【工務店経営者必読】ナフサショックが住宅業界に与える影響とは?今知っておくべき知識や対策を解説

※2026年4月8日現在の状況解説になります。

「また建材が値上がりする…いつまで続くのか」
「実際にどう対応すればいいのか…」

このように悩みを抱えている工務店の経営者・担当者の方も多いのではないでしょうか。

2026年に入り、中東情勢の緊迫化を発端とした「ナフサショック(ナフサ危機)」が住宅業界を直撃しています。

断熱材・配管・塗料など、住宅1棟に欠かせない建材の大幅値上げが相次いで発表されており、現場への影響は急速に広がっています。

本記事では、以下の内容について解説します。

ナフサショックの詳細、今後、対応策などについて悩んでいる方にとって必見の内容です。

【この記事でわかること】
・ナフサショックとは
・住宅建材への具体的な影響
・工務店経営・現場への影響
・工務店として今取るべき対策
・今後の見通し

監修者

眞木 健一

Make House株式会社 代表取締役

福岡にて1600棟以上の注文住宅の実績。また、casa projectを創業し『casa cube』をはじめとした企画住宅を全国に展開。
その後2社を売却し2016年、技術ある職人や工務店の設計サポートを行うMake House株式会社を立ち上げる。

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③建材のコストダウン方法

④設計のコストダウン方法

⑤設計のコストダウン方法2

⑥設計のコストダウン方法3

⑦現場管理のコストダウン方法

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目次

ナフサショックとは?基本をおさらい

ナフサショックの概要

ナフサとは何か、不足している原因やウッドショックとの違いを把握することで、よりナフサショックに対する理解度が深まります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

ナフサとは何か

ナフサとは原油を精製する過程で得られる石油留分で、プラスチック・合成繊維・塗料・接着剤など、あらゆる石化製品の出発点となる原料です。

住宅建材の多くは、ナフサなしには成立しません。

というのも、断熱材のポリスチレン、配管の塩化ビニル、塗料のシンナー類はすべてナフサ由来であり、住宅1棟に使われる素材のほぼ全域がナフサと直結しているからです。

「ガソリンに似たもの」という認識では不十分で、ナフサの供給が滞れば住宅業界のサプライチェーン全体が止まりかねないほどの影響力を持ちます。

工務店として「なぜ値上がりするのか」を施主に説明するためにも、ナフサという原料の存在を押さえておくことが前提になるでしょう。

なぜ今、ナフサが不足しているのか

日本の住宅建材コストが急上昇している直接の引き金は、中東情勢の緊迫化にあります。

米国・イスラエルによるイラン攻撃を契機にホルムズ海峡が事実上封鎖され、日本の原油輸入の約9割を担う中東からの供給が滞り始めました。

これを受けて、三菱ケミカル・三井化学・旭化成などの大手化学メーカーがエチレン設備の減産を相次いで発表し、建材メーカーへの原料供給が細り始めています。

政府は2026年3月に赤沢経産相を「重要物資安定確保担当相」に任命して代替調達を急いでいるものの、先行きは見通せない状況が続いています。

この構造を把握していない工務店ほど、建材の値上げや調達難に対して後手に回るリスクが高くなります。

ウッドショックとの違い

ナフサショックは、2021〜2022年のウッドショックとは影響範囲が根本的に異なる問題として警戒が必要です。

ウッドショックは「木材」という特定の資材に限られていましたが、今回は断熱材・配管・塗料・床材・シーリング材など石油由来素材の全域に波及します。

ウッドショック時は木材以外の建材で代替や仕様変更が可能でしたが、今回は複数の建材が同時多発的に影響を受けるため、代替策を立てにくい状況です。

業界からは「ウッドショックを上回る広範なダメージになる可能性がある」と警鐘が鳴らされており、同じ感覚で乗り越えられると考えるのは危険といえるでしょう。

ウッドショック時の経験を活かしつつも、今回は影響の桁が違うという前提で対応策を考えることが、工務店経営者として求められます。

ウッドショックの詳細については、以下の記事も参考にしてみてください。

ナフサショックによる住宅建材への具体的な影響

住宅建材への具体的な影響をそれぞれ詳しく解説します。

実際にどのように影響が出てくるのか、しっかりと把握しましょう。

断熱材(最大40%値上げ)

