「許容応力度計算と構造計算の違いって何だろう?」
構造設計を行うとき重要なポイントとなる安全面。
地震や台風に強い安全な建物を作るには、構造計算が必要です。
構造計算とともに頻出するワードである「許容応力度計算」は、構造計算の一種です。
建物の規模や高さにより必要になる構造計算は変わります。
本記事で構造計算の種類とその必要性を知り、より安全な建物を作る構造設計について考えてみましょう。
この記事でわかること
当社、Make houseでは、工務店に特化した設計に関するサポートを実施中です。
以下のリンクから資料をダウンロードできるので、ぜひチェックしてみてください。
目次
建築物の安全性を確認する手段の1つである、構造計算。
構造計算には下記の計算方法が挙げられ、許容応力度計算は構造計算の一種として含まれます。
出典:熊本県天草市|改正建築基準法に基づく構造計算等関係規定・早見表
どの構造計算を用いるかは、建築物の規模や高さによって決まります。
構造計算が必要な建物については、以下の記事で紹介しているので、参考にしてください。
許容応力度計算では、建物に雪や風のような荷重がかかったときに、材料が耐えられるかを計算します。
以下の3ステップに従って行います。
最初に建物にかかる鉛直下向きの力を計算します。
建物そのものの重さの他にも、以下の荷重を計算しなくてはいけません。
積載荷重や特殊荷重は常に建物にかかる力です。
そのため長期的に生じる力として計算します。
一方、積雪荷重は短期的に生じる力として計算しますが、地域によっては長期的なものとして取り扱うので注意が必要です。
次に建物にかかる水平方向の力を計算します。
具体的には地震で建物が揺れるときや、台風による暴風で建物が揺れるときに生じる力です。
地震や暴風では建物に横向きの力(地面と水平)がかかります。
これらの力は短期的に生じる力として計算します。
最後のステップが、①と②の力に材料が耐えられるかの計算です。
材料や生ずる力によって許容応力度は異なります。
例えば材料が木材であった場合です。
長期/短期に生ずる力それぞれに、以下4種類の力から考えられる許容応力度が明記されています。
出典:法令検索|建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)
さらに木材には基準強度が定められており、樹種や区分・等級によって違います。
どんな木材を使用するかで、耐えられる力の値が変わるからです。
基準強度と生ずる力の種類から、許容応力度が求められます。
出典:国土交通省|木材の基準強度Fc、Ft、Fb及びFsを定める件
鉛直下向きや水平方向に生ずる力に、建物の柱や梁などの材料が耐えられれば、この建物は安全であると判断できます。
当社、Make houseでは、工務店に特化した設計に関するサポートを実施中です。
構造計算を自社で行う余裕がないという場合は、ぜひ以下のリンクから当社にお問い合わせください。
許容応力度や構造計算と一緒に比較されるのが、壁量計算です。
構造計算を行わずに木造住宅の安全性を計算する最低限の規定として、仕様規定が挙げられます。
この仕様規定で行う計算が壁量計算です。
構造計算が必要な建物については、2025年の建築基準法改正で見直されます。
壁量計算は、建築基準法で定められています。
構造耐力上主要な部分である壁、柱及び横架材を木造とした建築物にあつては、すべての方向の水平力に対して安全であるように、各階の張り間方向及びけた行方向に、それぞれ壁を設け又は筋かいを入れた軸組を釣合い良く配置しなければならない。
建築基準法施行令第46条
地震や暴風に耐える力を壁の量で算出するもので、構造計算と違い材質や品質は問いません。
つまり、許容応力度計算を含む構造計算と比較すると簡易な計算方法です。
耐震等級3を取得するための「性能表示計算」では以下の3つの計算が必要であり、壁量計算はここにも使われています。
耐震等級は、「性能表示計算」と「構造計算」どちらでも取得可能です。
壁量計算は簡単な方法であるため、同じ耐震等級でも構造計算の方が高い安全性であるとされます。
壁量計算を含む仕様規定や性能表示計算を行うのではなく、構造計算で安全性を算出する設計会社もあります。
構造計算で耐震等級を取得すると、クライアントにアピールできるからです。
SNSでの情報発信の手軽さから、建築に関する情報もネット上にあふれています。
クライアントが「壁量計算よりも構造計算がいい」と知識を付け、設計会社に相談する機会は今後も増えるでしょう。
安全性を意識するのであれば、仕様規定や性能表示計算を上回る、許容応力度計算を実施しましょう。
安全性の高い建物を作る設計会社として、クライアントからの信頼も高まるからです。
しかし、許容応力度計算を含む構造計算は習得に時間がかかるというデメリットがあります。
許容応力度計算・構造計算は外注化し、業務効率を高めましょう。
自社のみで構造計算するメリット・デメリットについては以下の記事で解説しているので、ぜひご覧ください。
構造計算を自分でしたい!難しい許容応力度計算を時間・費用を節約して行う方法
構造計算とは以下の計算の総称であり、その中に許容応力度計算は含まれます。
許容応力度計算やその他の構造計算が必要とされる建物は、建築基準法で定められています。
しかし構造計算が不要とされる建物でも、許容応力度計算から耐震等級を取得すると安全性が増します。
構造計算の習得には時間がかかるので、外注化により業務効率を高めましょう。
当社Make houseでは許容応力度計算・構造計算を承っておりますので、以下のリンクより、サービス内容をご確認ください。