構造計算と一緒によく耳にするのがルートです。
しかし、「そもそもルートがよくわからない」「どのルートを選べばいいのかわからない」という方もいるでしょう。
また、ルートを理解できていないと、構造計算のことを理解しているとはいえません。
そこで今回は、構造計算のルートについて詳しく解説していきます。
ルートの種類や選び方も解説するため、ルートがよくわからない方はぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
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目次
そもそも構造計算は、建物や施設にかかる力と安全性を確認するための計算のことです。
たとえば、地震や台風といった災害などにも耐えられるかを計算します。
そして、構造計算をおこなうために実際に用いる計算方法がルートです。
構造計算するためのルールを定めているのがルートだと考えるとわかりやすいかもしれません。
また、ルート3で計算すれば使う鉄骨の重量を減らし、建設費用を抑えられるなど、ルートによって経済性も変わります。
構造計算についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
工務店の経営を左右する構造計算の重要性とは?四号特例の落とし穴も解説
構造計算のルートは、大きく3種類に分けられます。
さらに、限界体力計算も構造計算に用いられるため、合計で4つの計算方法を解説します。
ルート1は、許容応力度計算です。
建物や施設にかかる重量や、地震、台風といった自然災害などに耐えられるのか計算します。
低層や中層といった中規模建築構造物が対象です。
国土交通省の定める建築物の構造計算法に該当する建物や施設は、許容応力度計算をおこない、安全性の確認をしなければいけません。
ルート2は、許容応力度等計算です。
ルート1の計算にプラスして、地震や暴風などで発生する変形量を計算します。
たとえば、建物がどのくらい傾くのか計算したり、建物のバランスを調べたりします。
鉄骨造4階以上などの大規模建築構造物が対象です。
ルート3は、保有水平耐力計算です。
地震や風圧といった水平の力に対して、崩れることなく建物が耐えられるのかを計算します。
ルート3は主に鉄骨造4階以上の大規模建築構造物に用いられますが、ルート2とは適用となる規模や範囲が異なります。
また、中規模建築構造物でルート3を選んでも問題ありません。
限界耐力計算はルートの名がついているわけではありませんが、構造計算に用いられます。
ルート2に加えて、損傷限界耐力等を算出します。
災害への安全性を計算する点はルート2と同じですが、稀に起きる大規模災害に必要な耐力を明確にする場合に活用します。
限界耐力計算は、ルートよりもさらに細かな計算が必要になるため、プロですら難しいといわれることもあります。
構造計算のルートは1から3までありますが、実は建築物の構造によってはさらに細かく分けられます。
たとえば、鉄骨造であればルート1-1、1-2、2、3に分かれ、鉄筋コンクリート造はルート1、2-1、2-2、3に分けられます。
また、計算式は異なりますが、鉄骨鉄筋コンクリート造も鉄筋コンクリート造同様、分け方はルート1、2-1、2-2、3です。
基本ルートは1から3、構造によってはルートが異なる場合があること覚えておきましょう。
構造計算でどのルートを選ぶかは、建築物の規模で決まります。
それぞれの条件をみていきましょう。
次の条件に該当する建築物は、ルート1です。
建物の高さ | 軒の高さ | 柱スパン | 階数 | 面積 | 偏心率 | |
木造 | 13m以下 | 9m以下 | – | – | – | – |
鉄骨造(ルート1-1) | 13m以下 | 9m以下 | 6m以下 | 3階以下 | 500平方メートル以下 | – |
鉄骨造(ルート1-2) | 13m以下 | 9m以下 | 12m以下 | 2階以下 | 500平方メートル以下 | 0.15以下 |
鉄骨造(ルート1-2) | 13m以下 | 9m以下 | 12m以下 | 1階以下 | 3,000平方メートル以下 | 0.15以下 |
RC造(規定量の耐震壁がある) | 20m以下 | – | – | – | – | – |
