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4号特例改正に合わせて、許容応力度計算を外注すべき3つの理由を解説

更新日:2024年9月25日(水)

2025年4月に4号特例が改正になります。

この改正により、これまで提出が省略できていた許容応力度計算書への対応が必要になります。

加えて、省エネ関連図書の提出も義務化されました。

これにより、これまでの設計にかかる工程に加え、4号特例に対応する作業が増えることになります。

ですが、すぐに設計士を雇ったり、教育を行って対応するのは、なかなか厳しいとお考えではないでしょうか?

4号特例の改正に対応しながら、これまでの業務に傾注するには、外注することをおすすめします。

この記事では、外注すべき3つの理由と外注のメリット・デメリット、費用相場などを解説します。

4号特例の改正により、許容応力度計算の対応に悩まれている人は、この記事を読んで外注することを検討してみてください。

許容応力度計算を外注すべき3つの理由

許容応力度計算を外注すべき3つの理由

現在の4号特例では、床面積が500㎡以下、2階建て以下などの条件を満たす木造建築では、構造審査が義務化されていませんでした。

今回の改正では、現行法で4号の条件を満たす木造2階建て以下、高さ13m以下、軒高9m以下、床面積が500㎡以下の建築物は、2号または3号に分類されます。

さらに、300㎡を超える建物は許容応力度計算書の提出が義務化されます。

つまり、ほとんどの木造住宅で許容応力度計算書の対応が必要となります。

許容応力度計算を行うには費用がかかるだけでなく、技術や経験を必要とします。

社内で改正に向けて対応できればよいですが、なかなかすぐには厳しいでしょう。

そういった体制構築が厳しい場合は、外注をおすすめします。

この章では、外注すべき理由を3つ解説していきます。

許容応力度計算には時間と費用のコストがかかる

許容応力度計算とは、建築物に掛かる重力や地震に耐えられるかを計算する構造計算のことです。

建築物の構造に関する家の安全性を確認する方法としては、「壁量計算」「耐震等級」「構造計算」があります。

安全性能が低い「壁量計算」から始まって、一番高い安全性能が「構造計算」になります。

構造計算は、建物や屋根にかかる重さやその重さに材料が耐えられるか、建物の傾きやバランス、大地震が来た時にどの程度まで耐えられるかなど、細かく計算し、答えを導き出す必要があります。

