資材・人件費などの高騰が続くなか、工務店経営者の皆さまは、削減できるコストはないかと、お困りではないでしょうか。資材価格や人件費をはじめに、価格を決められない・削れない経費の方が数多いです。本記事では、BIM導入による、品質を保ちながらも業務効率化・生産性向上を図り、コストダウンを実現する方法を紹介します。
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コストがかかったり、上乗せされたりする主な原因は、設計による出戻りが多くを占めており、その割合は55%です。他に占める割合の高い要因は、資材や機材の供給問題が 23 %、人材の能力による問題が18%と続いています。
出典:Measuring and Classifying Construction Field Rework: A Pilot Study
設計ミスによる出戻りの理由に焦点を当てると、独自性・意匠性に富み、複雑な設計や施工が求められ、かつ工期が短く設定されている建物の増加が、挙げられます。結果として、設計や施工にミスが起きやすい現状を生んでいます。
ミスを発見した際は、柱などの躯体や、配管をはじめとした設備の再確認をするために、設計図・施工図の修正作業が必要です。また、使用する予定だった部材に問題が見つかった場合は、部材の再選定と再手配が求められます。工期が延長したら、職人などへの再依頼も、対応が必要な事項の1つです。ミスを挽回するためには、設計者や職人などの人件費だけではなく、建設に欠かせない部材の段取りなど、多岐にわたる対応が発生します。
工程表に即した進行が妨げられる出戻りや資機材の手配は、本来勘定に入れていなかった費用が追加されるため、コストがかかる・上乗せされる主な原因になり得ます。
設計ミスによる出戻りは、BIMを導入することで最小限に留められますが、活用していない企業は、依然として多いです。
BIMを導入するには、ソフトのライセンスの購入が求められます。しかし、永久ライセンス購入を考えた場合、数十万から百万円以上の導入コストが必要です。決して安価ではありません。
中長期的な観点では、いずれは回収できるコストです。しかし、現在の目的がコスト削減である場合、初期費用として厳しく感じる工務店経営者がいるのも、無理はありません。また、BIM導入コストが設計費に上乗せされるため、顧客によっては、価格に難色を示す可能性があります。イニシャルコストのハードルの高さが、BIMを活用しきれない理由の1つです。
BIM導入できる予算を確保したとしても、BIMを操作し、活用できる人材がいない場合、運用できる時期は遠ざかります。多くの情報が織り込まれているBIMは、専門性が高く、十二分に能力を活かせる人材の不足が続いています。BIMを運用できる人材の獲得には、多額の人件費が必要とも言えるでしょう。
自社で人材を育成する方法を選択しても、運用に至るまでの時間もかかり、通常業務をこなしながらBIMの勉強が必須です。人材の人口が少なく、育つまでに時間を要すため、容易にBIMを取り入れられない理由も、工務店は抱えています。
BIMの購入・運用コストを要しても、コスト以上のメリットを感じられた時、費用対効果を確信できた時が、現実味を帯びてBIMの導入を検討するポイントであり、導入を決断するタイミングです。BIMを取り入れる、前提条件とも言えます。
BIMを導入すると、利益率の上昇や工程のスリム化、BIMを活用できる人材の確保など、工務店にとっての利点が得られ、他社との差別化が図れます。導入コストを回収し、メリットや費用対効果を感じるには、中長期的な視点で見ることが必要です。しかし、高額なイニシャルコストと人件費を加味しても、業務効率化によるコストダウンや品質を維持した生産性向上を目指し、BIM導入を決断する工務店は存在します。
BIMは、3次元で設計図面が引ける手法です。平面の設計図面を作成してから、立体モデルに起こすCADとは、扱う情報や使用目的が異なります。BIMを導入することで、業務効率・生産性が向上し、コストダウンにつながります。
BIMを導入すると、設計ミスによる出戻りを未然に防ぐことが可能です。設計変更の回数は、ゼロか最小限に抑えられます。BIMは、建設に関する諸条件を付与した3Dモデルを利用し、建物の設計・施工・維持管理に関する情報の一元管理ができるためです。例えば、2次元の設計図面では気づけなかった干渉を、設計の段階で発見・解決できる能力を有しています。設計図修正の回数を劇的に減らせるBIMは、コストダウンに貢献します。
BIMの活用は、従来の手法では求められた手間が省かれ、工期短縮につながります。
建物の運用・維持管理のコストダウンにも、BIMは寄与します。設計や施工に関する情報だけではなく、維持管理に関する情報も一元管理の対象です。BIMは、工程の一部を切り抜き、段階ごとに管理するのではなく、建設プロジェクト全体の情報を統合・管理することが目的です。BIMを導入し、データ入力の効率化を行うことで、コストダウンを目指せます。全段階において、効率的でコストが抑えられるモデルの作成をBIMは実現します。
BIMを採用すると、プレハブ化(=工場で設備一式を作成、建設現場に運搬して設置する手法)を導入できるため、労務費のコストダウンをもたらします。BIMにより設計された干渉などの問題がない設備の一部をあらかじめ作成するため、プレハブ化の段階で作業や人件費が最適化され、コストダウン効果を発揮します。同様に、工場で製造した設備は、品質管理が現場よりも容易であり、品質を維持しながらも、均一な品質の提供が可能です。
担当を超えた情報共有の難しさが起因のトラブルは、コストアップの原因になり得ます。しかし、BIMは、関係者間における情報の量・新旧の差をゼロにする、情報共有ツールとして機能するため、コスト削減が実現します。全ての担当者が、同じモデルを見て作業を進められ、3Dモデルによる理解のしやすさも相まって、課題の早期発見と迅速な解決が可能です。BIMは、設計や施工面だけではなく、担当者同士をつなげるツールでもあります。
BIMを取り入れると、施主の理解促進に寄与するため、コストダウンが期待できます。従来の平面図は、見慣れない人には、意図をくみ取ることも、イメージを膨らませることも困難です。説明機会の増加など、コストアップにつながる要因を持っています。BIMの最たる特徴は、3Dモデルによる設計や施工の可視化です。可視化は、プロジェクト担当者などの説明機会を減らし、別の業務を行う時間を生むため、業務効率化や生産性向上に貢献します。
BIM導入には、初期費用が必要です。しかし、中長期視点で考えると、コストが回収されるだけではなく、さらなるコスト削減や、業務効率化、生産性の向上を目指せます。より詳細で具体的な情報は、下記資料で確認できます。
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