近年、日本においてもSDGsへの関心が高まっており、住宅業界にもその影響が見られるようになりました。
住宅購入者の「エコ住宅」に対する関心の高さは、まさにその影響と言えるでしょう。
そこで注目したいのが、「地域住宅グリーン化事業」です。
この事業は高性能の木造住宅や木造建築物の整備や改修など、「環境に優しい住まいづくり」の促進を支援しています。
本コラムでは、地域住宅グリーン化事業について詳しく解説します。
目次
地域住宅グリーン化事業は、平成27年度から国土交通省が推進してきた新たな取り組みです。
その中心として据えられている考えは、省エネ性能や耐久性が高いなど高性能な木造住宅の建設、整備を通じて、地域の活性化や環境負荷の軽減を図ることです。
本事業では、地域材を使用した木造住宅の建設を促すことで、参加している事業者が補助金が受けることで建設費用をサポートします。
補助金を受けるためには、地域における中小工務店や木造住宅の関連事業者(木材事業者や流通業者、建築士事務所など)がグループを作る必要があります。
住宅購入希望者は、そのグループを通して住宅を新築工事を発注することで、エネルギー効率が良く、耐久性などに優れた高性能の住宅を手に入れることが出来るのです。
そして、地元地域の木材を活用することによって、林業の振興や新たな雇用の創出にもつながります。
さらに、輸送コストやCO2排出量を抑制し、環境負荷の軽減を図ることも可能となるのです。
地域住宅グリーン化事業は、地域の環境を守りつつ、地域産業を活性化を促進し、生活者の生活の質を向上させる有益な事業と言えます。
この制度を活用することで、より良い住宅環境を手に入れ、地域全体の発展につなげることが可能です。
先ほど述べさせていただいたように、地域住宅グリーン化事業の目的は、地域の森林資源を活用した高性能な木造住宅の建設を促進し、環境負荷の軽減と地域振興を両立させることです。
ここでは、その目的について詳しく解説します。
まず、地域の森林資源を活用する点についてです。地域の森林資源を活用することで、森林環境の保全と持続可能な森林利用が可能になります。
木材は再生可能な資源ですので、その適切な利用は森林の健全な維持につながるのです。
さらに、地域の森林資源の活用により、森林の育成・管理が促進され、森林からの二酸化炭素吸収や水源かん養、土壌保全など自然環境の保全などに役立ちます。
次に、省エネ性能や耐久性の高い、高性能な木造住宅の建設は、エネルギー消費を抑制し、地球温暖化対策につながります。
高性能な木造住宅は、高断熱・高気密性能によりエネルギー消費を抑制し、住宅からのCO2排出を低減することが可能です。
これは、持続可能な社会を実現するために重要な取り組みと言えるでしょう。
加えて、木造住宅の建設は地域の経済活動の活性化も見込めます。木材の伐採から加工、建築までの過程で、地元の産業や雇用を支えることが可能になります。
これらを通じて、地域住宅グリーン化事業は、環境保全と地域振興を両立し、持続可能な社会の実現を目指しているのです。
地域住宅グリーン化事業の補助対象者は、地元の木材を活用した新築木造住宅を建設する個人や、その住宅を建設する事業者です。
具体的には、個人の場合は自宅を新築する予定の方々であり、事業者の場合は住宅建設に携わる中小工務店や木造住宅の関連事業者などが対象となります。
ただし、ここで注意していただきたいのは、直接の補助を受けられるのは、あくまでも事業者であるという点です。
新築木造住宅の建設を依頼した個人(施主)は、事業者が受け取った補助金額を工事費用から差し引かれる事で、間接的に地域住宅グリーン化事業の恩恵を受けるとができます。
補助金を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要がありますが、詳し解説は次の章で行いますので、ここでは簡単に触れておきます。
まず、地域で生産された木材を使用し、国が設定する性能基準を満たした木造住宅を建設することが条件です。