省エネ義務化で絶対に外せない断熱材が、今回のナフサショックで最も打撃を受けている素材の一つです。

カネカは押出法ポリスチレンフォーム「カネライトフォーム」を2026年4月出荷分から約40%値上げし、デュポン・スタイロも「スタイロフォーム」を5月出荷分から約40%値上げすると発表しています。

ZEH基準や省エネ義務化への対応でポリスチレン系・ウレタン系断熱材の使用量は増えており、値上がりの影響をそのまま吸収することは難しい状況です。

代替素材への切り替えも選択肢に入りますが、省エネ性能基準を満たせるかどうかの確認が必要で、安易な仕様変更はできません。

断熱材の価格改定は今後も続く可能性が高く、見積もり時点と着工時点の価格差をどう扱うか、今のうちに整理しておく必要があります。

配管材(塩化ビニル樹脂)

水道管・排水管・電気配線保護管など、住宅の見えない部分を支える配管材にも、ナフサショックの影響が直撃しています。

信越化学・積水化学などが塩化ビニル樹脂を1kgあたり30〜55円以上値上げすると発表しており、配管全般のコストが底上げされる見通しです。

塩ビ管は住宅1棟あたりに大量に使われる素材であり、単価上昇が積み重なると建築コスト全体への影響は無視できません。

配管材は設計段階で仕様が決まるため、着工前に仕入れ先から価格の確定を得ておくかどうかが、原価管理の分かれ目になるでしょう。

素材の代替は限定的なため、値上がりを前提にしたコスト試算と施主への事前説明を早期に行うことが重要です。

塗料・シンナー類(最大80%値上げ)

