工務店が直面している問題で、最も深刻なものは人手不足ではないでしょうか。
現在、日本では労働人口の減少が問題となっており、特に建築業界は若者から敬遠される傾向にあり、現場で働く職人の高齢化が顕著になっています。
本記事では、工務店が直面する深刻な問題である人手不足の原因と、その対処法について解説しますので、参考にしてみてください。
目次
工務店が人手不足になってしまう原因として考えられるのは、主に3つだと言われています。
それは、「高齢化と若者離れ」「労働条件の厳しさ」「昔ながらの習慣」です。
この3つについて、それぞれ解説します。
建築現場で働く職人の多くを占めるのは、40代以上だと言われていますが、現在では60代〜70代の職人も増えてきていると言います。
その結果、ベテランの職人が引退してしまうと、必然的に人材不足に陥ってしまうという状況です。
それでは、20代や30代の若手の職人はどうでしょうか。残念なことに、建築現場で働く職人の中には次世代を担うはずの若手が少ないのが現状です。
もともと、建築業界は力仕事が多く、労働環境が悪いというイメージがあるため、決して人気のある業界とは言えません。
そのため、若者から敬遠されており、若者が入ってきたとしても定着せず、高齢化が進んでしまうという悪循環が生まれてしまい、深刻な人手不足に陥っているのです。
工務店だけの問題ではありませんが、一般的に零細・中小企業の場合、労働条件が厳しいところが多いと思われます。
職人の場合は、特にその傾向が顕著で、長い労働時間や低い賃金が特徴としてあげらるほどです。
労働時間に関して言えば、8時間以上の労働や、完全週休二日制や土日祝日が休みではないこともあります。
また、建築業は重労働であり、暑さや寒さに耐えながら屋外で働かなくてはならず、過酷な労働条件と言えるでしょう。
賃金に関しても、労働時間が長く、休日も少ない上に重労働であるにもかかかわらず、その働きに見合った給料がもらえないと感じる若者が多いようです。
このような厳しい労働条件も、工務店から若者が離れ、人手不足になってしまう原因と言えます。
職人の中には、手取り足取り教えるのではなく、仕事の仕方や技術は「見て盗め」という考えの人もいます。
もちろん、その教育方法によって技術力の高い職人が育ってきたという側面もあるでしょう。
しかし、昔ながらの習慣で、仕事の仕方を教えなかったり、仕事を覚えない後輩を怒鳴りつけるなどの行動は、今ではパワハラと捉えられてしまい、若者からは敬遠される要因になります。
怒鳴りつけられることに萎縮してしまい、仕事を辞めてしまう若者がいることも理解しておく必要があるでしょう。
昔ながらの習慣で新人を教育するのは、厳しいということを理解しておかなければ、より一層、若者の工務店離れが進んでしまうかもしれません。
人手不足の原因を理解していただけたところで、ここからは、その対処法を解説します。
工務店の人手不足への対処法は大きく分けて4つです。
現状として人手不足の状態にある場合は、これら4つの対処法の中で、自社に適した方法から始めてみることをおすすめします。
真っ先に取り組んでいただきたいのは、労働条件や職場環境の改善です。
従業員が稼いでくる以上の給与を出すことはできませんが、労働条件や職場環境を改善することで不満を解消したり、生産性をアップさせることができます。
例えば、長時間労働の改善や週休二日制の導入などは労働条件の改善方法の一つです。
また、建築業界といえば「きつい」「汚い」「危険」という、いわゆる「3K」というイメージを持たれていることも、若者から敬遠されてしまう一因でしょう。
そこで、おすすめなのが、現場環境を改善することです。十分な休憩時間の確保や衛生的な環境を維持したトイレの設置、職人の身だしなみを整えるなどの対策を行うことです。
現場のイメージが変われば、「建築業は3K」というイメージを改善することができるでしょう。
もし、3年で一人前と呼ばれるほど技術を習得できる会社と、10年以上かけて一人前を呼ばれる技術を習得できる会社があるとすれば、どちらに就職したいと思うでしょうか?
10年以上かけて教育を行い、一人前になるまで満足のいかない給与で働かなくてはいけない場合、若者はすぐに離職してしまいます。
そこで重要になるのが、人材教育の環境を整えて、新人を即戦力化することです。
仕事ができるようになれば、自信が生まれ、職人の仕事を楽しく感じるようになります。そのように思ってもらうことで、若者の離職を防ぐことにつながるでしょう。
人材教育の環境を効率的に行えるようにするためには、自社でマニュアルの作成が必要となります。
また、昔ながらの習慣による教育を止め、いつでも相談し合えるよな職場環境を作ることも必要です。
これらを確立することで、新人を即戦力化し、離職を防ぐことで人手不足を解消するきっかけとなるでしょう。
今、日本では積極的にDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進められています。
DX化とはすなわち、データやデジタル技術を活用し、業務の効率化や新たなビジネスモデルの創出を行い、企業風土の変革をもたらすことです。
この流れを受け、建築業界でもICT(Information and Communication Technology /情報通信技術)を導入し、業務の効率化を進める企業が増えてきました。
ICT技術を活用することで、いつでもどこでも顧客情報の確認や、外出先からでも現場の進捗状況の確認、打ち合わせが行えるようになります。
これまでは、一度会社に戻ってから行わなければいけなかった業務や、対面で行っていた業務がオンライン化することで業務効率化が図られ、今よりも少ない時間で終わらせることができるでしょう。
ICT導入により業務が効率化されれば、労働条件が改善され人材流出を防げるため人手不足解消につながります。
人手不足の解消方法の切り札として考えておいてもらいたいのが、採用ターゲットの幅を広げることです。
採用したい人材として「若い男性のみ」とターゲットを絞ってしまうと、求人に対する応募者は少なくなってしまいます。
そこで、ターゲットの幅を広げることをおすすめします。例えば、女性や中年世代までターゲットとして求人をかけてみるのです。
もし、女性が多い職場となれば、建築業に興味を持っている女性が数多く求人に応募してくるかもしれません。
また、外国人労働者をターゲットにすることも考えてみてください。外国人の中には、日本で働きたいと考えている人も多いため、採用することができれば、人手不足を解消できる可能性が高くなるでしょう。
ただし、外国人労働者を雇用する際には、言語や文化の壁があることを認識しておく必要があります。
言語や文化の壁をどう乗り越えるのかを社内で話し合っておくことが重要です。
採用ターゲットの幅を広げることで、人手不足という深刻な課題の解決の大きな一歩になるかもしれません。
工務店の人手不足は、かなり深刻な状況だと言えるでしょう。国土交通省が発表した「建築産業をめぐる現状と課題」の中では、建築就業者の約3割が55歳以上と高い数値が出ています。
このまま高齢化に歯止めが効かない場合、人手不足は更に深刻になることが予想されます。
そうならないためにも、早急に対処法を練らなくてはいけません。
自社の状況を把握し、どの対処策なら採用できるのか、どの対処策が最適なのかを、ぜひ考えてみてください。
工務店は、地域社会に密接に関わる大事な存在です。人手不足という深刻な課題を克服し、地域の発展、活性化に貢献できることを願います。
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