偏心率は、重心と剛心のへだたりのねじり抵抗に対しての割合です。
上記の条件に当てはまる場合は、ルート1で構造計算をおこないます。
次の条件に該当する建築物は、ルート2です。
建物の高さ | 塔状比 | 偏心率 | 剛性率 | |
鉄骨造 | 31m以下 | 4以下 | 0.15以下 | 0.6以上 |
RC造(規定量の耐震壁がある) | 20m以下 | 4以下 | 0.15以下 | 0.6以上 |
剛性率は、建物の負荷に対して変形のしやすさはどれくらいなのかを示す指標です。
上記の条件に当てはまる場合は、ルート2で構造計算をおこないます。
また、RC造は耐震壁の量によってルート2-1とルート2-2の2つに分かれます。
建物の高さが60m以下の鉄骨造とRC造は、構造計算でルート3を用います。
適用する構造計算基準によっては、令第3章第1節から第7節の2で規定される技術的基準(仕様規定)を一部省略可能です。
ルート3に適用されるのは、耐久性等関係規定および耐久性等関係規定以外の一部の仕様規定です。
構造計算のルートの主な検討項目を一覧表にまとめました。
主な検討項目 | 許容応力度計算 | 使用上の支障 | 層間変形角 | 保有水平力 | 屋根葺き材等 | 剛性率 | 偏心率 |
根拠となる規定 | 令第82条第一号から第三号 | 令第82条第四号 | 令第82条の2 | 令第82条の3 | 令第82条の4 | 令第82条の6第二号イ | 令第82条の6第二号ロ |
ルート1 | ◯ | ◯ | – | – | ◯ | – | – |
ルート2 | ◯ | ◯ | ◯ | – | ◯ | ◯ | ◯ |
ルート3 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
令第81条に、ルート1から3までの規定があります。
構造計算する際は、どのルートを適用するかによって検討項目が異なります。
それぞれの検討項目を事前に確認しておきましょう。
構造計算のルートに関するよくある質問を紹介します。
よくある質問に目を通すと、構造計算のルートへの理解がより深まります。
それぞれの回答をみていきましょう。
構造計算は、絶対に必要なわけではありません。
構造計算が必要な中規模建築物および大規模建築物に該当しない、小規模建築物は構造計算不要です。
ただし、建物の安全面を考慮するのであれば、構造計算は行うべきでしょう。
各ルートは、計算の複雑さが異なります。
ルートの数字が大きくなるにつれて、計算が難しくなります。
たとえば、ルート1は中規模の地震で損傷しなければいいといった比較的単純な計算ですが、ルート3は万が一の大地震でも建物が崩壊せず、人命を守れるのかという細かな部分まで考えて計算しなければいけません。
ルートは、種類によって計算の複雑さが異なると理解しておきましょう。
構造計算の適合性判定は、建築確認の申請時に添付する構造計算が建築基準法等に適合しているのか審査する制度です。
審査は、建築主事が行うだけではなく、第三者機関も行います。
対象になるのは、ルート3と限界耐力計算を用いた場合です。
適合すると認められない場合は、工事はできません。
構造計算のルート1-2は、ルート1-1よりも制約が増えます。
たとえば、偏心率を15/100以下にしなければいけません。
そのため、ルート1-2はルート1とは異なり、構造的にバランスの悪い、偏った建築物を扱えません。
ルート2-1とルート2-2は、扱う対象となる建物が異なります。
ルート2-1は、耐力壁が水平力の多くを負担する建物が対象です。
一方ルート2-2は、耐力壁とはみなさない壁、あるいはそで壁のついた柱が水平力の多くを負担する建物が対象となります。
ちなみに、ルート2-3は平成27年1月に廃止されているため、注意しましょう。
ルートは、構造計算の具体的な計算方法のことです。
大きく3種類に分かれており、建物の規模や構造にあわせて適切なものを選択します。
ただ、構造計算は誰でも簡単にできるものではありません。
ルートは数字が大きくなればなるほど計算も複雑になり、手間や時間がかかります。
万が一、計算を間違えたとなれば、大問題にもなりかねません。
そのため、構造計算はプロに任せるのがおすすめです。
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