住宅業界はクレーム産業と呼ばれることが多い業種です。
特に、注文住宅ではお客様と工務店で「言った言わない」「施工トラブル」などになることは多いかと思います。契約から完成までの期間が長く、携わる人が多いことで、正確な情報が行き届かないことが原因となります。
トラブルやクレームが起こることでお客様の信頼や信用をなくすだけでなく、手直し工事が発生した際には利益を下げる原因にもつながります。
本記事では、トラブルが多い原因は何か?トラブルを防ぐにはどうしたらよいか?など、その原因と対策方法を解説します。
地域密着の工務店でトラブルやクレームの経験がある場合は、ぜひ参考にしてください。
目次
実際に工務店でどのようなトラブルが多いのか、具体例とその原因をみていきます。
お客様は引き渡し日程に合わせて引越し業者のスケジュールや、住んでいた住居の退去手続きを行っていることが多いです。そのため、工事が遅延するとさまざまな影響が出るので大きなクレームにつながってしまいます。
その原因となるのは、次のことです。
天候や、お客様からの変更依頼など予防できないことが原因であったとしても、クレームは起こりえます。
また、工事内容や、日程の見積もりの甘さから、引き渡し日が遅延すると大きなクレームになるのは当然です。余裕をもった工期の設定など、そのような事態を防ぐ対策が重要です。
上記の中で未然に防ぐことができるのは、①③④になります。天気は自然現象なので、こちら側で操作することができませんが、それ以外は徹底した管理をすることで防ぐことができます。
お客様との間で上手くコミュニケーションが取れておらず、伝達ミスによる言った・言わない問題も非常に多いトラブルです。これは、打ち合わせ記録をとっていないことが大きな原因です。
毎回ご夫婦で打ち合わせをしていたのに、ご主人様か奥様のみでの打ち合わせになることがあります。そのときの打ち合わせ内容が、不参加だった方に上手く伝わっていないことからクレームに発展することがあります。
この問題は社内でも発生します。営業担当が受けたお客様からの要望が、施工現場の職人に伝わっておらず、依頼と違う仕様になったり、違う商材が施工されたりすることがあります。
施工途中や、施工後に「イメージと違う」といわれることがあります。お客様とのイメージの擦り合わせが不足していたために発生するトラブルです。
ほかにも次の原因が考えられます。
打ち合わせ回数が少ないと、お客様のイメージがしっかりと把握できていないことがあります。
また、図面上での打ち合わせが多いと、平面のイメージはできても立体的なイメージや内観・外観の色のイメージができていない可能性があるため注意が必要です。
打ち合わせに使用するサンプルは大きなものを準備するか、ショールームに案内して大きな実物サンプルで確認してもらいましょう。色の面積効果などで、サンプルと違う色に見えることは頻繁にあります。
予期せぬトラブルを未然に防ぎ、顧客満足度を上げる対策については、以下のホワイトペーパーをダウンロードしてみてください。
ここからは工務店がトラブルに対してどのような対策を行っていくべきなのか解説します。
職人の人数と施工技術を加味し、適切な工期を設定しましょう。
また、内装などで未決定の項目がある状態で工期が決定することがあります。その場合、決定が必要な締切日を設定し、その期日を過ぎたら日程にどのような影響があるのかを前もってお客様に伝えましょう。
併せて天候に影響が出たらどれくらい遅延する可能性があるのかも、事前に伝えることが重要です。そして、その内容を契約書にも明記しましょう。
打ち合わせごとに確実に記録を取りましょう。打ち合わせ内容を記載し、お客様にも内容を確認していただき、双方のサインまで記載することが有効です。
言った・言わないのトラブルがあった場合は、話合いでは解決しないことがほとんどです。悪評が広まるのを防ぐために、工務店側が余計なコストを払うことも多いため、確実に記録を取りましょう。
CRMなどの顧客管理ツールを導入し、DX化していきましょう。CRMであれば、顧客情報をデジタルで一元管理可能です。
具体的には、次のことが管理できます。
また、リアルタイムで内容が更新され社内で共有できるため、変更内容なども共有しやすくなります。
