、住宅業界の競争も激しくなっています。

新築住宅を中心に事業展開をしてきた住宅会社では、これまで培ってきたノウハウを活かしてレンタルスペースやカフェ・ベーカリーなどの飲食事業に取り組んでいる会社もあります。

多角化経営の事例として、光と風|MARKET COURTなどがあります。

次の章では、多角化経営を検討する際に重要なポイントを説明します。

多角化経営を考える際のポイント

では、次に多角化経営をする際のポイントについてお伝えします。

現状の経営状況や事業規模をもとに、今後どのような方向へシフトするのかを考える必要があります。

その際に重要となるポイントが下記の3つです。

  • 自社の強みと弱みを理解
  • ターゲット層の設定
  • 新規事業への参入

自社の強みと弱みを理解

まずはじめに、自社の強みと弱みを理解しておく必要があります。

事業規模やエリアを拡大したいと考えていても、自社の強みと弱みを理解していなければ正しい戦略を練ることは難しいでしょう。

例えば、新築住宅の販売を中心にしているのであれば、「住宅にどのような特徴があるのか」、「他社と差別化できる点はどこなのか」を明確にしておく必要があります。

それを踏まえたうえで、既存の住宅事業に注力しシェアアップを狙う、またはエリアを変更して販売をする、など経営の方向性を決めていく必要があります。

ターゲット層の設定

次に、ターゲット層の設定も明確にしておく必要があります。

ターゲット層の設定が誤っていれば実績につなげることは難しいでしょう。

先ほどの強みと弱みを理解したうえで、ターゲット層を絞ることにより、方向性がより明確になります。

販売エリア、年代、家族構成、職業などの情報をより具体的に絞り込み、強みとマッチングさせることで効率的に成果をあげることにもつながります。

新規事業への参入

そして最後に、これまで経験したことのない新規事業への参入も視野に入れておく必要があるでしょう。

工務店の特徴としては、地域に根付いた家づくりをしているという点が挙げられます。

そのため、地域とも長い年月をかけて関係性を築いており、住宅に関しての知識も備わっています。

これまでの核であった事業の強みを活かして、新たな展開をしてみることも良いかもしれません。

新たな経験のため導入部分では困難に直面することも多くあるかもしれませんが、そこから得られる成果も十分に考えられます。

また、これまでの経験と新たに得た経験から、相乗効果を生み出すことも可能でしょう。

まとめ

今回は工務店が多角化経営をする際のポイントについてお伝えしました。

住宅着工数の減少や、建築に関わる人材不足など、住宅業界にとっては不安となる要素が多々あります。

その課題を克服するためにも、日頃から広い視野をもって経営状況を見ておく必要があります。

これまで築いてきた工務店経営を今後成長させるためにも、今回挙げたポイントを参考にしてみてください。

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