この基準は、省エネ性、耐震性、耐久性など、住宅としての基本的な機能を確保するためのものになります。
また、上述の通り、地元で生産された木材の使用を推進するという事業の性格上、地域の森林資源を活用した住宅建設に力を入れている事業者が対象者です。
つまり、地元の中小工務店や木材事業者や運送業者、建築設計事務所などについても、補助金の対象者です。
さらに、建設する住宅の種類に応じて補助金の上限額が設けられており、条件を満たした木造建築住宅には、より高額の補助金が支給されます。
このように、地域住宅グリーン化事業は、新たな住宅を建設しようとする個人や建設に携わる事業者に対して、持続可能な住宅建設を支援し、地元の産業を活性化することを目指しているのです。
ここでは、地域住宅グリーン化事業の補助対象となる住宅の種類や安定的な木材確保に向けたグループの先導的な取組について詳しく解説します。
住宅の種類については、「地域住宅の整備」の項目で、それとは別項目として「安定的な木材確保」に向けたグループの先導的な取組への補助金について解説します。
地域住宅グリーン化事業の補助対象となる木造住宅は、以下の3つのタイプです。
補助を受けるには、以下の条件を満たさなくてはいけません。
施工事業者は、補助対象となる住宅の工事を元請けとして行う必要がある。
その他、条件についての詳細は、地域型住宅グリーン化事業(評価)のページをご確認ください。
補助金の限度額については、以下の表の通りです。
地域型住宅の整備 | ||||
補助対象 | ZEH・Nearly ZEH | 認定長期優良住宅 | 認定低炭素住宅 | ZEH Oriented |
補助金の限度額 | 140万円 | 125万円 | ||
加算措置について(1戸あたり)以下の条件を満たす場合、補助金額が加算される。 ・地域材加算:柱・梁・桁・土台の過半について地域材を使用している。20万円 ・地域住文化加算:地域の伝統的な建築技術を活用する。20万円 ・三世代同居、若者・子育て世帯加算:30万円 玄関・キッチン・浴室・トイレのいずれかを複数箇所設置する。 40歳未満の世帯または18歳未満の子どもを有する世帯である。 ・バリアフリー加算:バリアフリー対策を実施すること。30万円 |
地域型住宅グリーン化事業の一環として、長寿命型、ゼロエネ住宅型の住宅の整備の前段として、地域の中小工務店、木材関連事業者等で構成されたグループ等が行う、安定的な木材確保のための先導的な取組みを支援するのが目的です。
適用される条件としては、以下の3つがあります。
具体的には、現況把握のための調査・整理にかかる経費や検討資料の作成や検討内容のとりまとめにかかる経費、リスク対応の検討等の際に専門家に対してかかる経費、グループの体制を整備するためにかかる経費などが補助対象です。
補助額は、定額 上限1000万円です。ただし、既存のシステムの導入など、システム開発に対しては、補助率1/2以内、1000万円までとなっています。
地域住宅グリーン化事業は、今、注目を集めるSDGsに寄与する事業です。環境負荷を軽減し、持続可能な社会実現へつながる重要な事業と言えるでしょう。
また、環境負荷の軽減だけでなく、地域住宅グリーン化事業を通して経済の活性化はもちろん、雇用の創出も見込めるため、地域社会への寄与も期待されています。
SDGsへの関心は日本でも高まっており、住宅関連分野にも大きな影響を受けることは間違いないでしょう。
この機会を見逃さず、環境負荷の軽減と地域社会の活性化の両立を目的とした地域住宅グリーン化事業に参画し、売上の向上だけでなく地域社会への貢献を目指してみるのも良いかもしれません。
これからの住宅のスタンダードであるZEH。取り組み方について詳しくは以下の資料を無料ダウロードして、是非御社の業務改善にお役立てください。
目次
・こんなお悩みはありませんか?
・知識不足のため、提案ができない
・手続きの方法がわからない
・コストが上がるため、なかなか取り組めない
・大手ハウスメーカーに競合で負ける
・施工面が不安