今後の住宅市場を語るうえで、避けて通れないキーワードが「省エネ住宅」です。
中でも、断熱等級については、その内容や実効性について日々盛んに情報がやり取りされており、クライアントも興味関心を持って工務店選びを行っていることでしょう。
本記事では、断熱等級について詳しく解説するとともに、来るべき法改正についても触れていきます。
省エネ性能に関する世の認知度が高まる中、住宅の性能の中において最も需要な要素の一つが断熱性能です。
しかし、国土交通省では断熱等級について数年ごとに見直しを重ねており、今後も法改正が予告されている中、なかなか新規の情報に追い付かない方も多いでしょう。
ここではその断熱性能に関する基礎的な知識から詳しく解説します。
断熱等性能等級とは国土交通省が規定した住宅性能の一つであり、いわゆる品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)に規定されています。
2023年現在、等級1~7まで設定されていますが、これまでも幾度なく更新され、都度その要求性能は高まってきました。
長期優良住宅とは、快適かつ長く住むことができる住宅を認定する制度で、断熱性能もその評価基準に含まれます。
また住宅性能表示制度も同様に住宅の性能評価の指標で、住宅の省エネ性能についてはチェック項目が重複する箇所が多いです。
いずれも住宅ローン減税等において優遇措置を受けられる可能性があり、一般的な認知度も高まってきましたが、一定の断熱性能をクリアしない限り認定を受けることは出来ません。
2022年時点までは、断熱等性能等級のうち最高グレードが等級4でしたが、その後の法改正により等級7まで引き上げられました。
地域区分にもよるため、等級だけでは十分か否かの判断は難しいですが、この基準は1999年の省エネルギー基準時点の最高ランクに過ぎないことは押さえておくと良いでしょう。
また、HEAT20という断熱基準によると、等級4は「冬の室内の最低体感温度が8℃を下回らない程度」とされており、おそらく今の感覚では十分と考える方は少ないかもしれません。
上述の通り、2022年の基準改正により、断熱等級は最高で等級7までに拡大されています。
具体的にはどのような基準に基づき各等級が設定されているのか見ていきましょう。
ZEH基準に相当する断熱等級を指します。
ZEHとは、net Zero Energy House、すなわち「エネルギー収支をゼロ以下」となる建物の略称で、2022年4月以降施行されています。
HEAT20 基準におけるG1基準に相当します。
HEAT20とは「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」による断熱基準で、建物外皮、すなわち床・壁・サッシといった部分の断熱性について規定しています。
例えば、東京を含む地域(3地域)においては、冬季の室内温度がおおむね10度を下回らないという基準です。
HEAT20 基準におけるG2基準に相当します。
同じく、3地域において、冬季の室内温度がおおむね13度を下回らないという設定基準となっています。
等級4と比較すると、暖房負荷を約40%削減可能となっており、極めて快適で省エネルギー性能の高い性能と言えるでしょう。
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ここまで、法改正ごとに基準の高まってきた省エネ性能について取り上げてきました。
そして遂に、断熱等級にも最低基準が設けられ、それを超える性能の住宅に対するアドバンテージや、未達の場合のデメリットも明らかになっています。
より具体的な基準達成方法や、クライアントに対し訴求する際のメリットについて見ていきましょう。
2022年までは最高基準であった断熱等級4が、驚くべきことに、2025年時点では全ての新築住宅に対し最低基準として義務付けられることとなります。
むしろ等級4を満たしていない新築住宅は基準未達となり、住宅ローン「フラット35」を受けられないなどの各種制約が生じます。
多くの工務店は自社の工法や規格を見直すことが必要となるかもしれません。
断熱等性能等級はUA値(外皮平均熱貫流率)という指標によってランク付けされます。
UA値が低いほど性能が高くなりますが、主に建物外壁の断熱材、開口部のガラス・サッシの断熱性能向上によってそれを実現することが可能です。
最も影響が大きいのは窓面で、樹脂サッシという断熱性の高いサッシを用いたり、通常のペアガラスでなくLow-Eペアガラスを採用するなどにより、断熱性能を大きく向上させることができます。
今後、断熱性能に関する基準が厳しくなり、コストや工期にも反映する一方、もちろん住宅の機能性や資産価値に関する良い点も多数あります。
建物の断熱性能が向上することで、夏は涼しく冬暖かく過ごせることが一番のメリットでしょう。
一方、エアコンやストーブ等に掛かる年間光熱費も大きく削減出来ます。
また、省エネ住宅に対する住宅ローン借入限度額の拡張や、ローン金利の低減、自治体の補助金などの金銭的メリットもありますので、クライアントに対しての訴求力も高いと考えられます。
来る法改正により、対応すべき項目は増えますが、特殊な技術を要するものではないため、十分な知識と情報があれば過度に不安視する必要はないでしょう。
ただし、設計における各種検討・計算はやはり工務店の負担となる可能性も。
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