一級建築士の存在は、建築業界だけでなく、社会的にも必要な存在です。資格さえあればいいというわけではないのですが、一級建築士がいなければ建てられない建築物が数多くあります。
しかし、今現在、一級建築士の有資格者の数も多くなり、資格が有れば稼げる時代ではなくなっています。コロナ禍も追い風となり建築士の働き方は経済状況や技術の進化によって幅広くなってきています。
そこで今回、一級建築士の資格をもつ方にとって、幅広く活躍できるヒントをご紹介します。この記事を読んでいただければ、一級建築士の現状と、BIM設計の技術を活かすことが重要であることがわかります。
目次
ここからは一級建築士の現状について解説します。
多くの業界でも同様ですが、一級建築士も高齢化が進んでいます。50代以上の方が全体の50%以上です。60歳以上でみてみると、約4割にも達するのが現状です。少子高齢化社会なので、このままでは30代以下の建築士は減っていくでしょう。既に人手不足な業界ですが、近い将来はさらに深刻な状況になる可能性は非常に高いです。
このような現状の一級建築士は、住宅業界で次の分野が得意であれば、長く活躍できる可能性が高いです。
順番に解説します。
地球環境に配慮した、高性能住宅である省エネ住宅は、補助金や減税の対象になりやすいです。また、家を維持していくランニングコストを低く抑えられるため人気です。
一級建築士の仕事も、さまざまな仕事内容が最新のAI技術に取って代わられています。しかし、施主の気持ちに寄り添ったクリエイティブなデザインなどは、現在のAIには不可能な分野です。独創的なデザインや、独自のアイデアを生み出すことができれば、長く生き残れる一級建築士になれます。
上記の分野が得意でなくとも、高齢化社会の影響もあり、一級建築士はバリアフリー化のリフォームや、古い建物の修繕案件の需要が多くなることが予想されます。そのため、ほかにも活躍の場があるのです。
この需要は住宅だけでなく、公共施設から商業施設までさまざまな建物で求められる見込みです。
バリアフリー化に合わせて次のような事案がこれから考えられます。
日本の人口減少に伴い、家の数は減っていきます。そのため、住宅よりも公共施設・商業施設やオフィスビル、都市開発などに活躍の場が動いていくでしょう。
一級建築士の高齢化に伴い、学生や20代で一級建築士を目指している方は、実績や技術を磨けば貴重な人材となります。需要と将来の時間があるため、多くの場で自分の技術を活かす機会があります。
一級建築士の資格は、取得が難しい資格です。全国の例年の合格率は約10%程度と高難度となっています。
しかし、大前提として資格を持っているから建築士は食べていける、というわけではありません。
有資格者であることは、知識を持っていることの証明や、実践可能な業務の幅広さを示すものになります。しかし、現場での経験や新技術への対応力など、知識があるだけでは足りないものがいくつもあるのです。
「資格がある=仕事がある」これは成り立ちません。重要なことは「資格をどのように業務に活かして、何を成すのか」です。
人が生活するインフラとして「住居」は欠かすことができません。そのため、需要が完全になくなることはないでしょう。求められたときに十分な知識・経験・技術を発揮できるように準備しておくことがおすすめです。
ここからは、BIM設計について解説していきます。BIMを活かして業務を行っていければ、使用できない建築士とは一線を画した存在となることが可能です。
BIMとは、「Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)」の略称です。
BIM設計は、建築の初期段階でバーチャル上に建物のモデルを構築し、再現するシステムのことです。
細かい設計や、維持管理に関するデータまで一つのBIMで、プロジェクトに関わるメンバー内で共有できます。そのため、設計や施工のミスと、工数を大幅に減少させることが可能なシステムです。
従来の3次元モデルを表すためのCADソフトとは、大きく内容が異なります。BIM設計を使用することで、設計から完工までの業務が大幅に効率化されます。使用しない状態とは、効率化の面で大きな差がでます。
CADとの違いを解説します。
現在も使用されているCADソフトは、外観やデザインを表現するためのソフトになっています。
CADを使用した従来の流れは、まず、2次元(平面)の図面を作成してから、3次元(立体)の形状を組み立て、CGで立体的にシミュレーションするという流れです。
この方法にはデメリットがあります。それは、サイズや形状などの修正が入る場合、関連する2次元の図面を全て修正し、やり直す必要があるという点です。これは、大変な手間が必要な作業です。
BIM設計では、対応する3次元CADを使用し、最初から3次元で設計します。3次元から2次元図面を取り出して作成しますので、立体的な図面の修正に合わせて設計図面の管理が可能です。
BIM設計で何ができるのか解説していきます。
具体的には次の点です。
BIM設計を使用することによって、今までよりもさらに具体的に顧客へ提案することが可能です。建築は、目の前にないものを作り上げる作業なので、完成したものを想像しにくい方もいます。
一級建築士はBIMを活かし、できる限り具体的な提案ができれば、お互いの意思疎通の乖離による「想像と違った」ということを回避できる可能性が高まります。
案件に関わっているメンバーと、具体的な3次元のモデルを共有することで、完成のイメージがしやすい、疑問点が解消しやすい、という状況になります。
これがコミュニケーションの円滑化につながり、業務が進みやすくなります。それだけでなく、内容がわかりやすい状態なので、改善案なども出しやすい状況となるのです。
BIMでの設計は、具体例として図面以外に次のデータを管理できます。
(以下建材パーツ)
案件に関わるメンバーは、建物を組み立てる工程が確認できるため、工数のデータも確認が可能です。
また、設備機器の品番・メーカー・価格も管理できるため、メンテナンスのときに必要な情報をすぐに得ることもできるので、素早い対応ができます。
BIMはすべてのデータが連動しています。そのため、修正を行うと、下記図面などのデータが自動修正されます。
このシステムにより、業務を効率的に進めることが可能です。修正にかかる時間も削減できるので、コスト削減にもつながります。
工務店に勤務する一級建築士が、BIM設計を活かして実践を積みながら業務ができれば、プレゼン力が向上します。このことにより、効率的な建築設計・施工業務ができる人材だと認められる可能性が高いです。
実績があり、最新のシステムを活かして業務ができる一級建築士であれば、仕事の依頼数が増加することは十分にあり得ます。
また、プレゼンなどの提案が上手い方は、相手の要望に応えることができているので、多彩な考え方やスキルを持ち合わせている可能性が高いです。
自分の力が活かせる場で、一級建築士として活躍していきましょう。
これからの一級建築士の求められる能力はBIMで最大限発揮することができます。2次元から3次元のCADへの進化をとげるために以下より詳しい資料をダウンロードしてください。
一級建築士は建築業界で、社会の中で、重要な役割を果たせる職業です。現在は、資格取得の難易度が高く、業界の高齢化の影響もあり、人手不足になっています。
しかし、その分若い一級建築士は貴重な存在であり、自身の実績を積める場や、同年代のライバルが少ない分、経験を活かせる現場があります。
活躍方法の一つとして、BIM設計を仕事に活かしていくことです。最新のテクノロジー技術と、自分の技術を共存させて、建築業界で活躍できるようになることがおすすめです。