コロナ禍による資材高騰・人材不足、また少子高齢化による新築着工数の減少、などなど新築市場のさらなる競争が激しさを増す中、今後の生き残り戦略に頭を悩ます経営者様は多いかと思います。
地域に密着した工務店では、施工エリア=商圏を制することにより自社の経営を安定的なものとし、更なるシェアを拡大する戦略が可能となります。
まずは商圏の概略を知ったうえで、それぞれに適切なマーケティングを行うことが重要です。
これから生き残りをかけた商圏での戦い方を詳しく解説しますので、最後までご覧ください。
商圏とは、ある店舗に対して来店を見込むことができる、地理的な範囲のことです。いわゆる施工エリアであり、自店舗から1時間〜1時間半くらいのエリアを設定されているところが多いかと思います。
異なる商圏の範囲には全く異なる人々が生活しており、それぞれに最適なマーケティング戦略が存在します。
工務店経営を行う上で重要な基本の一つですので、必ず押さえるようにしましょう。
まずは商圏を知ることの重要性を解説していきます。
インターネット上のECサイトが隆盛を誇っている現在でも、依然として店舗の優位性が保たれている業界の代表格が工務店です。
建物は土地に根付くものであり、その敷地特有の環境や特性を知り尽くした地元の工務店ならではの強みは、時代に関わらず共通です。
また、図面やパースを前にした打ち合わせや、素材サンプルの確認はリモート打ち合わせでは難しく、やはり商圏内の立地アクセスに優れた工務店が選ばれる理由となっています。
商圏に対するマーケティングの方法はターゲットにより異なります。
徒歩圏内に焦点を絞る場合は地域型イベントの開催、車アクセス圏内を包括した広域への広告戦略ならロードサイド看板といったように、媒体の形を変える必要があります。
その商圏にどのような層の見込み顧客が存在しているかを調査した上で、その地域にあったマーケティングが可能なのが商圏を把握する理由となります。
商圏のターゲット層を絞り込んだ上で、どのような提案がエリアに適しているか、商品を選定することが可能となります。
逆にせっかく優れた立地で来場、来店者数を増やしても、商品が刺さらなければ効果はありません。
ターゲット層に応じた提案で契約率を高め、収益性を維持するためにも、商圏の読み込みとそれに合った販売戦略の立案を怠らないことが肝心です。
商圏を知ることの重要性が分かったところで、商圏ごとの特徴について解説していきます。
その範囲ごとに有効なシェア獲得戦略は異なり、成功している工務店は必ずと言っていいほど商圏に最も適したアクションを行っているものです。
こちらも基礎的な内容ですので、ぜひ把握してください。
ある店舗から徒歩などで5分以内で到達できる範囲のことを指します。
目的がなくともついでに訪れる、不特定多数の来訪を見込むことができる範囲のため、周辺地域に向けたイベントなどが効果を発揮します。
自転車などで10-15分で到達できる範囲で、およそ半径1km程度の地域を指します。
ある程度目的をもった来訪を想定する必要があり、無料の住宅相談会等で集客しやすいのがこの商圏です。
自転車で10-30分、半径3km程度の範囲で、打ち合わせでの来訪にストレスなく通える距離です。
工務店のターゲットとしてはメインとなることが多いです。
ただし二次商圏以降は、競合する工務店と同じ商圏を共有することになるため、自社に取り込むための積極的な販促戦略が必要となります。
車や公共交通機関で30分以上の範囲を指し、かなり広域となってくるため、都市部ではターゲットにしにくい面もあります。
一方で地方では国道沿い広告などでこの商圏にアピールする事例も多いです。
SNS活用により不特定多数に向けて集客範囲を広げる場合は、三次商圏まで拡大することも十分可能でしょう。
ではそれぞれの商圏に対しどのような情報を集めると良いのでしょうか。
ここでは具体的な調査内容について詳しく解説していきます。
最初からコストや労力を費やすのでなく、まずはターゲットとなる商圏のイメージを得るため、簡単に手に入る情報から集めていくとよいでしょう。
商圏調査の中で最も基本的かつ重要な要素は、実は役所の窓口やホームページで公開しています。
主に人口動態、世帯数、出生・結婚数など、現時点の状態とともに将来の人口予測に役立つ情報なので、工務店にとっては必見といえます。
同業者の得意とする商品や提案内容と差別化することで、商圏を共有する競合に対する優位性を確保します。
一方で、第三者目線で他社の問題点を把握することで、自社に活用することもできます。
WEBサイト、レビューも活用可能ですが、足を使って生の一次情報に触れるのも重要です。
上記に述べた出店に適したエリア分析や、商圏ごとの人口世帯情報など、一元的にデータ統合してくれるのが商圏分析ソフトです。
無料のソフトから、情報量に優れた優良版まで数多くあります。
商圏分析は非常に手間と時間がかかるため、通常業務の片手間にはなかなか手が回りにくいため、積極的に活用すると良いでしょう。
商圏で勝ち残るためには、まずはエリア内の住宅展示場に出展しているハウスメーカーを攻略することです。そのための手法についてホワイトペーパーにまとめましたので参考にしてください。
目次
・こんなお悩みはありませんか?
・ランチェスター戦略とは?
・移動時間が長く、生産性が悪い
・広告戦略が上手くいかない
・安定した受注の仕組みを構築したい
・競合に負けることが多い
・紹介客が増えない
具体的アクションを知りたい担当者の方に向けて、安定的にシェアを拡大している工務店が共通して行なっている販促戦略について解説します。
地域に根付いたプロモーションは、地道な取り組みが有効です。
一見手間とコストがかかりリターンが見合わないように見えるイベントなども、少しづつ積み上げ式で地元のイメージアップに貢献しているなど、目に見えない成果にも注目するようにしましょう。
多くの工務店が実施している住宅相談会は、多くの見込み顧客を集められる最も重要な販促イベントの一つです。
新たな住まいを求めている人だけが集まるため、ニーズを引き出しうまく自社の魅力をアピールできれば、契約に直結できるチャンスです。
一次、二次商圏まで幅広くアプローチ可能なため、広告戦略をうまく活用して来訪数を増やしましょう。
工務店が開催する地域活性の餅つき大会や、アニメキャラクターによるショーイベントは、足元商圏・一次商圏に対し知名度を一気に高める戦略となります。
地元と接点を増やし見込み客数を増やすことで、不特定多数の客層に対し住宅購入の入り口に立つきっかけを与えます。
イベントの際はあいさつ、雰囲気を大切にし、自社のイメージアップに努めましょう。
SNSは上記のように非常に広域をターゲットとしつつ、実は身近な商圏にアピールすることも可能なのです。
会社の宣伝とともに、街の魅力や店舗なども紹介し、地元のフォロワーを増やすことで、それを実現できます。
地方の工務店ではそのシナジー効果をうまく活用しているので、参考にしてはいかがでしょうか。
特殊な事例としては、カフェ、ベーカリー併設の事例が近年増加しているのをご存知でしょうか。
普段工務店に用のない方も、日常利用のパンを買いに来ることはあるため、ついで利用により地元の認知度を高めることができる業態です。
衣・食・住をトータルデザインし、地域に根ざす企業となるためのブランディング効果を大いに活かすことが可能です。
派手な広告やデザインの宣伝が多い建築業界ですが、実際には大きな金額の動く住宅建設には、地道な信頼の蓄積が不可欠なのです。
商圏の見込み客に会社の魅力や、社長・スタッフの人柄が伝われば、確実に来店・契約につながります。
そのためには、商圏を正しく理解し、効果的なマーケティングにより安定的にシェアを拡大し、地域No.1工務店を目指しましょう。