この計算は、構造上の不十分さ、危険箇所の洗い出し、部材や構成要素の見直しも必要になり、相当の時間がかかります。

時間がかかることに加え、構造計算書はA4用紙数百枚もの規模になります。

構造計算をする作図ソフトなども必要となり、導入費用や膨大な時間がかかるため、すぐに実現するのはハードルが高いでしょう。

一級建築士の雇用または育成が必要

構造計算を行う上では、高度な知識と経験が必要になります。

構造計算は、ルートという、ルート1〜3までの計算方法になります。

ルート2以上は、構造一級建築士の資格をもっていないと計算できないことになっています。

構造一級建築士は、一級建築士を取得後、5年の実務経験が必要になります。

ハウスメーカーに近い工務店を除いて、施工に特化している工務店などは、建築家や設計事務所と組むことが多いため、一級建築士が常駐していないことがあります。

人件費や教育費などの固定費や育成時間を考えると、外注してしまった方が効率が良いといえます。

社内設計士の負担が増える

前途にもあるように、構造計算には時間がかかります。

柱1本、梁1本などの基礎部分に至るまでの部材にかかる計算を行うため、2階木造住宅1棟の場合でも、最低1ヶ月程度は時間がかかります。

4号特例が適用になると、これまで省略できた資料の提出が必要となります。

加えて、省エネ関連の図面などの作成も必要となるため、作業における資料作成の手間が増えることになります。

さらには、審査機関との質疑応答にも対応する必要があります。

4号特例改正で変わること

4号特例改正で変わること

4号特例改正での変更点や改正にあたってしなければいけないことを、今のうちから準備しておくようにしましょう。

変更点や準備すべきことは以下の章で解説します。

変更点

4号改正で変更となることは以下の3点です。

・建築確認、検査の見直し

・審査省略制度の縮小

・構造、省エネ関連図書の提出が必要となる

変更点の要約としては、4号建築物がなくなり、新2号建築物と新3号建築物として振り分けられます。

新2号建築物は、木造2階建てや床面積200㎡超えの木造平屋建てが対象となります。

これらの建築物はすべての地域で建築確認と検査が必要なことに加え、確認申請書・図書の添付が求められることとなりました。

さらに、確認申請書・図書に加え、省エネ関連図書が新たに加わります。

変更時期としては、令和7(2025)年4月に施工予定で、

申請書類に必要な書類や内容は2023年の秋頃に決定の予定です。

改正にあたって準備すべきこと

4号改正にあたって準備すべきことは、以下の2点になります。

・建築図書の保存が必要となる

・既存不適格への対応

それぞれ解説します。

建築図書の保存が必要となる

4号改正後は、新2号建築物の確認申請の際に、新たに構造関係規定などの図書と省エネ関連の図書の提出が必要になりました。

この改正により、現在の2階建ての住宅は、ほとんどの場合4号特例に該当しているため、建築図書の提出が必要になります。

これまで4号特例において、500㎡を超えない建物は構造計算書の提出を求められていないため、改正後は保存が必要になります。

既存不適格への対応

これまで、4号特例で建築された建物で、構造計算が成立していない場合は、既存不適格になります。

建築時では合法でも、4号特例によって、不適格な箇所がある建築物は法令改正後の基準に合わせる必要があります。

許容応力度計算の重要性

許容応力度計算の重要性

2016年4月の熊本地震で倒壊した建物のほとんどは、壁量計算で建築された木造住宅で、耐震等級2級にあたります。

これらは、構造計算はされていませんでした。

耐震等級は3までありますが、壁量計算で耐震等級3まで引き上げれば安全かというと、そうではありません。

より詳細で綿密な検証を行い構造計算した耐震等級3の家の方が、さらに地震に強くなります。

絶対に倒壊してはいけない建物には構造計算がされています。

大切な家族が住む場所も、絶対に倒壊してはいけないはずです。

大切な命を守るためにも、構造計算は必要なのです。

許容応力度計算の外注のメリット

許容応力度計算の外注のメリット

人件費含めた固定費の削減が可能

固定費とは、人件費、社内の設計士育成に必要となる教育費、構造計算ソフト導入費用などになります。

一級建築士を雇うとなれば、求人にかかる費用や作業に使用する構造計算ソフトなどの費用を用意しなくてはいけません。

既存スタッフを構造計算に対応する設計士に育成するとなれば、それなりの時間もかかります。

こういった内部で必要なコストを考えると、外注した方が費用や時間の短縮にもなります。

社内スタッフの業務負荷が軽減できる

構造計算は膨大な時間がかかることに加え、審査機関との質疑応答も必要となります。

これまでの業務に加え、構造計算作業も加わるとなると、相当な負荷がかかります。

作業負荷がかかると作業ミスにも繋がり兼ねません。

許容応力度計算の外注のデメリット

外注経費がかかる

費用相場はこのあとで説明しますが、木造2階建てにかかる費用としては9〜35万円程度になります。

これまで説明したように、社内で採用、育成にかかる費用を考えれば、外注する費用は少なくはなりますが、いずれにしてもコストは発生します。

品質の管理が不安定になる可能性がある

社内で行うのであれば、共通のCADソフトを使用していることもあり、ルールも統一されていて業務がスムーズに行うことができます。

外注先にもよりますが、外注先の信頼性が低いと、修正に膨大な時間を取られる可能性があります。

異なるCADソフトを用いる場合は、整合性が失われてしまいます。

整合性確保が難しければ、手戻りが生じやすく、作業が進まなくなる恐れがあります。

許容応力度計算の外注の費用相場

参考程度になりますが、以下に費用相場をまとめました。

許容応力度計算許容応力度計算
(構造図付き)
許容応力度計算(構造図〜申請代行)
木造2階建て9〜16万円14〜17万円21〜35万円
木造3階建て12〜15万円17〜21万円25〜50万円

構造図付きで、木造2階建てであれば14-17万程度、木造3階建てであれば17-21万程度になります。

申請代行なども含めると、21〜50万円となります。

この費用はあくまで参考になります。床面積や業者により異なりますので、複数の見積もりを比較検討することをおすすめします。

まとめ

2025年に木造住宅の4号特例が縮小されるに伴い、構造計算が必須になります。

構造計算は最低でも約1ヶ月程度の時間を要します。

設計士を採用したり、育成するコストや時間を考えても外注することで、これまでの業務に集中することができます。

外注する会社の見極めは必要になりますが、4号特例の改正が行われる前に、社内の体制の構築をおこなうことをおすすめします。

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