2023年以降はますます工務店集客も難しい時代に突入します。
コロナ禍の終焉が見えない中で、モデルハウスやオープンハウスを公開して集客を待つというのは、ほぼ無理な状態と言えます。
しかも完全予約制では自由度が低く、ショッピングや仕事のついでに立ち寄れません。
拘束感が強いため、自由に動きたい人々は自然と足も遠のくでしょう。
でも、マイホームは欲しいのです。
おうち時間が増えたりテレワークの影響で、今の住まいでは手狭で仕事ができません。
働き方が変わったことで、家も家族の団らんの場所だけではなく、ホームオフィスを兼ねた家へと変貌しなくてはいけない時代になっています。
そこで、ユーザーはネットなどで検索し、マイホーム探しは継続しますが、円安、ウッドショックで家が高騰化しているため、なかなか決め手が無く、マイホームは欲しいけれど決意できないという状況になっています。
ではこの、大きな変化のうねりの中で工務店ができることは、一体何があるのでしょうか。生き残るためにもブランディングがポイントとなってきます。では、具体的にどうしたらよいのか、ここでじっくりと検討していきましょう。
目次
まず、プランでの差別化も良いでしょう。例えば規格住宅やセミオーダー住宅など、フルオーダーよりはユーザーにとってコストメリットのある商品を用意することで、家づくりのハードルを下げることができます。そして商品名を浸透させるべく、その価値を長く発信し、定着させるのです。
この規格住宅やセミオーダー住宅を定着させることで、その工務店自体の知名度も上がって行くように、ブランディングすることによって他社との差別化を図ることができます。
ただ、一長一短では厳しいため、長期的に信用、信頼につながるよう、ブレない戦略が必要となります。
規格住宅の場合、多くのプランを用意し、そこにはホームオフィスを必ず作っておくことです。そして最低でも4.5畳の広さがほしいものです。
デスクトップパソコンや、プリンター、スキャナーなどの周辺機器、資料の整理をする書棚と引き出しをセットするには、ある程度の広さが必要になります。
これは寝室の隅にあるような「書斎スペース」ではムリなので、必ず家の中に「オフィス」を作ること。工務店ならではの小回りのきく素早さで、このようなプランを多数用意し、「オフィスのある家」とブランド名を付けて、世の中に発信していくのです。
また、プランだけではなく、デザイン性もある程度は自由度を高くすると良いでしょう。
例えば人気の北欧風、ナチュラル風、カフェ風、インダストリアル風などのテイストやアクセントクロスのチョイスが自由にできると、同じプランでもまったく違う家になります。
「これは世界でひとつだけの家ですよ」「規格住宅だけれど、コストも安く、自分好みの家が作れます、おまけにオフィスもありますよ」。とユーザーに説明することもできます。
「うちはレンガの家しか作りません」。
このような焦点を絞った家づくりもポリシーを貫くことで、むしろかっこいい工務店になります。
特定のファンもできるため、住宅性能がハイスペックであれば、むしろ顧客は増えていくでしょう。貫くことも大切です。
例えばある工務店では、社長が全面に宣伝を行い、YouTubeで独自の家づくりについての解説を重ね、今や名物社長となっています。
これもひとつの特徴であり、この工務店の顔・ブランドになっています。
さらに人で言うと、「女性」も大きなカギになります。
担当営業が女性の場合、ユーザーである奥さんが安心して話しやすいというメリットがあります。
インテリアや雑貨などの話も詳しい女性担当者がいるだけで、工務店のイメージもきっと柔らかい印象になるはずです。近年は、こうした女性担当者が増えてきています。
さらに工務店に保育士がいると、両親は子どもを預けて打ち合わせも行えます。この保育士がいるというのも、他社との差別化ができますね。
平面だけではピンと来ない。こんなユーザーも多いと思います。
そんな時はVRでのプレゼンが効果的です。
通常VRでは専用のゴーグルをつけ、360度の視界を覆うようにします。
その中に映像を映すことにより、実際に別の空間にいるような体験ができるようになります。
しかし、ゴーグルをつけていない人は情報を共有することができないため、複数人でのプレゼンには不向きです。