お客様とのイメージの相違を減少させるため、打ち合わせの質を上げる必要があります。ショールームが近くにあるときは、大きなサンプルを必ず確認しましょう。小さいサンプルでの打ち合わせはイメージがしにくく、トラブルの原因になりかねません。特に、床・壁(内壁・外壁)・天井・カーテンなどの面積が広いものは要注意です。
お客様がショールームに行くことを面倒だと感じていても、諦めずに案内しましょう。実物や、実物に近いものを見なければ、どのようなデメリットが発生するのか丁寧に説明することが重要です。
ショールームに案内しなかった場合、後に生じるクレームのリスクは大きいです。案内したほうがお互いに安心できます。
また、平面図を使用しての打ち合わせが多いですが、3Dパースも利用して立体的なイメージを持ってもらいましょう。立ち上がって見えるものや、奥行き感のイメージができていなかったために「イメージよりも狭い」「想像していたよりもデッドスペースがある」などのクレームが発生します。
場合によっては、工事のやり直しを求められることもあるため要注意です。お客様が追加費用を払っていただけない場合もあります。問題なく払ってくれたとしても工期が遅れ、次の案件の工事予定が入っている職人がいる場合は、職人の確保などの手間が生じます。
着工前の打ち合わせで、どれだけ工夫を凝らしてイメージしていただけるかが重要です。
業界最強のプレゼンツールである「BIM」によりお客様とのイメージ相違をなくすことが可能です。無料のBIMアプリをインストールすることで、どこでも誰でも3Dで建物を確認することができます。設計士は2次元図面を3次元で表現することが直感的に操作で作成することが可能です。それを元にお客様とのコミュニケーションも捗り、作業しながら現場での確認も可能なので間違いもおきません。
工事中にも打ち合わせを行うことが大切です。実際の建築現場でどこまで完了しているのか、次はどこの工事を進めるのか、進捗状況の説明を行うことで、お客様に現状を把握してもらいましょう。
疑問点、不安なこと、可能な範囲で変更したい箇所はないかなど、適切な距離感で細かく確認を行うことが重要です。
また、お客様のためになると思い変更した箇所がある場合も、確実に伝えましょう。しっかり伝えることで信頼につながります。逆に伝えていない場合、良い改善点であったとしても、変更を伝えていない事実が不信感につながりかねません。報告ミス、イメージの擦り合わせ不足のトラブルになる可能性もありますので、適切なコミュニケーションを忘れないようにしましょう。
お客様から信頼され、イメージの共有もできることによって、工事内容などについて任せていただけることがあります。信頼を得られていることは非常にいいことです。
しかし、危険性も含んでいるので要注意です。「担当者がわかっているから」とお客様が確認をしない、もしくは確認することを面倒だと感じることがあります。もしくは、担当者が「イメージの共有が完璧にできている」と思い込み、確認不足が発生する可能性があります。これが伝達ミスにつながり、大きなトラブルを引き起こす要因となるのです。
お客様に、確認することはマイホーム建築のために重要なことだと思っていただけるように促しましょう。面倒だと感じさせないことが大切です。
信頼関係の構築が最重要ポイントです。マイホームの購入は、単純なお金の動きだけを考えると、数千万の費用を一つの企業の一人の担当者に支払う行為です。
お客様は、信頼できなければ契約しません。契約が成立しても、工事中などに信頼がなくなると、間違っている部分や小さなミスに目がいくようになり、大きなトラブルに発展しやすくなります。
誠実な対応を心懸け、適切なコミュニケーションをとり、時間をかけて信頼関係を構築しましょう。信頼関係ができれば、説得力も増して業務が進めやすくなります。
決まった商品があることが、標準工期を短くする最大の攻略法です。お客様には高性能・高品質デザインの住宅を提供しつつ、社内では情報共有・共通資材・共通工法により職人と現場管理の行き違いをなくします。詳しくはこちら
工務店で住宅建築の際に発生するトラブルと、その原因・対策について解説しました。建築業界はトラブルが多いです。
主なトラブルは次の3つのことです。
この3つのトラブルを回避するための対策は、次の7つのことです。
大きなトラブルが発生した場合、訴訟問題になりかねません。誠実な対応を心懸け、お客様との信頼関係を構築し、安心して業務に取り組んでいきましょう。