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労働環境の変化となる「2024年問題」とは?|建設業界における変更点とその対策について説明

更新日:2024年9月25日(水)

「2024年問題」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。

働き方改革の一環であり、建設業界や物流業界で幅広く影響がでてくると考えられています。

本記事では、建設業界において働き方にどのような変更があるのか、またその対応策について解説をしていきます。

2024年問題についてあまり詳しくない方や、働き方改革について悩まれている工務店経営者の方はぜひ参考にしてみてください。

2024年問題とは?

はじめに、「2024年問題」の概要について説明をしていきます。

建設業界における2024年問題とは、働き方改革関連法に基づくものであり、2024年4月までに解決が必要な労働環境の問題のことを示しています。

働き方関連法については2019年4月に施行され、大企業や中小企業については適用が開始されました。

しかし、労働時間の上限規制をするのに猶予が必要な業種もあり、建設業もそのひとつでした。

これまで建設業においては適用猶予が与えられていましたが、2024年4月からは上限規制が適用されることになります。

具体的な内容については次の章から説明をしていきます。

働き方改革関連法について

ここからは、2024年4月より働き方改革関連法が適用されることで、どのような変化があるのかを説明していきます。

大きく下記の3つに分けて説明をしていきます。

  • 労働時間の上限規制
  • 時間外割増賃金率の引き上げ
  • 同一労働同一賃金

労働時間の上限規制

まずはじめに、労働時間の上限規制が設けられることになります。

建設業界においては現場都合や工期の関係上、労働時間が長くなってしまうことが課題として挙げられます。

その労働環境の見直しのひとつとして、時間外労働の上限規制が行われます。

2024年4月以降は、残業時間の上限は原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別な事情がなければこの時間を超えることができなくなります。

原則である月45時間(約2時間の残業に相当する時間)を超えることができるのは年間6ヶ月までになります。

また、特別な事情があって労使が合意する場合でも下記の時間を守る必要があります。

  • 時間外労働が年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
  • 時間外労働と休日労働の合計が、2ヶ月平均・3ヶ月平均・4ヶ月平均・5ヶ月平均・6ヶ月平均が1ヶ月あたり80時間以内

時間外割増賃金率の引き上げ

次に、時間外割増賃金率の引き上げについてです。

時間外労働が月60時間を超える場合は、割増賃金率を50%で考える必要があります。

これまで大企業については割増賃金率50%が適用されていましたが、中小企業については猶予が与えられており25%という割合でした。

ここでの建設業における中小企業の定義とは、「資本金または出資の総額が3億円以下であること」または「常時使用する労働者が300人以下」であることを指します。

割増賃金率の改正については2023年の4月より適用されるため、より早い段階での対応が必要になります。

同一労働同一賃金

最後に、正規・非正規社員の同一労働同一賃金になります。

これまで大企業では2020年4月、中小企業では2021年4月から同一労働同一賃金が適用されており、建設業においても2024年4月より適用されることになります。

正社員・非正規社員の雇用形態に関係なく、同じ職場で同じ仕事内容をしている場合は同一の賃金を支払う必要があるという考えになります。

これまでは非正規社員に対しては給与・各種手当などの待遇の差がありましたが、今後は同等に支払うことが必要になります。

建設業界の現状と課題

次に、建設業界の現状と課題について説明をしていきます。

多くの業界でも課題に挙げられていることですが、建設業界では特に顕著な課題として下記の2つが挙げられます。

  • 大工・職人等の人材不足
  • 長時間労働

大工・職人等の人材不足

まずはじめに、大工や職人の人材不足が挙げられます。

どの業界においても人手が不足していることはよく課題として挙げられますが、建設業界においてはより深刻な問題となります。

ひとつの指標として有効求人倍率を見てみると、求人数が少ないこともわかります。

有効求人倍率とは、有効求人数÷有効求職者数(働きたい人)で求めることができ、有効求人倍率が1よりも大きくなるほど求人の応募が不足している状況となり、人材確保が難しい傾向にあります。

2022年12月の有効求人倍率を見てみると、全職種の平均が1.31に対して、建設業は5.68という数値になっています。

各業界と比較しても高い数値となっており、人材の確保に苦戦していることが考えられます。

長時間労働

また、建設業界の課題のひとつとして、長時間労働も挙げられます。

上記で説明をした人材不足が大きく影響をしていますが、住宅を完成させるまでには工期が決まっていることも大きな要因です。

工期が遅れることは信用問題にもつながるため、厳守する必要があります。

天候や資材の納入状況によって現場の状況が変わってくるため、長時間拘束されることもあります。

会社員のように土曜日・日曜日の週休2日が約束されていないことも、長時間労働につながります。

厚生労働省における月間実労働時間を参考にしてみても、全職種の平均が136時間に対して、建設業が163時間と大幅に労働時間が増えています。

このような、長時間の労働環境に耐えられず離職をしてしまうという方も少なくありません。

2024年問題への対策ポイント

では、2024年問題に向けて建設業界ではどのように対応をしていけばよいのでしょうか。

今回は下記の3つにポイントを分けて説明をしていきます。

  • 勤怠管理の見直し
  • 建築工事日程の変更
  • 業務ツールの見直し

勤怠管理の見直し

まずはじめに、勤怠管理の見直しをする必要があります。

長時間労働が常態化している会社もありますが、まずは勤務実態がどのようになっているのか全員で共有をする必要があります。

会社によってはタイムカードによる自己申告で勤務管理を行っているところもあるでしょう。

しかし、その場合集計に手間が掛かることや申告漏れによる正確な勤怠管理が行えない場合があります。

勤怠管理システムなどを導入して、見直しをしてみてはいかがでしょうか。

建築工事日程の変更

次に、労働環境の改善に向けて、建築工事日程を見直すことも必要でしょう。

先程の課題でも挙げた通り、休日を設けることができず長時間労働につながってしまうことがあります。

建設業界の労働環境の改善にもあるように、公共工事においては週休2日制度の導入も進んでいます。

予備日などの余裕を持った日程を組み、民間工事でも工期を見直すことが必要になります。

業務ツールの見直し

そして最後に、業務ツールの見直しをする必要もあります。

建設においては設計・積算・プレゼン等、多岐に渡る業務があります。

そのため、一部で修正が起こる場合、関連する他の部分での修正も必要になり、余計に時間が掛かってしまうことがあります。

それぞれのシステムで連携することでその手間を減らすことも可能です。

設計ツールであるBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を活用すれば、情報を一元管理することができるため、業務効率化につなげることもできます。

BIMについては下記のコラムでも説明をしているため参考にしてみてください。

参考コラム:BIMとは何か?工務店の設計業務の負担を解決|CADとの違いも解説

まとめ

今回は建設業界における2024年問題について説明をしてきました。

長時間労働など労働環境については度々改善が求められてきましたが、2024年に大きな転換期を迎えることになるでしょう。

2024年問題に向けてまだ取り組みをはじめていないという方も、本記事で説明をしたポイントを参考に見直しを行ってみてください。

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