塗料・シンナー類は今回のナフサショックの中で最も値上げ幅が大きい品目で、最大約80%の値上げ通達が出ています。

建築塗料メーカーから30〜80%の値上げ方針が相次いで示されており、一部では平時以上の注文を制限する動きも確認されています。

外壁・屋根の保護塗装や内装の塗装工事はほぼすべてナフサ由来の合成樹脂・溶剤を使うため、リフォーム・新築を問わず影響を受けます。

出荷制限が続けば「材料は手に入るが量が足りない」「工期内に調達できない」という事態も起こりうる状況です。

仕入れ先への早期確認と在庫状況の把握、必要であれば優先確保の交渉を今すぐ始めるべき段階に来ています。

その他の建材

ナフサショックの影響は特定の建材に留まらず、住宅の内外を問わずほぼ全域の素材に及んでいます。

床材・ビニールクロス・樹脂サッシ・シーリング材・接着剤・樹脂部品など、普段は意識しない素材まで軒並み価格改定の対象になっているのが現状です。

「住宅1棟に使われるナフサ由来素材はほぼすべて影響を受ける」という前提で仕様書を見直す必要があります。

個別の素材単位ではなく「石油由来素材の総量コスト」として捉え直さないと、見積もりの漏れや原価圧迫の見落としにつながります。

仕入れ先・メーカーから届く価格改定の通達を一元管理し、見積もり単価への反映漏れがないか定期的に確認する体制が求められるでしょう。

ナフサショックによる工務店経営・現場への影響

工務店経営・現場への影響を把握しておくことで、今後の対策が取りやすくなります。

ナフサショックへの理解度、対策を考えるために1つずつチェックしていきましょう。

見積もり・受注管理が難しくなる

今回のナフサショックで最も実務に響くのは、見積もりの有効期限と着工タイミングのズレによる原価圧迫です。

材料費の改定が予告なく重なるため、以前と同じ見積もり期間を設定したままでは利益が消える事態が起きやすくなっています。

受注時と着工時で断熱材だけで約40%・塗料で最大約80%の差が生じる可能性があり、1棟あたりの損失は数十万円単位になりかねません。

見積もりの有効期限を短縮し、建材価格変動時の協議条項を契約書に明記することが、今すぐ対応すべき実務の改善です。

受注件数よりも「1棟あたりの原価管理」を優先する経営判断が、今の時代に生き残るうえで不可欠になっています。

工期遅延リスクへの対応

建材の値上げと同時に出荷制限・供給不足のリスクが高まっており、資材が手に入らないことによる工期遅延が現実的な問題になっています。

塗料メーカーが平時以上の注文を制限する動きを見せており、断熱材メーカーも出荷調整の可能性を通告しているケースがあります。

工期遅延は施主との信頼に直結するだけでなく、現場管理費や職人のスケジュール調整など追加コストも発生します。

複数の仕入れ先を確保し、調達ルートを分散させておくことが今後のリスクヘッジとして機能するでしょう。

工期に関わる資材は早めの発注・在庫確保を仕入れ先と相談しながら進めることが、遅延予防の現実的な手段です。

顧客への説明責任

建材コストの急騰が続く中、施主から「なぜここまで高いのか」と問われる場面は今後さらに増えるでしょう。

値上げの背景を説明できない工務店と、理由・根拠・具体的な素材名を示して丁寧に伝えられる工務店とでは、施主の信頼度に大きな差が生まれます。

ナフサ→エチレン→断熱材・配管・塗料というサプライチェーンの流れをシンプルに伝えられると、施主も価格上昇を納得しやすくなります。

「都合の悪い情報も含めて正直に話してくれる会社」というポジションは、長期的な口コミや紹介獲得につながる強みです。

値上げを一方的な「お知らせ」として伝えるのではなく、「一緒に考える姿勢」で説明する場を設けることが関係構築の鍵になります。

ナフサショックによるリフォーム・メンテナンス工事への影響

ナフサショックによるリフォーム・メンテナンス工事への影響についても詳しく見ていきましょう。

リフォーム工事にも波及

ナフサショックの影響は新築だけでなくリフォーム・メンテナンス工事にも直撃しており、既存顧客対応でも無視できない問題になっています。

外壁塗装・断熱改修・配管交換など、ナフサ由来素材を多く使うリフォーム工事では費用全体が約3〜8%上昇する見通しです。

特に塗料は最大約80%の値上げが通告されており、外壁・屋根塗装の見積もりは過去の単価をそのまま流用すると赤字になるリスクがあります。

リフォーム工事は新築に比べて素材の選択肢が限られるケースも多く、代替素材での対応が難しい場面も出てくるでしょう。

既存の見積もり書や施工単価表を今すぐ見直し、塗料・断熱材・配管材の単価を最新の仕入れ価格に更新することが急務です。

既存顧客へのフォローを早める

リフォームを検討中の既存顧客は「もう少し様子を見てから」と先送りしがちですが、今は早めに動いた方が施主にとってもメリットがあります。

価格改定が続く中では、見積もりを早期に確定させること自体が顧客への付加価値になるからです。

築10年以上の顧客リストを確認し、外壁塗装・断熱改修のタイミングが近い顧客に先回りの提案アプローチをかけることが、受注機会の創出につながります。

「今が動きどきです」という情報提供は売り込みではなく、顧客利益を軸にした誠実な提案として受け取ってもらいやすいでしょう。

ナフサショックという外部環境の変化を、既存顧客との関係を深めるきっかけとして活用できる工務店が、今後の受注を安定させられます。

工務店として今取るべきナフサショック対策

工務店として今取るべき対策として挙げられるのは、以下の4つです。

仕入れ先との情報共有を密にする

対策の出発点は、建材メーカー・商社から価格改定・出荷制限の情報をできる限り早く入手することです。

特定の仕入れ先だけに頼っている場合、出荷制限や供給不安が発生した際に代替ルートがなく工期が止まるリスクがあります。

複数の仕入れ先を確保して調達先を分散させることがリスクヘッジの基本ですが、まずは今の仕入れ先との情報交換の頻度を上げることから始めましょう。

「値上げ通達が来てから動く」のではなく「来る前に動く」ためには、担当者レベルでの日常的な情報交換ルートを維持することが重要です。

建材の市況変動を早期に把握できる工務店ほど、見積もり精度・施主説明・原価管理すべての質が上がります。

見積もり・契約条件の見直しを行う

今の建材価格の変動スピードに対して、以前の見積もり有効期限や契約条件のままでいることが最大のリスクです。

見積もりの有効期限を従来より短く設定し、資材価格が変動した場合の再見積もり・協議条項を契約書に盛り込むことが必須になります。

2025年の建設業法改正では、資材価格高騰時の請負代金変更協議について発注者にも誠実な協議応諾努力義務が課されており、工務店側から協議を求める法的な根拠が整いました。

