現在の日本は、少子高齢化社会が急速に進み、将来の人口が減少していく社会です。そのため、住宅の建築戸数も年を経るごとに減っているため、工務店は生き残るために苦境に立っています。
本記事では、工務店が年間10棟を受注していくために必要な施策を解説します。既に行っているかもしれませんが「改めて見直すべき点はないか」という視点も含めて、参考にしてください。
目次
少子高齢化が急速に進んだことや、住宅価格の上昇などの経済事情もあり、新規住宅着工数は年々減少し続けています。
国土交通省の統計資料では、2001年からの統計でみる総戸数は、2006年が1,285千戸(持ち家系738千戸、借家系547千戸)で最も着工数が多い年でした。
翌年から2009年までで着工数は急降下し、そこからはほとんど横ばいの数値ですが、徐々に着工数は減っているのが現状です。
なお、2020年には812千戸(持ち家系502千戸、借家系310千戸)まで減少しています。
新築住宅の建築は、さまざまな資材・設備・内装の各メーカーが必要です。また、そこで暮らす人の生活のために家具・家電などが必要なため、あらゆるジャンルの企業や業界に経済的な影響があります。
新規の住宅建築が少なくなることは、その分日本国内の消費も減る可能性があり、経済に大きなダメージを与えかねないのです。
新規住宅着工戸数は、2030年度には70万戸、2040年度には49万戸と減少していく見込みです。
人口減少だけではなく、ウッドショックなどの影響による住宅価格の上昇により、既存の住宅(中古物件)を購入する方や、リフォームをする方も多いことが予想されるためです。
人口減少により、新規住宅を購入する消費者だけでなく、住宅業界の労働者も減っていくことが懸念されます。既に一級建築士や職人などは人手不足になってきているのが現状です。
参考:野村総合研究所|2040年度の新設住宅着工棟数は49万戸に減少、2040年の既存住宅流通量は20万戸に増加する見通し
年間建築棟数が10棟以下の工務店は、ほかの工務店やハウスメーカーよりも倒産のリスクが大きいです。
年間10棟以下になると、資材などの原価の上昇で利益が上がりにくいです。また、大人数の社員を抱えず少人数の工務店もあり、経営者が営業なども行っているところが多いです。
その場合、人手不足が原因となり、経営者が会社の方針や現場のルール作りなど、経営に割く時間と労力が少なくなり、利益が出しにくい状況が続く可能性もあります。
集客が少ない原因は、商品や企業が認知されていないか、商品自体に魅力が足りない、もしくは魅力を伝えることができていないからです。商品力が集客を増やすのです。
次の3点を行えているか考えてみましょう。
価格・デザイン・性能などを知りたい顧客が、ホームページなどを見たときにわかりやすく表示されているか確認しましょう。
誰に何を売りたいのか、ターゲットを明確にする必要があります。若いファミリー世帯なのか、少し年配の富裕層なのか、改めて見直しましょう。ターゲットを決めていても、商品の魅力や特徴と合っているのかもふまえて再検討することが重要です。
社会のトレンドを抑え、ニーズを把握する必要があります。近年大きな地震が多発していますが耐震等級は満たしているのかなど。満たすだけでなく、それをわかりやすく表示し、説明できているのかも確認しましょう。
契約まで時間がかかるのは、営業ツールに問題がある可能性があります。商品資料は、住宅・建築の初心者である顧客が見てもわかりやすいものになっているのか確認しましょう。
そして、次の点にも注意が必要です。
顧客との打ち合わせにも、わかりやすい資料やサンプルがあれば、相手の理解も早まり時間短縮につながります。
新卒営業マン、初心者営業マンでもお客様に納得した説明をすることで契約に至る可能性は高まります。そのためには整備されたマニュアルが重要です。詳しくは以下の資料をダウンロードしてください。
設計方法が明確でわかりやすくなっているか確認しましょう。複雑だったり、わかっていない部分があるのに社内で共有できていない場合があります。
また、下記のようになっていないか見直し、改善しましょう。
わかりやすい標準仕様の図面や、仕上げ表などの準備が必要です。打ち合わせの際に顧客に見せることがあるならば、そこで時間を割かないためにも、わかりやすくする必要があります。
おすすめの提案や、標準・オプションの価格設定をすれば、毎回仕様を変更することはなくなり、時間を短縮できます。
要望を全て聞き入れていたらキリがありません。決定内容の変更回数の上限を設定し、「いつまでなら変更可能」と期間も決めましょう。
設計時間を半分に短縮できれば、人件費も下げることが可能です。また、設計時間を短縮するだけでなくお客様への提案力や魅力的な仕様を取り揃えておくことで、逆に満足度を高めることができます。詳しくは以下の資料をダウンロードしてください。
標準単価と価格のルール設定をしましょう。既に設定済みであるならば見直しましょう。問題はないと、思い込んでいる可能性があります。
次のことも打ち合わせの際に注意が必要です。
パンフレットや資料がわかりやすい内容になっていなければ、自社の価格帯を把握してもらえていない可能性があります。
また、その場合に変更できるオプションがあるのか、説明できる資料やサンプルが準備できているのかも重要です。
打ち合わせの場では、必ず概算見積もりを用意し、金額が確認できるようにしましょう。
また、オプションを含めた金額や、面積・仕様に変更があった場合の変更金額を出せるように準備を怠らないようにしましょう。
提案力の部分ですが、予算が確定しているにも関わらず予算オーバーの見積書を見せられても、お客様は購入する気にはなりません。
希望内容だと予算を超えてしまう場合は、別プランの用意と、何がどうなったから予算を超えているのかを、説明できるようにしましょう。
クレームが多い要因は、社内規則や業者との取り決めが明確でないことが原因となり、顧客に信頼してもらえるような約束ができていないことが考えられます。
次の対策やルールが明確になっているか確認しましょう。
部材・設備メーカーの納期が遅れないための方法を明確にしましょう。担当営業との協力関係の構築や、日程に余裕を持った発注など、細かい点について質を見直してみましょう。
また、標準工程を見直し、改善・省略できる箇所がないか、効率は問題ないか確認することも重要です。
標準仕様の単価・オプション金額を確定させ、何にいくら必要なのかわかりやすくしましょう。顧客にとってわかりやすくなるだけでなく、販売側も説明がしやすくなります。
また、着工後に変更・追加を受け付けない、もしくは受け付けることができる範囲を明確にしましょう。予算が上がりにくくなるだけでなく、説明や対応の労力を削減し、ほかの業務に充てる時間を増やせます。
できるだけ使い慣れた部材を使用しましょう。初めて使用する部材などの場合は「大体わかるだろう」と過信せずに、特徴などをあらかじめ確認し、工事の遅れや対応ミスにつながらないように十分に注意することが大切です。
そして、品質チェックリストを作成し、問題がないか確認することが重要です。
クレームが多くなることで、お客様の満足度を下げるだけでなく、利益を減らすことにも繋がります。クレームをなくすための現場体制や仕組み化をするための手法を以下の資料でご確認ください。
工務店が年間10棟を受注できるための対策を解説しました。少子高齢化という社会情勢や経済状況を確認し、自社の現状把握と業界の動きを予測しましょう。
そのうえで、自社にどのような悩みがあるのかを確認し、一つ一つ細かくディテールの部分を解決・対応していくことが重要です。