そこで、より簡易的に立体プレゼンに適したかたちが「BIMプレゼン」になります。
平面の間取図より、BIMプレゼンを利用することで、プランを3Dで立体的に確認することができ、よりリアルなチェックも可能となります。
ユーザーにとっても立体的な空間を見ることで大きな安心にも繋がります。
こちらのBIMでは、立体的にわかりやすくプレゼンを行うだけでなく、変更点を二次元と三次元で常に連動させているため、実施図面への反映や積算業務、施工図面への展開など一元管理ができることが特徴です。
設計の業務効率や図面ミス、職人への伝わりやすさなど様々な場面で生産性が向上するBIMについて詳しく知りたい方は以下のコラムをご確認ください。
関連コラム:
これから結婚、子育てをしていく世代はミレニアル世代とZ世代になります。
彼らはデジタルネイティブと言われ、幼少期からパソコンや携帯電話があった世代です。このような世代が行う家を持つまでの行動を考えてみましょう。
まず、オウンドメディア、自社サイトでのコラム、ニュースなどで情報をチェックします。
このホームページに魅力が無ければ、関心を持たないかもしれませんので、ホームページの制作にもアクセントを付けて、見てもらえるようにしておきましょう。
さらにSNSを上手に活用してモデルハウスなどの自社情報を発信しましょう。
SNSとは「Twitter」「LINE」「Instagram」「Facebook」「YouTube」などがあり、いずれも無料です。
この無料のツールを上手に活用することで、チラシ以上に効果があります。なぜなら世界中の人に見てもらえるからです。
少なくとも、日本中の人に見てもらえることができるので、これを生かさないと、非常にもったいないことになります。
無料のツールを上手に活用して、自社のイメージアップを行える絶好の機会を逃さないで、積極的に行っていきましょう。
特に大切なのはInstagramです。ここには各種住まいの写真が多くあり、検索していくことで、好みの空間を探すことができます。
例えば「リビング」で検索してみると、185.8万件の投稿写真があります。「キッチン」では212.6万件です。非常に情報がありますので、ここから好みのリビングやキッチンの写真をチェックできます。
もちろん、他スペースも多くの画像があるため、ここで画像を保存して「こんなキッチンにしたい」とそのまま話すユーザーもいます。
また、各社独自のInstagramもあるため、工務店でもInstagramで実例などを紹介すると良いでしょう。無料ですから、どんどん実例画像を載せてください。
YouTubeでは、自慢の我が家を紹介していたり、工務店やハウスメーカーのルームツアーが行われています。
このルームツアーとは、モデルハウスやオーナー宅を紹介するムービーで、こちらも世界中の人に見てもらうことが可能。ぜひ活用したいツールです。
新しいモデルハウスや紹介したいオーナー宅がある場合は、YouTubeで自社のアカウントを作って、ルームツアーの動画をどんどんあげていきましょう。
LINEは登録してもらうことで、モデルハウス公開情報などをいち早く伝えることができるとともに、家づくりの話し合いをする時間があまり取れないときは、このLINEで担当者とやり取りをしたというユーザーもいます。
宣伝も打ち合わせも、そして各種情報を発信できるLineも実に便利なので、うまく活用してください。
このように、集客を待っている時代は終わり、工務店でもこうしたブランディングという戦略を行い、それをどう発信していくのか、デジタル世代に向けての新しい方向性と考え方が必要となってきます。
今回は工務店がブランディングを行い、それをどう効果的に認知してもらい、ブランドとして確立でできるのかを検証してみました。
まず、プラン、人、ポリシー。それぞれの形が見えてきましたね。そしてデジタル世代に響く打ち出し方や、平面から立体的に見えるBIMプレゼン、SNSの活用方法などについても考えたところ、これからの住まいづくりはきっと大きく変わるだろうという姿が見えたはずです。
そのためにも今が好機と考え、新しい発想で住まいの未来図を描いていきましょう。