日本でも、この数年で聞くようになった「サステナブル」という言葉は、環境問題対策において重要なキーワードになりました。
その影響は、工務店が手がける住宅作りにも及んでいます。「サステナブルな住宅作り」はこれからのトレンドになっていくことでしょう。
本記事では、ニーズが高まりつつあるサステナブルな住宅作りに欠かせない注目の建材を6つ紹介します。
そもそも、サステナブルとはどのような意味でしょうか?
サステナブルは、英語の「sustain(持続可能な)」と「able(〜できる)」を組み合わせた言葉です。
意味としては、「持続可能な」という意味になります。限りある資源を使いすぎることなく、大切に利用し、よりよい状態で未来へ繋ぐことを目標とし、その目的を達成するために生まれた言葉と言えるでしょう。
上記のことから、サステナブル建材とは、持続可能な環境への配慮を重視した建築資材のことを指します。
サステナブル建材は、環境に優しい素材やリサイクル可能なもの、省エネルギー、長寿命でメンテナンス性に優れたものなど、さまざまな特徴を有しています。
まず、環境にやさしい素材の利用することで、天然資源を活用し、生産過程において環境負荷を最小限に抑えられます。
次に、リサイクル可能な建材を利用することで、使用後にリサイクルすることが可能となり、新たな建材として再利用が可能です。
さらに、省エネルギー性の高い建材の利用によって、建築物の電力消費を抑えるなど、エネルギー効率を向上させることができます。
最後に、長寿命でメンテナンス性に優れた建材は、劣化がしにくい上、修繕が簡単にできるため、限りある資源の消費や廃棄する材料の発生を抑制することが可能です。
このように、サステナブル建材は、地球環境を保護し、持続可能な社会を実現するために、建築業界が積極的に取り組むべき注目の建材と言えるでしょう。
なぜならば、現代では建築物のライフサイクル全体を考慮し、環境への影響を最小限に抑えることが求められているからです。
地球環境のことを考えることが多くなった今、注目を集めているサステナブル建材にはどのようなものがあるのでしょうか?
ここからは、注目を集めているサステナブル建材を6つ紹介します。
アパレル業界では、焼却処分によって出る温室効果ガスや大量の廃棄物は深刻な問題としてとらえられるようになっています。
衣類品の余剰在庫の問題として顕著になってきたこの問題の解決方法として、注目されているのが「繊維ボード」です。
繊維ボードは、硬度がありながら加工しやすいという利点があるため、これまで使われてきた「メラミン樹脂加工板」に代わる建材として注目を集めています。
メラミン樹脂加工板は、高い強度があり、加工がしやすい反面、リサイクルが困難でした。それに対し、繊維ボードは100%リサイクル可能のものもあり、カラーバリエーションが豊富で使いやすいことも魅力となっています。
繊維ボードは、アクセントウォールやアートパネル、家具などに利用される場面が増えています。
繊維業界とインテリア業界がタッグを組むことで、地球環境への負荷が軽い商品として生み出した建材が繊維ボードなのです。
蛍光灯は現在、埋立処分されていますが、中に含まれている水銀によって土地が汚染されてしまうことが問題視されていました。
そこで登場したのが廃蛍光灯などをリサイクルする取り組みです。廃蛍光灯に脱水銀化処理をおこないガラスを作成し、オリジナルのガラスブロックやテーブルの天板として再利用されています。
廃蛍光灯をリサイクルして作られたガラスは、無色透明ではなく、淡いグリーンやグレイの色がついており、温かい雰囲気が出るとしてインテリアに最適です。
レトロな雰囲気が魅力的な蛍光灯をリサイクルしたガラスは、これから需要が高まってくる可能性があります。
近年、各地で発生するゲリラ豪雨による被害や、都市部に高温をもたらすヒートアイランド現象が大問題となっています。
そのような問題の対策法として活用が期待されているのが、保水セラミックです。
保水セラミックには、微細な空気孔があり、高い保水性と蒸発性能を持っており、耐久性や耐候性があることが特徴です。
農業分野でも活用されていますが、建築分野での活用方法としては、建物の内壁や床材として利用することで、断熱性と保湿性をいかし、空調の使用量を減らすことが期待されています。
また、屋上緑化や壁面緑化の取り組みにおいて、基盤材として保水セラミックを用いることで緑化効果の向上が期待されています。
このように、保水セラミックを活用することで、エネルギー消費の削減はもちろん、高い保水性や蒸発性能からゲリラ豪雨やヒートアイランド現象の対策に有効であると考えら得ているのです。
FSC認証材とは、どのようなものかご存知でしょうか?
FSC認証材は、責任ある森林管理の普及のために設立された非営利団体「FSC(Forest Stewardship Council・森林協議会)」によって、「適切に管理された森林」として認められた森林でできた木材や製品のことです。
森林の環境を適切に管理することは簡単なのことではありません。無計画に木々を伐採することも森林破壊につながりますが、同様に無計画に植樹を行うことも木々の成長の妨げになります。
そうならないためにも、間伐をしっかりと行い、適切な時期に適切な量を伐採することで、経済的にも持続可能な形で生産された木材を使用することができるようになるのです。
FSC認証材について、国産の木材では杉やヒノキ、カラマツなどがあります。
自然から採れる粘土でできているタイルも、サステナブル建材として再び注目を集めています。
タイルは保水セラミック同様、多孔質であり、吸水性や耐久性に優れているのが特徴です。
内装や外装用、水回りなどの用途によって陶器質や磁器質、せっ器質と使い分けられています。
洗面カウンター周りやキッチンなどに使用すれば、水はねや電化製品の蒸気などによる壁や壁材の劣化に対応できるので、住居の長寿命化にも貢献することが可能です。
また、タイルは色やバリエーションが豊富なため、さまざまなインテリアに合わせやすいことから人気を集めています。
通常であれば廃棄されるはずの古材をいかすことができる、古民家リノベーションが人気を集めているようです。
本来であれば、古民家の場合、すべてを解体して建て直す方が、手間がかからずに楽なように思えます。
しかし、古材自体の風合いや、歴史を感じらる古民家リノベーションは、修復しながら何代にも渡って「受け継がれていく」家として、サステナブルな方法だと言えるでしょう。
ただし、古材を利用する場合には注意が必要です。デザインだけを重視してしまえば、補強がおろそかになってしまい、結局、短い間しか住むことができなかったなどの問題が発生してしまう結果になるでしょう。
施工を担当する場合には、しっかりとした根拠に基づいた修復やリノベーションを行うことが肝心になります。
環境問題について考えることが多くなった現代では、サステナブルな家を作ることも工務店の重要な仕事になってくると思われます。
「SDGsついて知識がないから、サステナブル建材を使用した家は作れない」ということでは、せっかくの商機を逸してしまうことになりかねません。
SDGsへの取り組みやサステナブル住宅、サステナブル建材について勉強や導入の検討をすることが、将来の発展に結びついてくる時代がそこまでやって来ています。
本記事が、地球環境を考えながら、サステナブルな家づくりを始めるきっかけになれば幸いです。
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目次
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