値上げ幅・対象素材・根拠資料をセットで提示できると、施主も納得しやすく交渉がスムーズになるでしょう。

契約条件の見直しは「施主への不利益」ではなく「双方にとって公正な取引」として説明できる準備をしておくことが大切です。

代替素材・仕様変更の選択肢を準備する

すべての値上がりを施主に転嫁するだけでなく、設計・仕様の工夫でコストを抑える選択肢を持っておくことが提案力の差になります。

断熱材は発泡プラスチック系だけでなく、グラスウールや羊毛系など非ナフサ系素材への切り替えが技術的に可能な箇所を、事前に整理しておくことが大切です。

省エネ基準・ZEH基準を満たしつつナフサ依存度を下げる仕様パターンを複数持っておくと、商談での選択肢提示ができ施主の信頼につながります。

「代替素材なら性能は同等か、それ以上か」という確認を仕入れ先・設計者と事前に詰めておかないと、変更後にトラブルになるリスクがあります。

素材の切り替えはコスト対策と省エネ対応を同時に解決できるチャンスでもあり、前向きな提案として施主に伝えることができるでしょう。

施主への情報提供・丁寧な説明を心がける

値上がりの局面で工務店の信頼を守るのは価格の安さではなく、「なぜ高くなるのか」をきちんと説明できる姿勢です。

ナフサ危機の背景・影響を受ける素材・値上げ幅の根拠を整理した資料を用意しておくと、施主との打ち合わせがスムーズになります。

「情報を正直に伝えてくれる工務店」という評価は長期的な紹介・口コミにつながる強みであり、価格競争とは異なる土俵で戦える武器になるでしょう。

今すぐ着工しない施主にも「今の市場状況」を定期的に共有することで、検討継続・後日受注につながる関係を維持できます。

「急かすのではなく、情報を提供して施主に判断してもらう」という姿勢が、工務店としての誠実さと専門性を両立させます。

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ナフサショックへの今後の見通し

今後の見通しについても把握することで、さらに対策のめどが立ちやすくなります。

特に重要な部分をピックアップしたので、参考にしてみてください。

政府の対応状況

政府は2026年3月末に赤沢経産相を「中東情勢に伴う重要物資安定確保担当相」に任命し、ナフサの安定供給確保に向けて動き出しています。

代替調達先の確保や備蓄体制の強化を急いでいるものの、ホルムズ海峡の封鎖状態が続く限り即効性のある解決策には乏しい状況です。

政府対応は住宅業界を直接対象としたものではなく、医療用品などのより優先度の高い分野から手当てされる構造になっています。

工務店として「政府が解決してくれる」と待ちの姿勢でいるのは現実的ではなく、自社での対応策を先行して進めることが必要です。

政府の動きを情報として把握しつつも、建材調達・契約条件・施主説明は自社判断で動くことが、経営リスクを抑える唯一の手段といえます。

長期化した場合のシナリオ

ホルムズ海峡の情勢が長引けば、住宅業界はさらなる建材値上げ・供給不足・着工減少という三重苦に直面する可能性があります。

2025年の新設住宅着工戸数はすでに62年ぶりの低水準(約74万戸)であり、ナフサ危機によるコスト増がさらに新築購入の壁を高くしています。

建設業者の倒産増加が続けば下請け職人の確保も難しくなり、工期・品質・コストの全面に悪影響が広がるシナリオも現実的です。

一方で、中古住宅・リノベーション・リフォーム市場への需要シフトが加速する可能性があり、対応できる工務店には受注機会が生まれるでしょう。

「新築一本足」から「ストック活用・リフォームとの二本柱」への転換を、今の段階から構想しておくことが長期的な経営安定につながります。

まとめ

ナフサショックは、住宅業界に対してウッドショックを上回る広範な影響をもたらしつつある問題です。

断熱材・配管材・塗料・床材など、住宅1棟を構成するほぼすべての石油由来素材が価格改定の対象となっており、見積もりや原価管理のあり方を根本から見直す必要があります。

工務店として今求められるのは、仕入れ先との情報共有の強化・契約条件の整備・代替仕様の準備という三つの実務対応を並行して進めることです。

そのうえで施主に対しては、値上がりの背景と根拠を丁寧に説明する姿勢を持つことが、価格競争に頼らない信頼構築につながります。

先行きは不透明な状況が続きますが、「来てから動く」ではなく「来る前に動く」工務店が、この局面を乗り越えられるでしょう。

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